マンションには売却しやすい時期と売却しにくい時期があります。
そのため、時期を見極めて売却活動をスタートすることで、スムーズに売却が完了します。
また、マンションそのものにも売却に適したタイミングがあるので、適切なタイミングでタイムリーに売却することによって、スムーズかつお得に売却することが可能です。
マンション売却に適した時期やタイミングはいつか、詳しく解説していきます。
- マンション売却に適したタイミング
- マンションの売り時を見極める5つのコツ
- 売り時を知るための具体的な行動
マンション売却に適した時期は「2月~3月」
マンション売却に適した時期は2月〜3月だと言われています。
2月〜3月は市場が活発化されるので売りやすくなりますが、成約価格は大きくは変わりません。
マンション売却にはなぜ2月〜3月が適しているのか、詳しく解説していきます。
2月3月は中古マンション市場が活発になる
一般的に2月と3月は中古マンションを売却しやすい時期だと言われています。
4月の新生活に合わせてマンションを購入したいという人が、この時期に増えるためです。
レインズが公表している首都圏の2022年の中古マンションの月別成約件数は次の通りです。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2,760 | 3,146 | 3,405 | 3,094 | 2,877 | 3,003 | 3,104 | 2,346 | 2,990 | 3,072 | 2,797 | 2,835 |
ご覧のように最も多いのが3月、次いで2月となっています。
例年同じですので、4月からの新生活に合わせて、2月と3月は中古マンションの需要が高まる季節だと言えます。
マンションを売りたいのであれば、2月と3月に合わせて売却の準備を進めるのが得策です。
成約価格と売却時期は無関係
マンションの成約価格と売却時期は無関係で、むしろ、売却しやすい時期と反比例していると言ってもよいでしょう。
以下はレインズが公表している首都圏の2022年の中古マンションの月別成約単価です。
1月 | 2月 | 3月 | 4月 | 5月 | 6月 | 7月 | 8月 | 9月 | 10月 | 11月 | 12月 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
64.18 | 62.51 | 65.40 | 68.72 | 65.61 | 66.99 | 68.51 | 67.29 | 69.10 | 69.40 | 69.69 | 69.94 |
2022年は2月がもっとも中古マンションの単価が低くなっています。
あまり需要がない8月や11月や12月にマンションを購入する人は、それだけ検討度が高く、しっかりとマンションを選びたい人ですので、値崩れを起こしにくいためです。
反対に需要が多いタイミングでは、価格優勢で買う人が多いので、価格の安いものから売れていく傾向があるため、成約単価を押し下げている傾向があります。
つまり、2月と3月のハイシーズンはある程度状態が悪く、価格が安いものでも売れますが、そのほかの時期になると売りにくくなることが分かります。
良い物件は時期を問わず売れているということですので、「高い価格で売却したいから、需要の多い時期を狙いたい」などとは考えなくてよいでしょう。
マンション売却に不利な2つのタイミング
マンション売却に不利なタイミングについても理解しておきましょう。
一般的に次の2つのタイミングはマンション売却に不利になると言われています。
- 12月と8月
- 同じマンションから売り出しがある時
なぜ、これらのタイミングでマンション売却が不利になるのでしょうか?
詳しく解説していきます。
12月と8月は成約件数が減少する
12月と8月はマンションの成約件数が減少する傾向にあります。
これは単純に気候や人の動きの問題です。
中古マンションにはエアコンも入っていないことが多いので、12月の寒い時期や8月の暑い時期の内覧は避けたいと考える人が多くなり、外出することも億劫になります。
また、12月は年末年始で帰省する人も多くなり、8月もお盆で帰省したり旅行に行く人が多いので、普段の生活圏に人が少なくなります。
また、8月や12月に人事異動もそれほど多くありません。
このような理由から12月と8月は中古マンションの成約件数が減少する傾向にあります。
マンションは売り出し始めのタイミングが最も売れやすいと言われているので、8月や12月にマンションの売却を検討している方は、あと1ヶ月程度、売却をスタートするタイミングを待った方がよいでしょう。
同じマンションから売り出しがあるタイミング
同じマンションの別室から売り出しがあるタイミングは売却を始めるのを避けた方が無難です。
同じマンションで複数の売り出しがあると、双方の家主が売りやすくするために値下げ合戦になってしまう可能性が高くなるためです。
売却をしている家主は「同じマンションの別室よりも、早く売却したい」という心理が働くので、別室の売り出し価格よりも安い価格へ値下げします。
すると、もう片方の別室の家主も別室に負けないように値下げし、ということを繰り返し、双方が得にならない結果となってしまいます。
また、高層階のマンションの方が一般的には価格が高くなりますが、低層階の部屋が安い価格で売り出されていたら、高層階の部屋も低層界に合わせて値下げを行わなければ売却しにくくなってしまいます。
同じマンションの別室同士で売却することは、双方が話し合って値段を合わせない限りは、値下げ合戦になり、どちらも得をしない結果になるので、すでに同じマンションの別室が売りに出されている場合には、別室の売却が完了するまでは売りに出さない方が無難です。
マンションの売り時を見極める5つのコツ
マンションは次の5つのタイミングになったら売却のチャンスですので、売却を検討した方がよいかもしれません。
- 築20年未満
- 市場が活況な時
- 大規模修繕を終えたタイミング
- ライフイベントのタイミング
- 低金利のタイミング
マンションの売却が有利になる5つのタイミングをご紹介していきます。
築20年未満
レインズによると、中古マンションは築20年を経過すると売却価格が大きく下落を始める傾向があります。
以下はレインズが公表している築年数別の中古マンションの価格です。
築20年未満の物件はそれほど価格が下落しない状況で売却できていることが分かります。
少しでも高値で売却したいのであれば、築20年を経過する前に売却した方がよいでしょう。
築年数が浅い物件は新築マンションよりも価格を抑えられ、経年劣化も少ないので人気が高くなっています。
特に築10年未満のマンションは人気ですので、売却するのであればできる限り早いタイミングの方が有利な価格で売却できるでしょう。
ただし、築25年を超える中古マンションの場合、耐震基準を満たしていることを証明する「耐震基準適合証明書」を取得していないマンションを購入すると、買主が住宅ローン控除を受けることができません。
築20年を超えると、マンションが売りにくくなってしまうので、築20年近くのマンションを保有している場合は、早めに売りに出した方がよいでしょう。
市場が活況な時
市場が活況なタイミングは不動産を売却する際の有力なポイントです。
東京カンテイによると、2013年からマンション価格は上昇を続けています。
2013年から倍近くまで価格が上昇しています。
価格が上昇しているということは買い手市場だと言えるので、市場は非常に活況だと言えます。
価格が上昇しているタイミングは、市場が活況なタイミングですので、価格上昇時にマンションの売却活動を始めるとスムーズに売却できるでしょう。
大規模修繕を終えたタイミング
マンションの大規模修繕を終えたタイミングも、売却には非常に適したタイミングです。
大規模修繕後は、外壁や外観も綺麗になるので、購入希望者の印象がよいので、大規模修繕前よりも確実に売却しやすくなります。
価格面でも修繕前よりも高く売却できる可能性もあるでしょう。
また、大規模修繕によってエレベーターの整備や配管メンテナンスなども行ったばかりですので、マンションを購入する人も安心して購入できます。
大規模修繕が予定されているタイミングや、大規模修繕を行ったばかりの綺麗な状態でマンションの売却活動をスタートさせるのは非常に有効な方法です。
ライフイベントのタイミング
結婚、就職、定年、子供の独立など、自分の身の上にライフイベントが起きたタイミングもマンション売却にはベストなタイミングです。
定年をきっかけに地方へ移住することもあるでしょうし、子供の独立をきっかけに夫婦だけで暮らせる手狭な家を新築するようなこともあります。
いずれにせよ、投資用ではなく居住用として使用してきたマンションは、自分のライフイベントに合わせて売却するのがベストです。
ただし、一般的にマンションが売却できるようになるまでには3ヶ月から6ヶ月程度の時間が必要になります。
すぐに売却できるわけではないので、ある程度時間的な余裕を持って売却活動を進めるようにしてください。
低金利のタイミング
金利が低いタイミングもマンション売却には非常に有利なタイミングです。
マンションを購入する人の多くが住宅ローンを利用するため、低金利のタイミングの方が購入希望者の負担を少なく住宅ローンを借りることができるためです。
フラット35によると、民間金融機関の住宅ローンの金利水準の推移は以下のようになっています。
金利水準は2009年以降最低水準を維持しており、歴史的な低金利水準と言われる今は、まさに住宅ローンの借り手市場の状況だと言えます。
マンション購入希望者にとって、住宅ローンを借りやすいタイミングが低金利のタイミングですので、低金利時代の今のうちに早めに売却活動を始めることも、売却のためには有効な方法だと言えるでしょう。
マンションの売り時を知るための具体的な行動
マンションの売り時を知りたいのであれば、自分で情報収集をしたり、ライフプランを把握することも重要です。
- 月初に公表される住宅ローン金利を確認する
- 毎年発表される公示地価を確認する
- 国で増税や減税の予定がないかを確認する
- 大規模なイベント予定を確認する
- 自分のライフプランを整理する
これらを確認することで、なぜマンションの売り時が分かるのか、詳しく解説していきます。
月初に公表される住宅ローン金利を確認する
毎月頭に公表される住宅ローン金利を確認しましょう。
マンション売却は低金利のタイミングが有利になるためです。
そのため、住宅ローン金利を確認し、「金利が上昇していないか」ということをチェックしましょう。
住宅ローンの金利は金融機関ごとに発表されているので、細かく知りたいのであれば、金融機関各行のホームページを調べる必要があります。
しかしネットで「今月の住宅ローン金利」などと調べると、各行の住宅ローン金利を列挙したニュースなどが表示されます。
また、フラット35のホームページには最新の金利とともに借入金利の推移が公表されているので、推移を確認しながら、今月の住宅ローンの金利が上昇しているのか下落しているのかを確認するようにしてください。
毎年発表される公示地価を確認する
毎年発表される公示地価を確認しましょう。
公示地価とは、国土交通省が発表している土地の価値の算定基準です。
実際の売価は公示地価の1.1倍程度になると言われているものの、少なくとも公示地価の推移を確認すれば、不動産の価格が上昇しているか、下落しているかを調べることは難しくありません。
公示地価が上昇しているのであれば、不動産市場が活況である証拠ですので、売却には適したタイミングです。
他方、公示地価が下落しているのであれば、不動産市場が活発ではなく、売りにくく、売れたとしても売却価格は非常に低くなってしまいます。
毎年発表される公示地価を確認し、価格が上昇もしくは横ばいのタイミングで売却活動を始めるのがよいでしょう。
国で増税や減税の予定がないかを確認する
国で増税や減税など、大規模な税制変更が予定されていないかどうかも非常に重要です。
例えば消費増税が予定されているのであれば、増税後には不動産は非常に売りにくくなってしまいます。
不動産の価格は大きいので3,000万円の売買に対して1%の消費税が増税されるだけで30万円もの違いが生じてしまいます。
そのため、増税が予定されているのであれば、増税が実施される前に早めに売却してしまいましょう。
一方、減税が予定されているのであれば減税が実施されるまで売却活動をスタートさせた方が無難です。
購入希望者も減税を待ってから購入するはずですので、売却活動をスタートさせるのは減税実施後とするのがよいでしょう。
このように、国の税制によって不動産売却に適したタイミングは異なるので、売却活動を始める前に税制が大きく変更される予定がないかどうかを確認してください。
大規模なイベント予定を確認する
国や地域で大きなイベントがあるタイミングは売却に適したタイミングです。
例えば東京オリンピック前のタイミングではオリンピック需要を見越して、首都圏のマンション価格が大きく上昇しました。
このようにイベントによって街や地域の需要が大きく高まるタイミングは不動産市場が活況になり、価格も上昇する傾向があるので、売却には非常に適したタイミングです。
その反面、イベントが終了した後のタイミングは反動によって市場が停滞する傾向にあるので売却には適していません。
つまり、イベントが予定されている場合には、イベントが開催される前が売り時であって、終了後は売却には適したタイミングではありません。
大規模なイベントがあることによって、そのイベントの前後で価格が大きく上下する傾向にあるので、マンション売却を検討している人は、数年以内にどのようなイベントが予定されているのかをしっかりと確認してください。
自分のライフプランを整理する
自分のライフプランを整理して「いつマンションを売却するか」「いつ転居するか」「いつ住み替えるのか」という予定を立てることは非常に重要です。
思いつきでマンションを売却しても思うようなタイミングや価格で売却することは難しくなります。
そのため、ライフプランを整理して、長期的な計画を立てて「いつまでにはマンションを売却したい」という大まかなスケジュールの中で、売却にベストなタイミングを探るのがベストです。
将来的に住み替えや転居を考えている方は、どのようなタイミングで売却するのがよいのかを、ライフプランを整理してスケジューリングするようにしてください。
まとめ
マンション売却には適した時期と適さない時期があります。
1年の中で言えば2月と3月が売り時であり、8月と12月は売却に適していません。
また、市場が活況なタイミングや金利が低いタイミングは全体的に売りやすくなるので、このようなタイミングで売却を検討するのがよいでしょう。
居住用として使用しているマンションを売却するのは、得か損かだけでなく、自分のライフプランの中で売却に適したタイミングか否かによって売却するのがベストです。
まずはライフプランを整理して「いつまでに売却したいのか」を明確にしつつ、高値で売却できる時期やタイミングに合わせて売却活動を始めるとよいでしょう。
- マンション売却は市場が活発になる2月3月が比較的適している
- 売り時には有利なタイミングと不利なタイミングがあるの注意が必要
- 個人的にも情報収集を積極的に行うことで売り時が理解できるようになる