不動産を売りたい
でもなかなか売れない
不動産とは、文字通り普段は動かない(つまり不動)だから不動産なのです。そして不動産を売りたいと考えた時、2つの事実が浮き彫りになります。
「自分の不動産は売れるのか?」
「自分の不動産はいくらで売れるのか?」
という2つのポイントです。
そこでこのシリーズでは、不動産取引事例を紹介しながら「売れるか売れないか?」「売れないならどうすればいいのか?」「いくらで売れるのか?高く売れないならどうすれば価格を引き上げることができるのか?」といったポイントを解説していきます。
私は銀行員として、数え切れないほどの不動産を見て、現地に足を踏み入れ、値段を査定してきました。
そうした「銀行の中の人」の説明なので、不動産を売りたい人や、不動産購入・不動産投資を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
それでは1つ目の事例「土地の上に未登記があると売るのは大変か?」について解説していきます。
売買する前の状況
売主 | 建築資材の製造、加工会社 |
建物 | 所有する工場内に複数所持、中には未登記建物もいくつか存在 |
売却までの期間 | およそ4ヶ月 |
状況
- 工場は銀行の担保に入っており、銀行からはずっと前から未登記建物を問題視されていて「登記するか?壊すか?どちらか対処していただきたい」(銀行担当者)と言われていたが、費用面でむずかしいと対応を延ばしていた。 その後、業況悪化で融資返済が難しく、工場を任意売却することになった。しかし、担保なので借金残高以上の価格でなければ、銀行は売却の許可ができないと言われてしまう。しかも、いくつもある未登記建物が売却の障害となり、売ることができなくなり困っていた。
取引成功までのステップ
今回紹介するケースは、問題が複雑に絡みあい、暗礁に乗り上げそうになったときもあったのですが、いくつかの対策によりなんとか売却できました。
成功の要因は、「相談・依頼」「問題の整理・対策の立案」「決断・実行」の、3つのステップをクリアしていったことです。
では、実際にどのような流れで取引成立まで進んでのか、詳しく見ていきましょう。
- 相談・依頼:問題が手に負えないときは専門家の力を借りる
- 問題の整理・対策の立案: 「登記が必要な建物」と「登記不要な建物」に仕分けをする
- 決断・実行:登記が可能でも、スムーズに進まない場合がある
ステップ1.相談・依頼:問題が手に負えないときは専門家の力を借りる
この会社は売却をしなければいけなくなったものの、何をどこから手をつけて良いか全くわからない状況でした。
しかし、これはよくあることで、一般の人は機会がない限り、一般常識レベル以上の不動産に関する知識は、持ち合わせていないのが普通だからです。
そこで、相談を受けた私は社長さんに対し「問題が手に負えないときは、専門家の力を借りましょう」とアドバイスを伝え、具体的には司法書士を紹介しました。
ここで「相談を受けておきながら、司法書士を紹介しただけなの?」と感じた人がいるかも知れませんが、これにも理由があるのです。
今回は不動産と登記に関することですが、これらの問題に対し、明確に応えるには専門的な知識が必要になります。
そのため、銀行員としてある程度の不動産知識があるとは言っても、やはり専門家の意見に勝るものはないのです。
また、不動産に関してもそうですが、世の中にはさまざまな法律によりルールが定められているので、専門資格がない人間が具体的な対策や、法解釈などを明言したりすると、法律に抵触するおそれもあります。
例えば、銀行員が未公表の不動産・売り物件を、購入額や利回りなどを説明し購入を勧誘すると、宅建業法に抵触するおそれがあります。
そのため私たち銀行員は「顧客からの相談には業務の範疇として応じ、具体的な解決に向けては、専門家へ依頼するようアドバイスをする」ということになっています。
ですから銀行員としての私の、お客様から相談を受けた場合には、困っていることなどについて、お客様から話を伺い、解決に向け司法書士を紹介したわけです。
そして、ここでは自分なりに日頃から付き合いのある複数の司法書士から、今回のケースでしっかりと力を発揮してくれそうな人を選び、紹介した司法書士さんに依頼することとなりました。
するとその司法書士から、建物を「登記が必要な建物」と「登記が不要な建物」に仕分けすることから始めるべきとアドバイスがありました。※「建物の仕分け」については次項で説明します。
【解説】銀行から専門家を紹介してもらうメリット
実はあまり知られていないのですが、今回のケースのように、銀行では必要に応じて司法書士や弁護士などの専門家を紹介したり、顧客の要望や仕事上のニーズに応じて業者・会社を紹介することがあります。
これらは「顧客とリレーションシップを築く」とか「ビジネスマッチング」などと呼ばれ、銀行が積極的に推進していることなのです。
そして、銀行が紹介するので悪徳業者の心配がないのは大きなメリットです。銀行にも紹介する責任がありますし、基本的には銀行と取引がある相手を紹介するので、そもそも違法・悪徳業者である可能性は少ないということになるわけです。
また、基本的に紹介してもらうだけなら無料なのもメリットの一つです。なぜなら、銀行はビジネスマッチング、つまり顧客に紹介した相手とも良いリレーションを構築できるわけで、融資や会社の取引拡大などが規定できるようになります。ですから、顧客から紹介料などのお金をもらわなくても、長い目で見れば銀行にもメリットがあります。
このように「銀行とも付き合いがあって安心できる専門家や業者を、しかもタダで紹介してもらえる」ので、もしも銀行からこうした紹介を受けるようなことがあれば、前向きに検討することをおすすめします。みなさんもこの記事のような困りごとがあるときには、銀行員に相談するとともに、専門家も紹介してもらえないか?と聞いてみるのもいいでしょう。
ステップ2.整理・確認:「登記が必要な建物」と「登記が不要な建物」に仕分けをする
社長は司法書士さんと何度か面談し、工場の売買をしたいことと未登記建物があり売買の邪魔になっていることなどを話しました。
司法書士さんは第三者の一歩引いた視点で、会社の不動産売買が抱える問題について「整理・確認」を行い、解決策と具体的な実行ステップを組み立てていきました。
まず、一つ目のステップとして、未登記の建物を洗い出し、「登記が必要な建物」と「登記が不要な建物」をリストアップしました。
そして、それぞれの解決方法を一つずつ考えていくことにしたのです。
そもそも「登記が必要な建物」は「登記をしなければいけない建物」でもあり、なぜなら建物は法律で登記が義務付けられているからなのです。
建物の表題登記の申請
第四十七条 新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。
そのため、登記できるのに建物を登記していないのは、厳密に言えば法律違反でもあるので問題は深刻なのです。
だからこそ、未登記の建物の中で「登記が必要な建物=登記ができる建物」と「登記が不要な建物=法的に建物とみなされないので登記が不要・つまり登記できない建物」に仕分けする必要がある、というわけです。
【解説】「登記できる(登記が必要)建物」と「登記できない(登記不要)建物」
一般的に建物とは「屋根と壁があって、土台や基礎で土地にしっかり固定されていて、使いみちがあり、長く使う目的で作られたもの」というのがシンプルな表現で、要は一戸建ての家がイメージしやすいと思います。
こうした建物としての条件(要件とも)については法律【参考】で細かく定められています。
【参考】
第百十一条 建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。
また建物が登記できる要件として、主に以下3つが必要とされています。
建物が登記できる(だから登記が必要)な3つの要件
- 外気分断性
- 土地への定着性
- 用途性
建物が登記できる要件 1.外気分断性
外気分断勢性とは、屋根と壁(周壁はこれらにに類するもの)で、3方向以上を囲われていることで、雨風を凌ぐことができる状態のことをいいます。(ここから外気遮断性」とも呼ばれます)
要は一般的な居宅や店舗など、いわゆるよくある建物のイメージになります。
ただし、前衛的デザインの建物などで必ずしも屋根があり3方向以上を壁で囲われてはいない建物もありますが、これらも事前に入口や壁の配置、吹き抜けがある場合の影響などを考慮・計算して、外気分断性が認められるように設計して、建築確認許可を得ています。
例:外気分断性があるとされるもの
- 車庫(屋根と壁があるタイプ)
- 機械室、燃料庫(屋根、壁あり)
【参考】1階部分の車庫(地下車庫)も登記できる・登記が必要
なお、道路に面して1階部分が車庫になり、その上に敷地と建物がある立地もありますが、このような1階の車庫部分を銀行や不動産業界では「地下車庫(自宅敷地から見れば地下だから)」などと呼んでいます。
この地下車庫も屋根(上部は建物敷地なので屋根となる)と3方向以上の壁で外気分断性があるとされれば登記が必要になります。
具体的には居宅などメインとなる建物に対して「付属建物」として登記されるのが一般的です。
ちなみに、私が仕事で扱う中古住宅の売買では、こうした1階部分の車庫をそのまま次の人が使う場合もよくあります。
そもそも土地が道路から高いので1階を車庫にしたり、土地を嵩上げして車庫にしたりと、造成したときにはそれなりの費用がかかっていたはずで、売買で上の建物を立て直す場合でも、せっかくの土台と車庫はもったいないからそのまま使おうと考えるわけです。
ただしこの場合には注意が必要なことがあります。
まず、上の居宅だけ取り壊すとしたなら、車庫から見れば付属していた建物(登記ではメインの建物を「主たる建物」 附属建物を「従たる建物」と呼ぶ)がなくなってしまうので、厳密に言えばその時点で車庫の登記を変更(附属建物から主たる建物への表示変更登記)する必要があります。
そして、再び上に新しい建物ができたなら、その建物を主・車庫を従としてもう一度登記を変更するといった流れです。
ところが、こうした1階部分の車庫については、登記がされていないこともよくあるのです。
たとえば中古住宅で1階部分が車庫の場合、最初からではなく、平地に家を立てた跡で1階車庫・上が居宅などに増改築したと思われるケースで、車庫の登記が無いこともあるのです。
これも厳密には車庫部分が未登記となるのですが、登記にはお金がかかるので、役所などから是正勧告などの命令でもない限り、登記しないでそのままになっている場合もあるからです。
こうした物件を購入する場合には、車庫部分を購入者が登記しなければならないこともあるので、とにかく車庫には注目することをおすすめします。
たとえば、1階が車庫になった土地がズラッと並んでいるような分譲地もよくありますが、こちらもチラシや物件資料などで車庫について登記・費用負担などがどのようになっているかを確認しておくことが重要になります。
少し長くなりましたが、このような物件の売買では前提条件(例「1階部分の車庫を登記するのは買い主」など)が付けられます。
このように不動産売買は「購入した人は〇〇をする必要があり、費用は購入者持ち」「物件は◯◯を✕✕する必要があります」といったように「条件付き売買」などと呼ばれています。(この点については後半で詳しく解説します)
建物が登記できる要件 2.土地への定着性
土地への定着性とは、いわゆる基礎などで、建物が土地に対して物理的にくっついている(定着、固着などと表現)している状態のことです。
例:土地への定着性があるとされるもの
- 基礎で土地に固定されている倉庫
- 基礎付きの外トイレ(壁など外気分断性もある)
建物が登記できる要件 3.用途性
用途性とは、その建物がなにかしらの目的(人が居住するとか、ものを貯蔵するなど)が決まっていて、その目的が実現できる構造や空間などを持っていることです。
たとえば人間が居住する邸宅なので「居宅」、あるいは工作する場所なので「工場」といった具合です。
ちなみに用途と同じように重要なのが、人やモノがそこに留まることができないと、用途性を満たしているとはいえません。
これは、たとえば屋根と壁で外気分断性、基礎で土地に定着している建物があったとしても、天井が低くて人間が立っていられないようでは、用途性がある建物とは言えず、登記もできない可能性があります。
このように、人やモノが留まることができるという意味で、用途性を「人貨滞留性(じんかたいりゅうせい・貨は貨物などモノの意味)」などと表現する場合もあります。
またこれらの建物は、少なくとも何年かのあいだ使い続けることから、用途性とともに「永続性」も建物の要件と説明している資料もあります。
では続いて、今度は逆に、登記できない建物も紹介します。
例:登記できない建物
- 外気分断性がない:柱と骨組みだけのカーポートなど
- 土地への定着性がない:コンクリートブロックに乗っているだけの物置など
- 用途性・人貨滞留性がない:屋根と基礎はあるが、壁もドアもなく丸見えの男性用便所など
ここまで、登記できる建物と登記できない建物について基本的な説明をしてきました。
しかしながら、建物の登記はさまざまな法律で規定、規制されていて、また登記できるかどうか?などの判断も専門的な知識と資格が必要になります。
建物の状況などによっては登記できるはず登記できなかったり、逆に登記できないと思っていたら登記可能だったというケースもありますので、ここで紹介した例も、あくまで参考としています。
実際に建物は登記できるのかを確認する場合は、土地家屋調査士などプロに相談するようにおすすめします。
ここまで、登記できる建物と登記できない建物について基本的な説明をしてきました。
しかしながら、建物の登記はさまざまな法律で規定、規制されていて、また登記できるかどうか?などの判断も専門的な知識と資格が必要になります。
建物の状況などによっては登記できるはず登記できなかったり、逆に登記できないと思っていたら登記可能だったというケースもありますので、ここで紹介した例も、あくまで参考としています。
実際に建物は登記できるのかを確認する場合は、土地家屋調査士などプロに相談するようにおすすめします。
ステップ3.決断・実行:登記できるものは登記する・登記できないものは「壊す」か「そのままにする」かを選択する
登記できるかどうか?仕分けしただけでは問題解決にはなりません。
法律で決められている通り、登記できる建物は登記する義務がある(前出)からです。
今回の事例では、登記できる建物が3つ、登記できない建物が7つという結果になりました。
そこで、次のステップは、建物を仕分けできたところで登記できるものは登記する、そして登記できないものについても方針を決めることになりました。
ところで、自分の建物でこれからも自分のものであるなら、決断も実行も自分の考えで進めることができます。
たとえば自宅の庭に登記できる建物と登記できない建物がそれぞれあった場合、まず登記できる建物は登記すれば良い、というより登記しなければいけません。
もちろん、いままで登記しないで済んでいたかもしれませんが、いつなんどき登記をするよう勧告されるかわかりません。
しかも、最近では空き家問題などを発端に建物の登記が注目されているので、なおさら登記はしっかりしておく必要があります。
そして、登記できない建物は登記しなくて良いわけなので、そのままでも特に問題はありません。
しかし、これが売却の場合には少し事情が変わってきます。
それはなぜかというと、売却では購入する相手があり、建物の登記についても話し合いが必要になるからです。
たとえば、登記できる建物・登記義務がある建物を、そのまま次の人が買い取る場合には、いくつかの方法が考えられます。
未登記建物を売買する方法
- 自分(売主)が登記してから売却する
決済日(売却をして代金をやり取りする日)までに、自分で建物登記を完了させる - 取り壊してから売却する
登記せずに、決済日までに自分で取り壊しをしてから売却する - そのまま売却して、あとは買主に一任する
登記して使い続けたいなら買主が登記するし、不要ならば買主が取り壊す
このように、未登記建物をどうするか?という点について、あらかじめ売主と買主のあいだで話し合い、対処方法を約束する契約を「停止条件付売買契約」などと呼びます。
たとえば例にある「売主が登記したから売却する」約束で売買契約をしたなら、約束通り売主が登記をしなかった場合には、売買契約は無効(解除とも表現)になります。
このように、あらかじめ約束ごとを決めて、その約束が守られなければ売買は取りやめになるのが停止条件付売買なのです。
未登記の低条件
未登記の低条件には、以下のような契約条項が盛り込まれるようになっています。
- 「土地上には未登記建物(居宅1棟)がありますが、売主の責任を持って、決済日までに登記します。登記にかかる費用は売主の負担とします。」(自分が登記する場合)
- 土地上には未登記建物(倉庫2棟)がありますが、売主の責任を持って、決済日までに取り壊したうえで引き渡します。取り壊し費用は売主負担とします」(自分で取り壊す場合)
- 「土地上の未登記建物(店舗1棟)については、現状のまま明け渡すこととし、所有権は買主に移転することを売主は承諾します。未登記建物を登記、若しくは取り壊すなどの対処は買主で決定し、その費用は買主の負担とします。なお、建物を登記する場合には、建築当時の資料など必要書類の準備などで、売主は買主から依頼があれば協力することとします。」(そのまま売却して、買主に一任する場合)
トラブルの回避方法
未登記建物について解説をしたところで、ここからは未登記に関わるトラブルを回避する方法をいくつか説明します。
回避方法1.借金の担保になっている場合
銀行事業資金融資など借金の担保になっている場合は、色々と乗り越えるハードルが高くなります。
まず、お金を貸している銀行などの債権者は、原則として未登記建物があれば、登記をさせる権利を持っています。
そのため、借金の担保になった土地に未登記建物があれば、債権者である銀行から強制的に登記捺せられる可能性があり、しかもその費用は自腹ということが、そもそもの担保契約書や金銭消費貸借契約証書などに記載されています。
冒頭の事例紹介の中でも、銀行から登記するか取り壊すか?と催促されていると言う部分がここになります。
特に業況が悪化してきた場合には、将来的に返済が不可能になることも想定して、銀行は担保について問題点があれば是正を図ろうとします。
銀行から登記や取り壊しを迫られても、業況が苦しいと費用も捻出できずに困ってしまいます。
そのため(ある面では理想論かもしれませんが)、未登記建物があればそのままにせず、登記するなら登記費用があるうちに済ませておくか、取り壊し費用を払ってでも壊しておくべきです。
売れれば解決・だから「条件を付けて売る」
こちらの方法は、問題点ごと手放す、つまり売ってしまうことです。
停止条件付売買(前出)で売却ができれば、未登記は原因そのものがなくなるので、回避できるというわけです。
冒頭の事例では、最終的にそのまま売却し、あとは買主に一任する(現況渡しとも表現)条件付きで売却ができることになりました。
購入者は不動産業者で、私が銀行内部で情報提供を呼びかけ、他の支店のお客さんで、資金力がある優良な不動産業者さんが買うことになったのです。
未登記建物があることや、業績不振で資産を売却したい点などは、相手も不動産のプロなので当然察知していて、その分売値はかなり値引きされましたが、なんとか借金もすべて返済できたという結末になりました。
ちなみに銀行では、このように社内で情報共有をすることはよくあります。
もちろん不動産売買を直接仲介すると、これは宅建業法に抵触する行為なので、上記のように情報提供だけに留めるのです。
事例から学ぶ成功の秘訣
今回の事例から学ぶことができる成功の秘訣は3つあります。
- 銀行を上手に利用する
- 頼れるプロの力を借りる
- 必要なのは決断と実行、そして最後は「お金」
成功の秘訣1.銀行を上手に利用する
これは、すこし格好よく言えば「リレーションシップ」となりますが、要は銀行を上手に利用することが、成功の秘訣の一つです。
そもそも銀行から融資を受けているなら、いろいろと取引(積立預金やクレジットカードを作らされるなど)も頼まれて、仕方なく協力することもあるでしょう。
また今回のケースでは、結局はすべて銀行が段取りして売却までに至ったわけです。
人によっては、自分の意向もあるでしょうが、今回のケースでも、銀行を上手に利用したから成功したとも考えられるわけです。(銀行員として:それも商売なのでご理解ください!)
期間としては、問題の整理から対策立案決定まで2ヶ月、大工さんを探すのに手間取りなどがあり、登記が問題なくできる下準備まで2ヶ月で、売買までおよそ4ヶ月ほどの時間を要しました。
成功の秘訣2.頼れるプロの力を借りる
これは本文中でも記載した通り、問題を解決するにはその問題に関する専門家の力を借りることが重要です。
今回の例も司法書士という頼れるプロの力を借りたことで、問題の整理と解決策が見い出せて、成功したわけです。
もちろん専門家に依頼すれば費用が必要になりますが、悩むだけで解決策を見つけられず最終的に破綻してしまったときの損失の比べれば、頼れるプロへに費用は小さくしかも十分な効果があると銀行員の私は考えます。
成功の秘訣3.必要なのは決断と実行、そして最後は「お金」
そうはいっても、最後には自分が決断しなければ前には進みません。
私は銀行員として、今回の事例のように不動産や資産の売却で窮地を脱出する提案を何度かしてきました。
しかし中には「先祖代々の土地を手放したくない」など決断ができない人もいるものです。
もちろんそうした気持ちも合って当然ですし、銀行も矯正はできないので、結局は決断をしてもらうしかないのです。
そして、何と言っても最後にはお金が必要になる場面が出てきます。
まず、お金がなければ司法書士に依頼することすらできません。
もちろん売却ができてから支払うことも可能ですが、売却にたどり着くまでにも、なにかしらの支払で最低限の自己負担は必要になってくるものなのです。
資金的に「カツカツ」だと、その余裕すら無くなったしまいますので、決断と実行はなるべく早く、そして最低限のお金は準備しておくことが大事です。
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まとめ
今回は、未登記建物と売却についてお話をしてきました。
未登記のトラブルを回避するには問題点の整理、決断と実行が重要でそのためには頼れるプロの力を借りて、銀行も上手に利用する、これが成功の秘訣だと銀行員の私は考えます。
ちなみに私の場合、銀行員としてお客様から相談されると、頼ってもらえたことがうれしく感じてしまい(もちろん仕事として、当然取り組むべきことではありますが)専門家の紹介などにも張り合いを感じて取り組みます。
ですから皆さんも「銀行員なんて、どうせ冷たい人種だから、相談などしたらイヤな顔をされるだけだろう?」などと遠慮しないで、どしどし相談をぶつけてください。