ライフスタイルや家族構成の変化により、老後の住み替えを検討している人、あるいは自分の親が検討している人も多いのではないでしょうか。
20~30代の時とは異なり、老後は住み替え先に住める時間や住宅ローンの返済期間が短くなり、不安に思うこともあるでしょう。
この記事では、老後の住み替えに適したタイミング、住み替えの選択肢やそれぞれのメリットとデメリット、失敗しないための注意点について解説します。
老後の住み替えを考えるタイミングとは
いつから「老後」と解釈するかは、人によって違うかもしれません。
ここでは、リタイア間近の時期を「老後」とすると、老後の時期に重なる住み替えを検討するタイミングは、主に次の3つが挙げられます。
- 子どもが独立したとき
- 仕事を退職したとき
- 建て替えやリフォームが必要になったとき
それぞれのケースではどのような特徴があるのか、詳しくみていきましょう。
子どもが独立したとき
子どもが一人暮らしや結婚などで家を出てしまうと、それまで子ども部屋として使っていた部屋が不要になります。
そのような部屋を来客用や物置にするだけでは、使用頻度が格段に下がる割には掃除などの手間もかかります。
それであれば、部屋数は少なくても、常に利用するリビング、トイレ、浴室など水回りが広い方が快適性は高く、有効活用できそうですよね。
また、老後は車椅子の使用を想定をしている方も多く、広さにゆとりがある場合は、廊下やトイレなどを広くするなど仕様変更をすることで、老後の生活がしやすくなります。
または、それまでの生活空間から不使用になった部分を省いたコンパクトな家の方が生活しやすい場合は、家の規模を縮小するダウンサイジングという選択肢もあります。
仕事を退職したとき
会社を退職すると、通勤に便利な立地に住む必要がなくなります。通勤がなくなることでライフスタイルが変わり、住みやすい立地の条件が変わってくることもあるでしょう。
例えば、家で料理をする時間が増えてスーパーやコンビニが近所にあった方がよい、スポーツクラブや趣味へ通いやすいところがよい、などです。
家で過ごす時間も増えるため、読書用の書斎が欲しいなど、居住空間の快適性をこれまで以上に重視する可能性もあります。
リタイア後は、今までできなかったことをやるチャンスでもあります。
そのため、野菜づくりをしたい、自然の中を散歩できる環境に住みたい、などの希望があれば、自然豊かな場所や庭を作れる広い敷地が叶うエリアに住まいを変えることも考えられます。
建て替えやリフォームが必要になったとき
家が老朽化すると、いずれは建て替えやリフォームが必要になります。
木造戸建ては、一般に築22年経過すると、耐用年数の観点から資産評価がゼロとなります。
築20年以上の戸建ては建て替えまでは必要なくとも、大幅なリフォームの検討時期になってくるともいえます。
マンションは、築10年以上で外壁など共用部の大規模修繕工事が行われることが多いため、築10年が1つの目安と考えられます。
住人も歳を取ると、つまずきやすくなったり、車いすでの移動が必要になったりするので、内装のバリアフリー化が検討されることになります。
家の老朽化やバリアフリー化への対応は、これまで住んでいる家に手を加えても対応できますが、老朽化の程度によっては思い切って住み替えをするほうが簡単な場合もあります。
家のリフォームが必要になったタイミングも、住み替えを検討するタイミングとして挙げられますね。
老後の住み替えの失敗例
老後の住み替えは、ほとんどの方が終の棲家を探すためのもの。万が一失敗した場合、取り返しがつかない恐れもあるでしょう。
失敗を避けるためには、あらかじめ失敗パターンについて知っておくことが大切です。よくあるパターンを、具体的に5つ紹介します。
①タイミングで失敗
老後の住み替えは、タイミングが重要です。タイミングを間違えると、住み替えできなくなったり、手続きをスムーズに進められなくなったりする恐れがあります。
【タイミングが早すぎた場合】
まだ年齢が若く、老後の生活をうまくイメージできないまま、物件を決めてしまったというケース。
駅や病院、スーパーといった生活に必要な場所からのアクセスが悪く、不便を強いられてしまい、外出そのものが億劫になる、などが考えられます。
【タイミングが遅すぎた場合】
住み替えのタイミングを後回しにした結果、損をしてしまったケース。
- 希望条件での住宅ローンが組めなくなった。
- 体力や気力が低下し、住み替えるのが億劫になってしまった。
- 高値で売却できる時期を逃し、損をしてしまった。
このように、タイミングが早すぎる場合よりも遅すぎる場合の方が、影響は大きくなりがちです。
実際に住み替えするかどうかは別として、できるだけ早いタイミングから、大体のスケジュールだけでも立てておくのがおすすめです。いざというときに、動きやすくなるでしょう。
②資金計画で失敗
住み替えをするためには、ある程度の資金を用意する必要があります。
とはいえ、老後の収入源は限られているもの。だからこそ、資金繰りで失敗するケースも多く見られますので、以下のパターンに注意して資金計画を立てることをおすすめします。
【手元の現金を使い過ぎてしまう場合】
新居購入のために、手元の現金を使い過ぎてしまうケース。
- 退職金を頭金につぎ込んだところ、手元にほとんど残らなかった。
- 住居費用が高くなり過ぎたため、日々の生活が苦しくなってしまった、など。
これを防ぐためには、老後の資金としてどれだけ必要か?ライフプランニングシミュレーションをしておくのがおすすめです!
【住宅ローンを借り過ぎてしまった場合】
住宅ローンを借り過ぎてしまったケース。
- 借りられるだけ借りたら、毎月の返済が予想以上に苦しかった。
- 定年後も一定期間は働くつもりで住宅ローンを組んだが、病気により退職せざるを得なくなった、など。
万が一、住宅ローンを返せなくなった場合、最悪せっかく手に入れたマイホームを手放す羽目になる可能性もあります。
理想の住まいを探すことは、もちろん大切。
しかしそれと同じくらい、「身の丈に合った予算計画」も重要なのです。
③物件選びで失敗
いざ住み替えとなると、気持ちも高揚しがち。しかし、憧れやイメージだけで物件選びをすると、失敗の原因になってしまいます。
【実生活がイメージと異なっていた場合】
実生活がうまくイメージできなかったケース。
- 「介護しやすいよう広い家を」と思って戸建てを購入したものの、維持管理が大変で庭まで手が回らない。
- 間取りが実生活に合っていなかった、など。
物件選びは、老後の住まいをイメージすることが大切です。しかし、同じように現在の生活もしやすい空間であることもまた大切なのです。
両方満たす物件はなかなかないかもしれませんが、後悔の無いよう、しっかり検討しましょう。
【物件タイプ選びを間違えてしまう場合】
物件タイプ選びを間違ってしまったケース。
- 利便性に優れたマンションを購入したものの、上下左右の物音が気になって仕方がない。
- 住居費を安くするために賃貸物件を探したが、家賃の負担が重い、など。
どういった物件を選ぶのかは、老後の生活に深く関わってくるポイントです。憧れやイメージだけで安易に決定するのではなく、できる限り具体的にイメージしながら決めましょう。
④住み替え先の環境選びで失敗
物件ではなく、住み替え先の環境が原因で失敗してしまうケースもあります。事前のリサーチ不足が原因と言えるでしょう。
【必要な施設からの距離が遠い場合】
老後の生活に必要な施設からの距離が遠いケース。
- 病院へのアクセスが不便で、日々の生活が大変になった。
- どこへ出かけるにも交通費がかさむため、住み替え前よりも外出するのが億劫になった、など。
必要な施設からの距離が遠いと、外出するのが億劫になり外に出なくなってしまうなど、老後の生活が楽しいどころか衰退してしまいます。
【住み替え先地域に馴染めなかった場合】
住み替え先に馴染めず孤立してしまうケース。
- 住み替え前は近隣の人々との交流も活発だったが、住むエリアが変わって孤立してしまった。
- 田舎暮らしに憧れて引っ越したものの、想像以上に大変だった、など。
特に、高齢者の孤立は、非常に大きな社会問題です。
地域の人との交流がなくなれば、必要な情報が入ってこなかったり、孤立感を強めてしまったりする可能性があるでしょう。
地域の環境を構成する要素は多岐にわたるため、すべてをチェックするのは難しいかもしれませんが、できる限り確認しておきましょう。
⑤現在の住まいの売却で失敗
持ち家から住み替えする場合、マイホームの売却が必要になるケースも多いもの。
住み替え先での生活はうまくいっても、この不動産売却で失敗する方もいます。
【相場よりも安い価格で売却してしまう場合】
- 不動産会社1社のみの査定額を鵜呑みにして、相場よりもかなり安い価格で売却してしまった。
- 新居購入のタイミングと合わせるため、価格を下げざるを得なかった、など。
住宅ローンや次の住まいの関係上、安い価格でも売却しなければならない状況になるかもしれませんが、そうではない場合は、じっくり売却価格を検討することをおすすめします。
【マイホームが売れない場合】
- 不動産売却が初めてで、どうすれば良いのかわからず、いつまでも売れ残ってしまった。
- 新居取得の方に力を入れ過ぎて、売却活動が疎かになってしまった、など。
この他にも、旧居売却と新居購入のタイミングが合わず、余計な費用が発生してしまうケースもあります。
老後の住み替えは、「旧居を売却したお金で新居を用意する」というスタイルが基本です。できるだけ高く売却できるよう、しっかりと取り組んでみてください。
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老後の住み替えでマンションに住むメリット・デメリット
老後の住み替えで、人気が高いのはマンションです。具体的に、どのようなメリットが期待できて、どのようなデメリットを考えなければならないのでしょうか。
メリット
- 駅近を選びやすい
- 買い物施設が充実している
- 病院が多い
- 自治体関連施設へのアクセスも容易
デメリット
- 近隣の(騒)音が気になる場合がある
- ローン返済以外にも、管理費や共益費、修繕積立金などの負担が生じる
マンションに住むメリット
老後の住み替えでは、周辺環境がとても大切。
集合住宅であるマンションは、地域の中心部に建設されるケースが一般的です。
利便性の良い場所に位置するマンションでは、以下のようなメリットを享受しやすくなるでしょう。
- 駅近を選びやすい
- 買い物施設が充実している
- 病院が多い
- 自治体関連施設へのアクセスも容易
また、所有エリアの中に階段がないワンフロアのマンションなら、階段の上り下りで怪我をする恐れもありません。高齢になっても安心して生活できる点は、非常に大きなメリットです。
さらにマンションでは、自分たちでは大変な物件の維持・管理も、プロにお任せできるため、どのようなときでも安心です。
マンションに住むデメリット
一方で、マンションのデメリットは以下のとおりです。
- 近隣の(騒)音が気になる場合がある
- ローン返済以外にも、管理費や共益費、修繕積立金などの負担が生じる
これまで戸建てで生活していた場合、マンション暮らしのデメリットが気になってしまう可能性も。
特に費用面では、ローンを借りずに自己資金でマンションを購入したとしても、管理費や修繕積立費がかかる面には注意が必要です。
マンションに住み替えた成功例・失敗例
マンションに住み替えた成功例
老後の住み替えでマンションを選ぶ方は、コンパクトでも充実した暮らしを求めるという方が多いのではないでしょうか。
不必要なものは手放して、少ないもので楽しく、シンプルに暮らす人が増えています。片づけや掃除の手間が減り、節約にもなると、いいことづくめでもあります。
成功ケース(50代夫婦)
- 子どもが独立したので、広過ぎて掃除が大変な一軒家から、2LDKのちょうど良い広さのマンションに住み替えました。
郊外の戸建てから立地の良いマンションに引っ越すと、一気に買い物のしやすさがアップしました。
病院などに通いやすくなるのも、老後を考えた時の魅力でした。
立地条件が良いマンションだからこそ、叶った住みやすさだと思います。
マンションに住み替えた失敗例
住み替えを考える際は、部屋の間取りだけではなく周辺環境もとても大切です。
具体的には、周辺施設や最寄り駅までの道のりが勾配のきつい坂であったり、あまり治安の良くない道を通らなければならなかったりと、周りを散策してみないとわからないことも。
失敗ケース(40代3人家族)
- マンションが高台にあり、遠くには海も少し見えるほどの風景が気に入って住み替えました。しかし、最寄り駅から帰宅するときには勾配の強い坂道を登らないと家にたどり着かないことに気が付きました。
今は車を使用しており不便は感じませんが、車に乗れなくなった時や徒歩で出歩く場合は外に出るのが億劫になってしまうかも・・・
マンション自体は気に入っていますが、もう少し周辺環境を考えるべきだと思いました。
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老後の住み替えで戸建てに住むメリット・デメリット
老後を戸建てで過ごす場合、集合住宅であるマンションとは違い、ペットを飼ったり、建物をリフォームしたりと、より自分好みのライフスタイルを手に入れられることが大きな魅力です。
その一方、建物や庭などの管理やセキュリティ対策等も自分で行う必要があります。そのため快適な環境を維持するためには、やはり費用と手間がかかってしまいます。
多少のコストを割いてでも理想の暮らしを追求したい方、誰かが家周りの面倒をみてくれる方などにおすすめです。
メリット
- 静かな環境で落ち着いて生活しやすい
- 生活の自由度が高い
- ペットを飼いたい
- 庭でのんびりガーデニングを楽しみたい
- 自由にリフォームしたい
デメリット
- 物件の維持・管理は基本的に自己責任
- 立地の良さやセキュリティはマンションよりも劣る
- 生活動線が悪くなりがち
戸建てに住むメリット
戸建てであれば、近隣からの騒音に悩まされるリスクは低くなります。自分のペースで、落ち着いて生活しやすいでしょう。
戸建てを選択するメリットは、以下のとおりです。
- 静かな環境で落ち着いて生活しやすい
- 生活の自由度が高い
- ペットを飼いたい
- 庭でのんびりガーデニングを楽しみたい
- 自由にリフォームしたい
こうした願望を叶えやすい点も、戸建ての魅力です。「老後は○○したい」という明確な希望がある場合、戸建て物件であれば実現しやすいでしょう。
戸建てに住むデメリット
一方で、無視できないのが戸建てのデメリットです。
戸建てを選択した場合、マンションのように維持費や管理費、修繕積立金を一律で取られることはありません。ローン返済のみで済むため、毎月の支出は低く抑えやすいです。
ただ、マンションと違って、物件の維持・管理・修繕は、全て自己責任となり、費用も自己負担となります。
特に大きな庭のある戸建ての場合、後々、メンテナンスが負担になってしまう可能性も。終の棲家だからこそ、将来を見据えた判断が重要です。
そして、老後の住まいには、平屋がとても人気です。階段の上り下りが大変な場合、平屋の戸建てを選択することで、生活動線に関するデメリットを最小限にできるでしょう。
まとめると、
- 物件の維持・管理は基本的に自己責任
- 立地の良さやセキュリティはマンションよりも劣る
- 生活動線が悪くなりがち
老後の住み替えでは中古マンションが人気ですが、戸建てには戸建てのメリットがあります。
「どのような老後を実現したいのか?」という視点で、焦らずじっくりと検討してみてください。
戸建てに住み替えた成功例・失敗例
戸建てに住み替えた成功例
成功ケース(50代夫婦)
- 今まで通勤に便利な立地の良いマンションに住んでいましたが、あと数年で定年退職するためそこまで立地にこだわらなくなった代わりに、家の快適さを求めるようになりました。
そこで、郊外の土地で平家の購入を検討していたところ、敷地の目の前が田園風景という理想的な土地に出会い、ほぼほぼ土地購入を即決。
定年前だったことでローンを組めたので、老後の資金も蓄えながら憧れだった平屋を建てました。
休日はゆったり庭で過ごし、とても快適な生活を送っています。
戸建てに住み替えた失敗例
失敗ケース(60代ご夫婦)
- 長年勤め上げた会社を退職し、終の住処を考えるようになりました。
そこで郊外の平屋を検討していたところ、理想的な住まいを見つけ、購入を決断しました。
そこまではよかったのですが、退職済みということもありローンが組めません。
退職金や貯蓄もある程度あったので、現金で購入することにしましたが、老後の蓄えがほとんど無くなってしまいました。
定年前に購入できていれば、ローンも組めて資金にも余裕があったのに、少し後悔しています。
老後の住み替えで子どもと同居するメリット・デメリット
老後の住み替えで、子ども世帯と同居することを検討できるのであれば、新しく物件を買ったり借りたりする費用はかかりません。一人暮らしではないため、本人にとっても家族にとっても、安心感があるでしょう。
独立した子どもや子世帯と同居するという選択肢もあります。子どもがまだ働き盛りで忙しく過ごしている時期であれば、家事などを分担すると喜ばれるでしょう。
メリット
- 住宅ローンを子世帯と協力しながら組める(親子リレーやペアローン)
- 住宅購入費や入居後の光熱費などを、親子で補完し合える
- 介護が必要になった時に家族の協力が期待される
- 孫がいれば、成長過程を見守れる
デメリット
- お互いに同居によるストレスを感じる
- 孫の面倒をみることがストレスになることも
- 共有キッチンでは、嗜好が異なる食事を調理する際に不便なことがある
- 二世帯住宅の場合は将来売却しにくい
子どもと同居するメリット
特に孫がいる場合、子ども世帯にとってのメリットも大きいです。特に共働き世帯であれば子どもの送迎や世話などを両親に手伝ってもらうこともできるため、安心して暮らせるでしょう。
経済的負担も折半すれば、お互いにメリットがあります。
子どもと同居するメリットとしては
- 住宅ローンを子世帯と協力しながら組める(親子リレーやペアローン)
- 住宅購入費や入居後の光熱費などを、親子で補完し合える
- 介護が必要になった時に家族の協力が期待される
- 孫がいれば、成長過程を見守れる
子どもと同居するデメリット
誰かと一緒に住むことは、その分気を遣う場面も増えますし、人によってはメリットよりデメリットを大きく感じることもあります。
子どもと同居するデメリットとしては、
- お互いに同居によるストレスを感じる
- 孫の面倒をみることがストレスになることも
- 共有キッチンでは、嗜好が異なる食事を調理する際に不便なことがある
- 二世帯住宅の場合は将来売却しにくい
子どもとの同居を考える場合は、キッチンなどの水回りは別にする、ある程度居住空間を分けておくというのが有効です。
老後の住み替えで賃貸に暮らすメリット・デメリット
昔は「若い頃にマイホームを建てて一生住み続ける」というのが主流でしたが、最近は現役時代にあえて身軽な賃貸住宅に住み続ける方も増えてきました。
老後を考えて、賃貸に暮らすことはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
メリット
- 初期費用を抑えられる
- ローンのリスクがない
- 気軽に引っ越しができる
- セキュリティが安心
- 高齢者向けの賃貸を選べる
デメリット
- 一生家賃を払い続ける必要がある
- 好きなようにリフォームができない
- 契約や更新はできない可能性がある
賃貸に暮らすメリット
アパート・マンションなどの賃貸は、ライフスタイルの変化に合わせて気楽に引っ越すことが可能です。
そのときに必要な部屋数・間取りの住まいを選べたり、老人ホームへの入居を検討する際も賃貸なら住み替えがしやすかったりします。
賃貸なら、購入より初期費用が安くなることが多いので、より気軽に賃貸を検討することができるのではないでしょうか。
また、賃貸にはオートロックや防犯カメラが設置されている物件が多く、セキュリティ面でも安心です。
そして昨今、バリアフリー設備が充実した高齢者向け賃貸住宅も増えています。エレベーターやスロープがあったり、段差が少ない設計になっていたりなど、高齢者が暮らしやすい賃貸住宅が選べることもメリットでしょう。
物件によっては、入居・居住支援サービスや介護サービスを実施している場合もあります。
老人ホームへ入居するまでではないものの、高齢でも安心して暮らせる部屋に入居したいという方におすすめです。
老後に賃貸で暮らすメリットをまとめると、
- 初期費用を抑えられる
- ローンのリスクがない
- 気軽に引っ越しができる
- セキュリティが安心
- 高齢者向けの賃貸を選べる
賃貸に暮らすデメリット
一方で、家賃の支払いが負担になるなどデメリットもあるため、慎重に検討しなければ後悔することになってしまいます。
定年を迎えて収入が年金だけになれば、家賃の支払いは大きな負担となるでしょう。
さらに賃貸は更新があるため、更新料や火災保険料も必要です。家賃を払い続けていけるかどうか、家賃以外の支出も含めて老後のライフプランを確認しておくようにしましょう。
また、好きなようにリフォームできない点もデメリットの一つです。借主には原状回復義務があり、許可なく間取りを変えたり、壁に穴を開けたりできません。
賃貸物件の場合には、大家さんや管理会社がメンテナンス費用を負担してくれることはメリットですが、基本的に自身でのリフォームはできないと理解しておきましょう。
さらに、気軽に引っ越せるのは賃貸の魅力ですが、高齢になるほど契約や更新が難しくなる点には注意が必要です。定期的かつ安定した収入がないとみなされることから、高齢者は契約や更新を断られるリスクが高くなります。
賃貸は住み替えしやすいメリットがあるものの、物件の選択肢は狭くなる可能性があることを知っておきましょう。
老後の賃貸暮らしのデメリットとしては以下の3つを覚えておきましょう。
- 一生家賃を払い続ける必要がある
- 好きなようにリフォームができない
- 契約や更新はできない可能性がある
老後の住み替えを成功させるポイント
老後の住み替え比較表
ここでは、所有マンションと戸建て、賃貸の特徴や費用を簡単に表にまとめました。
各メリットデメリットは前章を参考にしてみてください。
マンション(所有) | 戸建て(所有) | 賃貸(アパート・マンション) | |
---|---|---|---|
特徴 | ◯立地が良い ×修繕・管理費が高い |
◯自由に暮らせる ×立地が限られる |
◯気軽に引っ越せる ×家賃を払い続けなければならない |
初期費用 | 仲介手数料、不動産取得税、 登記費用、ローンの場合手付金など |
不動産取得税、登記費用、 ローンの場合手付金など |
仲介手数料、敷金など |
固定費 | ローン、管理費、積立修繕費、 固定資産税 |
ローン、固定資産税 | 毎月の賃料、更新料など |
老後の資金計画をしっかり立てる
老後は就労所得がなくなり、経済的には年金や今まで貯蓄してきた分を生活に充てることになりますので、現役時代と同様の感覚でお金を使わないよう注意が必要です。
老後の生活費を確保しながら、老後の住み替えを検討する際は、余裕を持った資金計画が大切です。
以下、3つの手法をご紹介しますので、必要に応じて適宜3つを組み合わせて上手に利用しながら準備をするとよいでしょう。
- 退職金や貯金
- 現在の住宅の売却資金
- 住宅ローン
①退職金や貯金
退職金や貯金の一部を利用する方法です。持ち家などの売却資金に加え、新居購入に足りない分を退職金や貯金の一部で補填する方が多いです。
しかし、老後は収入の大幅な減少が見込まれます。退職金や貯金は老後の生活費を賄うための大切な資金なので、まずは老後の生活費が月にいくら必要かを試算してみましょう。
仮に老後の夫婦の生活費に月20万円必要で、年金収入が15万円なら、不足額は月5万円で年間60万円を貯蓄から取り崩すことになります。
老後を65歳から90歳までの25年と見積もると、1500万円(60万円×25年)は老後の生活費に最低でも残すべき貯蓄残高です。
老後の生活費を賄うだけの費用を取りおいてから、住居費へ計画的に使いましょう。
②現在の住宅の売却資金
現在持ち家に住んでいれば、家を売ったお金を老後の住まいの購入に充てられます。高く売れれば売れるほど、住み替える家の購入予算を多く見積もることもできますし、余ったのであれば老後の蓄えにもなります。
一般に、土地の価格が物件価格に影響しますので、売却時期は地価の高い時がねらい目です。
地価が上昇するタイミングには、インフレが進んでいる時や、地域的に利便性が上がる時、などが考えられます。例えば、近隣で公共施設やショッピングセンターができるなどの計画があれば、地価は上昇することが期待できます。
建物は経年とともに価格が下がるのが一般的です。購入時には最新モデルだった設備の仕様も時代と共に旧式化し、経年劣化も進むため、建物は早く売るほど高く売りやすいといえます。
③住宅ローン
民間金融機関の借入可能年齢は、満65歳~満71歳未満、最終返済時は満80歳~満81歳未満のことが多いです。
60代でも健康で安定した収入があれば、住宅ローンを組めますが、60代での住宅ローンは、最終返済時を80歳とすると、借入期間は最長20年で借入金額も少なくなります。
また、80歳まで働き続けるのは難しいので、更に短い借入期間にする、頭金を多めに入れる、50代〜などもう少し早い時点からの借入を検討する、などが現実的です。
もし子どもと同居をするのであれば、2世帯住宅を建てたとしても親子リレー返済や子どもとのペアローンで、借入期間や借入額を増やせます。
また、なるべく低金利で借りられるよう金融機関や金利動向にも注意しておきましょう。
車がなくても困らない生活動線をイメージしておく
老後の生活において、重視するべきポイントの一つが、交通の便についてです。老後に必要な施設が徒歩圏内にあることや、公共交通機関で行きやすいことが大切。
駅やバス停が近くにあれば、日々の移動も楽になります。「移動が面倒で、外に出かける機会が少なくなる」といったリスクも避けられるでしょう。
「交通の便は悪いが、車で移動できるから大丈夫」と考えるのは危険です。いつまでも車の運転ができるとは限りません。
「車が無くてもどこへでも自由に行ける環境」を選ぶことで、老後の生活の自由度はぐんと上がります。将来を見据えた選択をしてください。
今の住まいの売却を先行する
今持ち家の方が、老後に向けての「住み替え」をする場合、もっとも大事になってくるのが、今の住まいの売却。
住み替えをしようと思ったタイミングで、売却計画を立ててしまうと、何十万、何百万円も損をしてしまった…と後悔する可能性があるからです。
売り時のタイミングであると判断したら、すぐに売却活動をスタートできるように事前準備をしておくことをおすすめします。
老後の住み替えのためにマイホームを売却する場合、できるだけリスクの低い方法を選択し、更に少しでも高値で売れるタイミングと不動産会社を選ぶ必要があります。
「不動産一括査定サイト」を利用すれば、複数業者に査定依頼を出せます。現在の自宅価値を明らかにできるのでおすすめです。
一般的な不動産売却には、自宅の売却を先に進める「売り先行」と、新居の購入を先に進める「買い先行」の2タイプがあります。
老後の住み替えでは、「売り先行」を基本として検討しましょう。売り先行なら、資金計画に無理が生じにくいというメリットがあります。住宅ローン計画も立てやすくなるでしょう。
売却の見込みが立ち、入ってくるお金の目途が立ったら、そのお金をもとに新居の購入手続きをスタートできます。
今までの住まいを売却してから新居を購入する売り先行の場合、仮住まいが必要になる可能性も。
引越しの手間や費用は増えますが、新居購入前に現地の雰囲気を確かめられたり、ゆっくりと次の住まいを考えられたりするのでおすすめです。
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まとめ
老後の住み替えを成功させるためには、しっかりとご家族のライフプランを立てた上で、検討する必要があります。
- 資金計画
- 老後のライフスタイル
この2つのポイントをどれだけしっかり考えておくかが、老後の住み替えの成功を左右します。
この記事では、住み替えを検討している段階で考えられる選択肢やそれらのメリット・デメリットを紹介しました。
この記事を参考にして、可能な限り失敗を避けることで、老後の安心を手に入れてくださいね。