「とにかく早く家を現金化したい」
「なるべく早く高くマンションを売るには?」
「失敗しない不動産会社を選ぶには?」
離婚、相続、借金などさまざまな理由から、一刻も早く不動産を売却したいと考えている方もいらっしゃると思います。
不動産の売却には、不動産会社が購入者を仲介する方法や、不動産会社が買い取る方法、買取保証付きで仲介する方法などがあります。
この記事では早急に不動産を売却する方法、コツ、注意点などを詳しく解説します。
最後まで読めば、適正価格でなるべく早く不動産を売却するためのポイントが分かります。
なぜ不動産を早く売った方がいいの?
中古の不動産は年々資産価値が減少するため、早く売った方がよいのが一般的な傾向です。
なかでも以下のようなときは、多くの場合早く売った方がよいと言われます。
- 転勤などで空き家になっているとき
- 相続したり住まなくなったりしてから3年以内
- 相続した遺産を複数人で分割するとき
- 離婚する夫婦に連帯債務があるとき
- 住宅ローンが支払えないとき
それぞれ解説します。
転勤などによる空き家になっているとき
転勤や別荘などで、複数の不動産を所有している不動産は、住んでいるかどうかに関係なく固定資産税の課税対象です。
空き家にしていると家が痛みやすくなるというリスクもありますし、マンションなら管理費も発生します。
以前は建物付き土地に対して、固定資産税は1/6に減額されていました。
しかし建物が以下のいずれかの状態だと認められた空き家は、固定資産税の減額の対象外(=6倍の税率)になると、2023年6月14日に法改正されました。
- そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
- そのまま放置すれば著しく衛生上有害となるおそれのある状態
- 適切な管理がおこなわれていないことにより著しく景観をそこなっている状態
- その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態
そのため、あまりに状態の悪い空き家つきの土地は、なるべく早く売却したほうがよいでしょう。
引用:国土交通省|空家等【対策】の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)について第2部 補助制度・税制など
相続したり住まなくなったりしてから3年以内
条件を満たして相続した不動産は、3年以内に売却すれば利用できる「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除」があります。
この特例は令和9年12月31日までに売って、以下の要件にあてはまるとき、譲渡所得の金額から最高3,000万円が控除されるというものです。
- 昭和56年5月31日までに建築されたこと
- 区分所有建物登記がされていること
- 相続開始直前に被相続人以外に居住していた人がいなかったこと
また、住まなくなって3年以内の物件の売却は、譲渡所得から3,000万円まで控除できる「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」があります。
この特例を受けるため、さまざまな要件がありますが、特に以下のような家屋は対象外です。
- この特例を受けるためだけに入居したと認められる家屋
- 居住用家屋を新築する期間中だけ仮住まいとして使った家屋、その他一時的な目的で入居したと認められる家屋
- 別荘などのように主に趣味、娯楽、保養目的で所有する家屋
どちらも3年を過ぎると特例は利用できなくなるので、早く売却したほうがお得です。
相続した遺産を複数人で分割するとき
不動産を遺産として複数人で相続した場合、以下の3通りの分け方があります。
分割方法 | 方法 | 問題点など |
---|---|---|
現物分割 | 不動産を物理的に分ける | 建っている建物は物理的に分けられない公道に面しているかや日当たりなど公平に分割ができない |
代償分割 | 特定の人が受け継ぐ代わりにその対価を支払う | 受け継ぐ人は経済的な負担を負う |
換価分割 | 不動産を売却して代金を分ける | 売却できるまで時間がかかる場合がある |
上の表のとおり、換価分割が一番無難な分割方法ですが、税金や管理の問題があるため早急に売却しなければなりません。
離婚する夫婦に連帯債務があるとき
複数人で相続した場合同様、離婚の際不動産が共有の名義であれば、換価分割が必要です。
また住宅ローンがある場合、ほとんどが夫婦の片方が主たる債務者、もう片方が連帯債務者または連帯保証人になっています。
連帯債務または連帯保証人から配偶者を外す手続きをしていない限り、たとえ離婚しても、債務からは逃れられません。
早急に不動産を現金化して、債務をなしにする必要があります。
住宅ローンが支払えないとき
住宅ローンを組んで住宅を購入した後、なんらかの事情で支払いが滞ってしまうことがあります。
金融機関は返済が長期間滞ると、最終的にその不動産を競売にかけて現金化します。
競売で落札された場合、落札者が登記の手続きをして所有権が移ると、債務者は自宅からの立ち退きを迫られます。
そうなる前に、急いで不動産を売却して現金化しなければなりません。
不動産を早く売るための4つの方法
早く売るためには、以下のような4つの方法があります。
- 買取を利用する
- 仲介で売る
- 買取保証付き仲介で売る
- 任意売却する
それぞれ解説します。
買取を利用する
とにかく早く現金化したいなら、「買取」をおすすめします。
買取とは、買取をしている不動産会社に直接買い取ってもらう方法です。
メリット
- 数日~1カ月程度で現金化できる
仲介手数料が要らない
購入希望者を探す必要がない
修繕やハウスクリーニングが不要
契約不適合責任が免除される
売りに出したことが近隣住人に知られない
デメリット
- 相場の7~8割安くなる
買取不可の不動産もある
不動産会社が買取をしていない場合もある
仲介で売る
相場より2~3割も下がるのは嫌だがなるべく早く売りたい場合、「仲介」をおすすめします。
仲介とは、不動産会社を通して購入希望者に売る方法です。
メリット
- 相場で売却しやすい
営業活動や購入希望者探しなどを任せられる
デメリット
- 売却まで時間がかかる可能性がある
仲介手数料が発生する
契約方式によっては複数社に依頼できない
購入後に契約不適合責任がある
買取保証付き仲介で売る
早く売りたいが一定期間は待てる場合は、「買取保証付き仲介」をおすすめします。
買取保証とは一定期間に売れなかった場合、不動産会社が買取る方法です。
メリット
- 売却期間と最低売却価格がわかる
最終的に現金化できる
相場価格で売れる可能性がある
デメリット
- 買取になった場合相場の7~8割安くなる
買取付き仲介ができない不動産会社もある
熱心な営業活動をしてくれない可能性がある
任意売却する
住宅ローンの支払いが滞ってしまい、一刻も早く売却したい場合は、「任意売却」をおすすめします。
任意売却は、借入先の金融機関の了承を得て売却し、売却代金でローンを返済する方法です。
メリット
- 残債があっても分割で返済できる
競売より高く売れる可能性がある
新生活の準備資金を確保できる
住み続けられる場合がある
滞納を周囲に知られずに済む
デメリット
- 任意売却できない場合もある
残債がある場合は支払いが続く
個人の信用情報に傷がつく
期限を過ぎると競売になる
悪徳業者による詐欺が多い
オススメ記事
不動産売買における仲介手数料の早見表と損しないためのポイント
不動産会社の仲介で不動産を売買する場合には、基本的には仲介手数料が発生します。そしてほとんどのケースで上限ギリギリの額で請求されるため、早見表でおよその金額を把握すると同時に最低限の知識をつけておくことが大切です。今後の不動産の売買を考えている方はぜひ本記事を参考にしてみてください。
不動産を早く売りたいときに押さえるべきポイント
不動産を早く売りたいときに押さえるべきポイントには、主に以下の5点があります。
それぞれ解説します。
不動産会社は複数の会社から見極める
不動産会社は複数の会社に査定を依頼して、その中から見極めるようにしましょう。
複数の会社から一括で査定を受けられる「一括査定サイト」を利用すると便利です。
複数に査定を依頼することにより、相場が把握できます。
広告戦略やサービス内容を比較し、最終的には会社の実績と担当者の実力や人柄から、信頼できるパートナーになり得るかを見極めることが重要です。
さらに仲介の場合、以下のように3種類の媒介契約方式があります。
複数社 との契約 |
自己発見 取引※1 |
レインズ※2 への登録 |
業務状況報告 | 契約の 有効期間 |
|
---|---|---|---|---|---|
専属専任媒介契約 | × | × | 5営業日以内 | 1回/1週間 | 3カ月 |
専任媒介契約 | × | 〇 | 7営業日以内 | 1回/2週間 | 3カ月 |
一般媒介契約 | 〇 | 〇 | 任意 | 任意 | 任意 |
※1 自己発見取引:自分で見つけた買主と直接売買すること
※2 レインズ:国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステム
売却が成功するかどうかに関わるので、どこの不動産会社に依頼するか、どの媒介契約にするか、査定額はいくらにするかなど、しっかり検討することが重要です。
自分で相場を把握する
売却相場は不動産会社の出した査定額をうのみにするのではなく、自分自身で把握しておくことも重要です。
相場は以下のサイトで調べられます。
必要書類を早めに揃える
売却時にはもちろんのこと売り出す時点で必要なものもあるので、早めに揃えておくことをおすすめします。
内覧準備に手を抜かない
仲介で売却を依頼すると、購入希望者が実際に物件を見に来る「内覧」があります。
戸建てやマンションの場合、実際に住んでいるときに見に来ることもあれば、空き家状態の物件を見ることもあります。
どちらの場合でも、室内が汚れていたり、散らかっていたりすると、購入希望者はよい印象を持ちません。
不用品やゴミなどは極力内覧までに処分して、できる限り好印象を持ってもらえるよう手を抜かないことが重要です。
特にキッチン・バス・トイレなどの水回りはハウスクリーニングを使ったり、温水洗浄便座だけ新品に交換するなど、多少の費用をかけても見栄えを整えましょう。
また不動産会社によっては、「ホームステージング」を提案してくれるところもあります。
ホームステージングとは、空き家に家具、照明、小物などを配置し、物件を魅力的に見せる方法です。
費用はかかりますが、購入希望者に購入後の暮らしをイメージしてもらいやすく、契約の決断を後押しする可能性があります。
隣地や借主に売却を提案してみる
隣地の住人に買取を打診したり、借家になっている家の売却を検討している場合は、借主に買取を打診したりしてみるのもよいでしょう。
借主は借家を買い取れば、今後ずっと家賃を払わなくてもよくなるし、もし応じてもらえれば貸主は立ち退き料を支払わなくて済みます。
広告費をかけて、不特定多数の人にアプローチする前に、まずは近くにいる人に買取ってくれそうな人がいないか、確認してみましょう。
オススメ記事
マンション売却時の税金シミュレーション:譲渡所得税の計算から節税まで
本記事では不動産売却で税金がかかるケースや特例措置などを具体例を用いて解説していきます。数字を用いてシミュレーションを行なっていきますので、ぜひ今後不動産の売却を控えている方、知識として勉強したい方は参考にしてみてください。
不動産を早く売りたいときの注意点
早く売りたいと焦っているときは、悪徳業者につかまったり、だまされたりするリスクが高まります。
特に以下のようなケースがあるので注意が必要です。
- 買い叩かれるケース
- 囲い込みされるケース
- 買取保証つき仲介のケース
それぞれ解説します。
買い叩かれるケース
購入希望者に早く売りたがっていると気づかれて、「すぐに買うからこの値段にして」と値引き交渉をされるケースがあります。
強引な買い叩きにはきっぱり断るなど、急いでいないという印象を与えることが大切です。
また任意買取の場合、相場よりかなり安い価格で、なり強引に取引しようとする悪徳不動産会社も多いため注意が必要です。
「不動産会社は複数の会社から見極める」でも解説したとおり、複数の会社からしっかり吟味して依頼先をきめましょう。
囲い込みされるケース
不動産会社によっては、売主と買主の両方から仲介手数料を取ろうとして、他の不動産会社からの問い合わせがあっても、商談中と偽って購入させないようにするケースがあります。
このような手法は「囲い込み」と呼ばれており、不動産流通機構(レインズ)によれば囲い込みは禁止行為です。
この点からも複数の会社から検討し、良い仲介業者をしっかり見極めなければいけません。
買取保証つき仲介のケース
買取では安くなってしまうし、仲介ではいつ売れるかわからない。
かといっていつまでも待っていられないからと、買取保証付き仲介契約を結ぶケースも多いでしょう。
期限までしっかり営業活動をしてくれればいいのですが、悪徳不動産会社は最初から買取るつもりで、買取期限まで売れるための努力をほとんどしないケースがあります。
しっかり営業活動をしてくれるのか、誠意ある対応をしてくれるのかは、契約してみないとわかりません。
だからこそ依頼する時点で不動産会社をしっかり見極めることが、一番重要といってもいいでしょう。
オススメ記事
銀行員が「任意売却」を徹底解説〜銀行が任意売却に応じる条件は?断られる物件の特徴は?
本記事では任意売却の基本知識から、他の売却方法との違い、具体的なプロセスなどを詳しく解説していきます。任意売却は基本的な知識だけでなく、メリットやデメリットまでしっかり把握することが大切ですので、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
まとめ
この記事では、不動産を早く売りたいときについて、以下のようなことを詳しく解説しました。
不動産を早く売った方がいいのは、主に以下のようなときです。
- 転勤などで空き家になっているとき
- 相続したり住まなくなったりしてから3年以内
- 相続した遺産を複数人で分割するとき
- 離婚する夫婦に連帯債務があるとき
- 住宅ローンが支払えないとき
不動産を早く売るためには以下の4つの方法があります。
- 買取を利用する
- 仲介で売る
- 買取保証付き仲介で売る
- 任意売却する
また、不動産を早くうりたいときに押さえるポイントは以下の5点です。
- 不動産会社は複数の会社から見極める
- 自分で相場を把握する
- 必要書類を早めに揃える
- 内覧準備に手を抜かない
- 隣地や借主に売却を提案してみる
不動産を早く売りたいとき、以下のようなケースが思わぬ落とし穴になります。
- 買い叩かれるケース
- 囲い込みされるケース
- 買取保証つき仲介のケース
以上のように、依頼する不動産会社を見極めることと、自分自身で物件についての相場や状態を把握することが最重要ポイントです。
この記事を読んでいただき、あなたの大切な不動産を、早く売るためのヒントになれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
参考:不動産を早期売却したい人必見!買取以外でも家を早く売るコツとは【スマイティ】
参考:家を早く売る方法|仲介でも早く売る4つのコツと注意点を解説