「低金利と円安の関係は?」
「円安が進んでいるが、今不動産投資をすすめるべき?」
「海外投資家の爆買いはまだ続くの?」
不動産投資を検討している方の中には、このような疑問を持たれる方もいらっしゃるかもしれません。
アメリカの金利上昇と日本の金融緩和策が円安を加速させ、不動産投資に大きな影響を及ぼしています。
円安の影響としては、建築費の高騰、海外資本の流入、不動産価格の三極化が挙げられます。
海外投資家の動きは一部で加速していますが、全体でみると減少傾向です。
この記事では、円安が不動産市場に与える影響と、投資家が今後注意すべき点について詳しく解説します。
円安の原因
アメリカでは近年、インフレ抑制のため、金利を段階的に引き上げており、貯蓄や投資のリターンが高くなるため、ドルの価値が上昇しています。
対して日本では、金融緩和策が続いており、インフレが進行中です。
低金利でお金を借りられて、投資家やマイホームを購入する世帯が不動産を購入がしやすくするのが、金融緩和策の目的のひとつです。
しかし、このような政策は同時に円の価値を下げてしまい、円安が進んでいます。
以下のグラフのように2024年2月末現在、また1ドル150円を突破している状態です。
参照元:TradingView USDJPYチャート(2022/05/23~2024/02/27)
不動産市場における円安の影響
不動産市場における円安の影響は、主に以下の3つです。
- 建築費の高騰
- 海外資本の流入
- 不動産価格の上昇
建築費の高騰
円安のため、輸入するものはすべて値上がりしています。
建築資材はウクライナやイスラエル情勢の影響もあり、高騰している状態です。
さらに2024年4月から施行される働き方改革の影響で、1人当たりの労働時間が短縮されるため、建築関連の人件費も上昇傾向にあり、建築費が高騰しています。
海外資本の流入
日本は世界規模でみると比較的コロナの影響を受けにくかったため、世界の主要国から見れば日本の不動産はもともと人気がありました。
海外の投資家から見れば、日本国内の不動産は円安でさらに魅力的になっています。
特に日本の主要都市にある立地のよい新築物件を、海外投資家の多くが購入している状況です。
不動産価格の上昇
立地の良い新築物件の中でも新築マンションは、海外投資家が特に多く購入しており、不動産価格の上昇に影響を与えています。
前述の通り、建築費の高騰も影響して新築物件の価格も上昇傾向です。
新築物件の価格が高い影響を受け、新築より手軽に購入できるため、条件のよい中古物件も価格が上昇しています。
参照元:国土交通省|不動産価格指数 (令和5年10月・令和5年第3四半期分)
不動産市場は今後どうなる?円安の行方
今後の不動産市場は、以下の3つの状態が予測されます。
- 2024年も金融緩和策は現状維持
- 海外資本の動きは不透明
- 不動産市場の三極化の進行
2024年も金融緩和策は現状維持
日銀の植田総裁は2024年1月の金融政策決定会合で、大規模金融緩和策の現状維持を決めました。
2024年1月1月に発生した令和6年能登半島地震が、金融緩和政策解除などに影響を与えている可能性もあります。
また、主要各国がインフレ抑制のため金利を上げる中、日本が金融緩和政策を粘り強く続けて来たのには、金利引き上げにより国債が消化できなくなるのを防ぐ狙いがあったと思われます。
現在入札がゼロの日は、日銀が国債を買い取っていますが、金利引き上げにより国債の評価が下がり、さらに日銀が買い取りを続けると、日銀が債務超過に陥る危険性があるのです。
これらの状況から、2024年も低金利はしばらく続くとみられます。
海外資本の動きは不透明
海外資本が今後どうなるかは、規模や地域にもより不透明です。
海外の投資家が、資産価値の高い物件を爆買いする状況は本格化するという予測もあり、日本での投資実績の少ない企業やファンドは買いが目立っています。
東京・大阪といった主要都市のマンションに限らず、コロナ禍の約10倍の契約数になっている北海道のリゾート地や、相場を度外視した価格でも売れる湾岸エリアのタワーマンションなどもあります。
しかし海外の投資ファンドや海外企業による2023年の国内不動産投資総額は、前年に比べて3割減となり、5年ぶりの低水準となっているのが現状です。
海外勢の物件売却が進んだ理由は、日銀の政策修正を懸念したことに加えて、金利が高い影響で、海外の不動産における運用成績が悪化したことがあげられます。
実際に海外勢の新規投資は23年後半にかけて減速し、特に2023年10〜12月の投資額は前年同期に比べて8割減となっています。
不動産市場の三極化の進行
不動産市場は三極化が進んでいるといわれています。
三極化とは、不動産が以下の3つに分かれて際立っていくことです。
- 価格維持・あるいは上昇する地域:全体の10~15%
- なだらかに下落を続ける地域:全体の70%
- 限りなく無価値・あるいはマイナスの地域:全体の15~20%
円安による海外投資家の爆買いなどで不動産バブルが続く地域は、価格維持・あるいは上昇する地域の10〜15%だけであり、残りのほとんどは価格が下落し続けています。
2024年はこの三極化がより進行すると考えられます。
引用元:1ドル150円突破!円安が不動産市場に与える影響とは?
円安が続く中での不動産市場における注意点
日銀は金融緩和政策を維持する方針のため、住宅ローンが借りやすい時期はしばらく続きます。
しかし金利の上昇以外にも、注意すべき点があります。
住宅ローン減税の借り入れ限度額が下がる
以下の表のとおり、住宅ローン減税の借入限度額は、2024年から引き下げとなっています。
ただし、19歳未満の子を有する子育て世帯および夫婦いずれかが40歳未満の若者夫婦世帯に限っては限度額が据え置きとなり、2025年も同様の方向性になる予定です。
2023年に借り入れていたら、5,000万円まで控除対象だったのが、2024年からの控除対象の限度額は4,500万円までになります。
住宅ローン減税の借り入れ基準が厳格化される
2024年1月から住宅ローン減税の借り入れについて、一定基準を満たした省エネ住宅でなければ、特例が利用できません。
この政策は2050年にカーボンニュートラルにむけた日本の気候変動対策の一環です。
基準の厳格化は円安と直接関係ないように見えますが、新築住宅の建築資材の高騰が円安の影響を受けていることを考えると、注意すべき点といえます。
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まとめ
この記事では以下のような内容を解説しました。
円安の要因はアメリカとの金利差
円安の影響は主に以下の3点がある
- 建築費の高騰
- 海外資本の流入
- 不動産価格の上昇
2024年の不動産市場では以下の3点が予想される
- 2024年も金融緩和策は現状維持
- 海外資本の動きは不透明
- 不動産市場の三極化が進行
今後の不動産投資で注意する点
- 住宅ローン減税の借り入れ限度額が下がる
- 住宅ローン減税の借り入れ基準が厳格化される
2023年の年末、140円台まで進んだものの、2024年に入りまた150円を突破している円安傾向は、今後も目が離せません。
円安の影響で海外資本の流入が続くことは予想されますが、不動産自体の価値は三極化が進んでいます。
2024年に不動産投資を成功させるには、不動産市場と円安の状況を追うだけでなく、自己資金、勤続年数、年齢など、総合的にご自身の状況を判断することが重要です。
この記事を読むことで、不動産市場における円安の原因や影響について理解が進み、今後の不動産投資にお役立ていただければ幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考元:【2024年最新】不動産価格は今後下がる?推移と見通しを解説!