築古不動産でも高く売るコツや注意点・売れない原因を徹底解説!

  築古不動産でも高く売るコツや注意点・売れない原因を徹底解説!

実家を相続したなど、さまざまな理由で築古の不動産を所有していて少しでも高く売却する方法を探している。そんな方に向けて、本記事では築古物件を高く売るためのコツを詳しく解説していきます。

濱田 真理
【執筆・監修】濱田 真理

阪神大震災で全壊した実家の再建をきっかけに、宅地建物取引士の資格を取得しました。 不動産会社勤務を経て、現在は不動産系SEOライターをしております。 分かりやすい解説と確かなエビデンスにより、信頼される記事の執筆が可能です。

【保有資格】宅地建物取引士

「築古の不動産は売れない」

「古い不動産をどう処分したらいいか分からない」

「築古の不動産を所有していると損する?」

このように悩んでいる方は多いでしょう。

しかしただ古いから売れないのではなく、売れない理由を知って対策すれば、築古の不動産も高く売れる可能性があります。

この記事では、築古の不動産が売れない原因や、高く売るコツ、売る際に注意することなどを解説します。

この記事を最後まで読んで、売れない原因をしっかり理解し、対策を正しく学べば、売れないことへの不安や心配が減り、築古の不動産もスムーズに売却できる方法が見つかります。

築古不動産の売れない理由と売れる物件の特徴

築古の不動産には、なかなか売れない物件と売れる物件があります。

この章では多くの物件が売れない理由と、売れる物件の特徴を解説します。

築古不動産が売れない理由

築古不動産が売れない理由には以下のようなものがあります。

現在の耐震基準を
満たしていない
旧耐震基準の物件は1981年以前に建てられたもの
築年時期により
住宅ローン控除が
受けられない
1981年以前の建築は耐震基準を満たさないため、住宅ローン控除が受けられない
1982年以降建築で耐震基準を満たしていれば住宅ローン控除は受けられる(2022年度に税制改正)
建物の仕様が古い 断熱材や窓の材質が現代の品質ではないため熱効率が悪い
マンションの場合オートロックがなかったりエレベーターや共用部が古い
修繕積立金が割高
(築古マンションの場合)
以下のグラフの通り、マンションは築年数が古いほど修繕積立金が高くなる
平成30年度案ション総合調査からみたマンション居住と管理の現状

引用:国土交通省|平成30年度案ション総合調査からみたマンション居住と管理の現状

築古不動産でも売れる物件の特徴

築古でも売れる物件には以下のような特徴があります。

立地が良い 土地の安かった頃に駅前や交通の便が良い地域に建てられた戸建てやマンションは土地の希少性もあり新築に比べて安く購入できるため人気
管理が行き届いている
(マンションの場合)
管理が行き届いていれば築古マンションでも人気
フルリフォームされている 売却のために大掛かりなリフォームはしない方が良いが5年以内にフルリフォーム済みの場合は売れやすい傾向がある

立地が良い新築物件は以下のグラフが示すように、築年数が古くなるほど価格が下がるため、築古の物件をリフォームして購入するほうがお得と捉える購入希望者も多いのです。

レインズデータライブラリー|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)

引用:レインズデータライブラリー|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2021年)

築古不動産を高く売るコツ

築古の不動産を高く売るには以下のような6つのコツがあります。

  • 温水洗浄便座だけ新品にする
  • ハウスクリーニングする
  • 内覧会に備えてホームステージングする
  • ホームインスペクションをする
  • 大規模修繕後に売り出す(マンションの場合)
  • 賃貸にして入居者がいる状態で売る

それぞれ解説します。

温水洗浄便座だけ新品にする

温水洗浄便座だけは新品に交換することをお勧めします。

中古物件を購入後リフォームしない購入者でも、多くの場合温水洗浄便座だけは新品に交換するからです。

ハウスクリーニングする

ハウスクリーニングをプロに依頼することをおすすめします。

特にバス・トイレ・洗面所・キッチンなどの水回りは、汚れていると古臭さを感じますが、ハウスクリーニングすると見違えるようにきれいになる場合が多い箇所です。

ハウスクリーニングのタイミングは、できれば内覧会の直前が効果的です。

内覧会にそなえホームステージングする

中古住宅の購入希望者は、ほとんどの場合内覧会を利用します。

内覧会とは購入希望者が、実際に物件を見ることです。

築古物件でもハウスクリーニングをしたり、温水洗浄便座を新品にしたりしたうえで、さらにステージングしていると、契約決定の後押しになります。

ホームステージングについては不動産会社に相談し、料金やサービス内容を確認しましょう。

ホームステージングとは

ホームステージングとは、実際に暮らしているところをイメージしやすくするために、家具や照明、小物などを配置して、物件を魅力的に演出するサービスです。

ホームインスペクションをする

ホームインスペクションとは、住宅の状態を専門的に調査することです。

ホームインスペクションを実施すると、見落としていた瑕疵が見つかったり、全く問題個所がない場合は瑕疵担保保険の付保が可能になったりします。

瑕疵担保保険に加入していると、もし瑕疵が見つかった場合修繕費の一部が保険金で賄えます。

瑕疵が見つかった場合、ホームインスペクションの結果を購入者に提示することで、売買契約後に契約不適合責任を追及されることがありません。

契約不適合責任とは

契約不適合責任とは、契約内容に適合しないものを売った際、売主に問われる責任のことです。 2020年4月に民法の改正で「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」と名称変更しています。
瑕疵とは不動産の場合、土地や建物の不具合のことです。

大規模修繕後に売り出す(マンションの場合)

マンションは一般的に12年程度に1度のペースで、外壁塗装や屋上防水など共用部の修繕工事が行われます。

これは国土交通省の長期修正計画作成ガイドラインに「修繕計画期間は、30年以上でかつ大規模修繕工事が2回以上含まれる期間」を計画するように定められているためです。

大規模修繕工事後5年以内であれば、売却の際の大きなアピールポイントになります。

賃貸にして入居者がいる状態で売る

売りにくい築古物件は、いったん賃貸にして入居者がいる状態にしましょう。

賃貸物件で入居者がいる状態で売ると、投資目的の購入希望者は将来の収益が確定しているため購入しやすくなります。

入居者がいる状態で売ることをオーナーチェンジといいます。

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築古不動産を売却する際の注意点

築古の不動産を売却する際には、以下のような注意点があります。

  • 大規模なリフォーム
  • 空き家にしない
  • 解体しない
  • タイミングを計る
  • ホームインスペクションの実施
  • 境界確定の確認
  • 不動産会社を見極める
  • 売れない場合は買取も検討する

それぞれ解説します。

大規模なリフォーム

築古のマンションに限らず、中古の物件を売却する際、大規模リフォームはおすすめしません。

リフォームした費用が売値に上乗せされてしまうと、築古なのに高いと感じられて売れなくなります。

また中古物件の購入希望者は、購入後にリフォームすることを前提に物件を探しています。

購入希望者の好みにリフォームされていなければ、売却のチャンスを逃しかねません。

リフォームの費用分を値引きしたほうが、購入希望者の契約したくなる気持ちを後押しする可能性があります。

空き家にしない

家は人が住んでいることで、水や空気が循環し状態が保たれます。

空き家にしていると獣害(ネズミや猫)の住処になって汚れたり、上下水道を使わないことで排水管から悪臭がしたりします。

また住んでいれば気づく小さな劣化も、気づかず放っておくと、その部分から劣化が進み、修繕費用が莫大になる可能性も。

空き家になってしまう場合はなるべく定期的に現地に行って、掃除や空気の入れ替えをしましょう。

解体しない

多くの場合築古の建物は資産価値がなく、土地代だけになっています。

しかし建物を解体すると費用が発生しますが、その分を売値に上乗せはできません。

さらに建物があれば固定資産税や都市計画税の控除が受けられるのに、解体して更地になり控除を受けられなくなると、固定資産税は最大6倍、都市計画税は3倍に倍率が跳ね上がります。

タイミングを計る

土地や建物を売ったときに得た利益(譲渡所得)に対して、譲渡所得税が課せられますが、所有期間によって以下のように違いがあります。

  所得税 住民税 復興特別所得税※
短期譲渡所得
(所有期間5年以内)
30% 9% 2.10%
長期譲渡所得
(所有期間5年超え)
15% 5% 2.10%

※ 平成25年から令和19年までは、復興特別所得税として各年分の基準所得税額の2.1%を所得税と併せて申告・納付することになる。

また、譲渡した年の1月1日現在の所有期間となるため、所有した日付によって5年以内になる可能性がある点には注意が必要です。

引用:国税庁|短期譲渡所得の税額計算、国税庁|長期譲渡所得の税額計算

ホームインスペクションの実施

築古の不動産を売却する際、ホームインスペクションの実施をおすすめします。

築古の不動産は何かしら瑕疵があるものですが、ホームインスペクションの実施によって瑕疵があった場合もその事実を開示して契約した場合、その瑕疵に対する責任を追及されません。

費用がかかりますが、必要経費と割り切ってホームインスペクションを行うことで、トラブルを未然に防げます。

境界確定の確認

昔から所有していたり、相続で取得した築古の物件では、隣地との境界が曖昧なことがよくあります。

境界確定が済んでいないと、隣地の所有者との間でトラブルになるリスクが高いため、購入希望者には敬遠されるかもしれません。

境界確定の有無は、販売活動の前に確認しておきましょう。

不動産会社を見極める

築古の不動産を売却する際、以下のような不動産会社に依頼することをおすすめします。

築古物件の実績が
豊富な不動産会社
売却予定の物件に近い物件の取引実績が多い不動産会社は築古の売却ノウハウをもっている
リフォームができる
工務店系不動産会社
中古住宅はリフォーム前提で購入されることが多い
地域の情報に
詳しい不動産会社
条件が厳しい築古物件でも地域の人にしかない利点を知っている

売れない場合は買取も検討する

どうしても売れない場合の最終手段として、不動産会社に買い取ってもらう方法があります。

買取は通常の売買価格より3割程度安くなるため利益は下がりますが、販売活動やホームインスペクションなどの手間がかかりません。

ただし不動産会社によっては買取をしていない場合もあるので、確認が必要です。

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まとめ

この記事では築古の不動産について、以下のような内容を解説しました。

築古不動産の売れない理由には、以下の4点があります。

  • 現在の耐震基準を満たしていない
  • 住宅ローン控除が受けられない
  • 建物の仕様が古い
  • 修繕積立金が割高(マンションの場合)

築古不動産でも売れる物件の特徴には、以下の3点があります。

  • 立地が良い
  • 管理が行き届いている(マンションの場合)
  • フルリフォームされている

築古不動産を高く売るコツには、以下の6点があります。

  • 温水洗浄便座だけ新品にする
  • ハウスクリーニングする
  • 内覧会にそなえホームステージングする
  • ホームインスペクションをする
  • 大規模修繕後に売り出す(マンションの場合)
  • 賃貸にして入居者がいる状態で売る

築古不動産を売却する際の注意点には、以下の8点があります。

  • 大規模なリフォーム
  • 空き家にしない
  • 解体しない
  • タイミングを計る
  • ホームインスペクションの実施
  • 境界確定の確認
  • 不動産会社を見極める
  • 売れない場合は買取も検討する

築古の不動産は、新築に比べて売れにくく売却額も先細りの傾向にあります。

しかし、条件によっては新築にはないメリットもあるため、コツを押さえて対策すれば、築古の不動産でも高く売ることは可能です。

この記事があなたの不動産を高く売るのに、お役に立てれば幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考:築古の収益物件売却では価格の計算方法が変わる?

参考:築年数別のマンション売却の注意点!築古物件を高く売る方法は?

参考:築年の古い投資用不動産を売却する際に注意すべきポイント5つ

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