結婚や出産、子供の独立など、ライフスタイルが変化することでマンションの売却を考える方は多いでしょう。
それとは別に、「マンションは築20年までに売却した方が良い」ということを耳にしたことがある人は多いのではないでしょうか。
新築時はピカピカでトレンドを取り入れていたマンションも、築20年を過ぎると室内や共有部分に少しずつ古さを感じるようになります。
しかし、築20年のマンションはまだまだ需要があるのか、売却はできるのか、そう疑問に思うかもしれません。
結論から言うと築20年のマンションでも十分に売却できますが、築年数が経つほど売れにくくなるため、なるべく早く売却することがおすすめです。
この記事では築20年のマンションを売却した方が良いか?また上手にマンションを売却する場合の注意点などを紹介します。
- 築20年マンションの売却相場
- 築20年までにマンションを売却した方がいいと言われている理由
- 築20年マンション売却で失敗しないための注意点
築20年マンションの売却相場
築20年マンションの売却相場は購入時の8割
東日本不動産流通機構の調査結果によると、首都圏における築20年のマンションの売約相場は5,426万円で、新築マンションの平均価格より約2割下落します。
一般的に、マンションの売却相場は築年数が下がるほど下落する傾向にあります。
そのため、売ることを決めたらなるべく早くマンションを売却したほうが高く売れます。
(出典)東日本不動産流通機構「レインズデータライブラリー・マーケットデータ(2022年)」
グラフから分かるように、首都圏の中古マンションも中古戸建ても、築年数が古くなるほど成約価格(売却価格)が安くなる傾向にあります。
売却相場の調べ方
売却相場を調べるには、レインズマーケットインフォメーションを利用するのがおすすめです。
レインズマーケットインフォメーションは、区ごとのデータだけでなく、沿線、最寄駅、駅からの距離、間取り、築年数、成約時期、用途地域を絞り込んで成約価格データを検索できます。
エリアや物件の築年数、間取りなど自分のマンションに近い条件で検索することで、同じような条件の物件の売却相場をつかみやすくなります。
ただし、物件の売却価格は個別の要因や取引事情によって変動するため、すべての物件が必ず相場に近い価格で売却できるとは限りません。
あくまで売却前や売却価格を決定する際などの事前情報として参考にしてください。
中古マンションの過去の取引情報は、国土交通省の「土地情報システム(不動産取引価格情報検索)」でも見られます。
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マンションは築20年までに売った方が良い?
築20年マンションの成約率
レインズのレポートによると、2020年以降、首都圏の中古マンションの成約㎡単価は上昇傾向にあるため、中古マンションは現在売り時であると言えます。
まず、築年数の違いによって売却しやすさに違いがあるのでしょうか?考えてみましょう。
首都圏で、2022年に新規に売りに出された中古マンションの平均築年数は28.16年で、10年前から連続して上昇しています。
このことから分かるのは、売りに出される中古マンション全体としては、築年数が古いものが増えてきている、ということです。
その一方、2022年の1年間に成約した中古マンションの平均築年数は23.33年(前年22.67年)になっています。
このことから、実際に売買された物件の平均築年数は売りに出される築年数とは開きがあり、築年数が古いほど売りにくいことが分かります。
図:2022年の首都圏中古マンションの平均築年数
(画像引用元):レインズデータライブラリー「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」
では、築20年の中古マンションは成約する可能性が高いのでしょうか。
首都圏中古マンションの築年数別成約率のデータから考えてみましょう。
- 築31年以上…13.9%
- 築26~30年…17.5%
- 築21~25年…22.2%
- 築16~20年…28.1%
- 築11~15年…30.9%
- 築6~10年…35.2%
- 築0~5年…28.6%
出典:レインズデータライブラリー「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2022年)」
2022年の成約率のデータでは、「築6~10年」が35.2%と最も高く、対して「築31年以上」は13.9%と最も低くなっているため、中古マンションは、築年数が古くなるにつれて売却しにくくなる傾向にあることが分かります。
さらに、築16〜20年までは成約率は28%と約3割程度あるのに対し、築20年を超えると一気に2割程度まで下がることがわかります。
そのため、築年数から考えると、築20年までに売った方が成約率が上がることがいえます。
築20年のマンションはまだ現役?それとももう古い?
築20年のマンションを所有するあなたにとって、そのマンションは古いものでしょうか。それとも、まだまだ現役で利用し続けられるマンションという認識でしょうか。
あなたがまだ新しいと思っていても、買い手はどうでしょうか?
買う側にとって重要なポイントは「あと何年住めるのか(いつまで住めるのか)」「数年後に資産価値がどうなるのか」ということです。
2つのケースで考えてみましょう。
①小さな子どもがいる夫婦のケース
- 築20年のマンションを買う場合を考えてみると、子どもが独立する頃にはマンションは築40年程度になっています。このタイミングで住み替えを検討する場合、築40年のマンションには資産価値はあるのでしょうか。
築40年の場合、建物としての寿命や耐用年数(鉄筋コンクリート造のマンションの場合は47年)を考えると、いつまで住めるか不安になる人も多く、売却は難しいかもしれません。
②終の住まいを探している老夫婦
- 住み替えを検討しない場合は資産価値を気にする必要性も低く、あと何年住めるかということのみを気にしている場合が多いでしょう。
築20年のマンションもあと30年〜40年程度は問題なく暮らせるため、終の棲家としてはオススメです。
このように築20年のマンションは、買う側の立場によって現役にも古びれても見えるボーダーラインの築年数と言えるでしょう。
築20年の中古マンションは、市場在庫が少なく需要が高い
さきほどの首都圏中古マンションの築年数別成約率データを見てみると、築16〜20年マンションの成約率は、築6~10年マンションと比較しても非常に高い水準であることが分かります。
築16~20年…28.1%
築6~10年…35.2%
このことから、成約率に関しては築20年マンションは築年数全体で見てもかなり高い部類に入ることが分かります。
一方で、築20年を過ぎてしまうと急激に成約率は低下していることにも注意が必要です。
築20年前後のマンションは早めに売却しないと急激に売却相場も成約率も低下していくため注意が必要であることをよく理解しておく必要があります。
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築20年マンション売却で失敗しないための注意点
複数の不動産会社に査定を依頼する
築20年のマンションを高く売却するために、必ず複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。
マンションの査定額は不動産会社の過去の実績や直近の市況から算出されるため、不動産会社によって金額に差が出ます。
不動産会社によっては100万円以上の差が出ることも。
安すぎる価格を提示してくる企業はもちろん、明らかに相場より高い金額を提示する不動産会社にも注意が必要です。
複数社から査定を受け、根拠のある査定額を提示してくれる不動産会社を選びましょう。
売却スケジュールに余裕を持つ
マンションの引き渡し希望日が決まっている方は、そこから逆算して半年前には準備を始めましょう。
築20年のマンションを売却するには、査定から引き渡しまで平均で半年の期間がかかるためです。
一般的に、マンション売却にかかる期間は売り出しから買い手が見つかるまで約2〜3ヶ月かかります。
契約から引き渡しまでの期間で考えると、最低でも4〜6ヶ月の期間を見ておくと良いでしょう。
売り急いで足元を見られて失敗しないためにも、引き渡し希望日の半年前には不動産会社に査定依頼をするなど準備を始めましょう。
リフォームは不要、ハウスクリーニングを検討する
リフォームは基本的に不要
築20年のマンションを売却する時、「リフォームした方が良いのかな」と悩む方がいらっしゃいます。
結論から言うと、基本的にリフォームは不要です。
築20年のマンション相場は、首都圏で概ね3,600万円程度と推測され、相応に高い金額です。
3,600万円もすれば手持ち資金だけで購入できる人はほとんどおらず、多くの人が住宅ローンを組まざるを得ない価格となります。
仮にリフォームして売却すれば、価格が4,000万円前後となってしまい、購入希望者が手を出しにくい金額となってしまいます。
購入希望者にとって中古マンションの魅力の一つは「価格の安さ」です。
リフォームによって下手に価格を高くしてしまうと、中古マンションの魅力が大きく減ってしまいます。
築20年のマンションは元々の金額が相応に高いことから、リフォームによって購入希望者が買いにくくなる値段にしてしまうことは、むしろ避けるべきなのです。
築20年マンションの場合、ハウスクリーニングを検討する
ハウスクリーニングとは、プロの清掃会社による家の掃除のことを指します。
築20年のマンションを売却するのに効果的なため、ぜひ検討してみてください。
築20年になるとマンションも徐々に古さを感じられ、特にキッチンやバス、洗面所、トイレといった水回りの部分には顕著に現れます。
そのためハウスクリーニングは、水回りの部分だけでも行うと、各段に見栄えが良くなるでしょう。
ハウスクリーニングを実施するタイミングは、「内覧前」です。
内覧とは、購入希望者に対して家の中を見せる販売行為のことを指します。
不動産会社と媒介契約を締結した後に実施すると、売却後の確定申告でハウスクリーニング代を譲渡費用にすることができます。
査定前に行う必要はありませんので、実施するタイミングは「媒介契約締結後、かつ、内覧前」が適切です。
設備などの不具合の告知はしっかりと行う
築20年のマンションを売却するには、設備等の不具合の告知をしっかり行うことがポイントです。
もし、不具合を伝えないまま引き渡しした場合、クレームになったり、不動産会社から「建物や設備に不備があったので修理してほしい」と多額の費用の請求が来てトラブルになったりする可能性もあります。
中古マンションや戸建のトラブルで多いのが付帯設備の故障です。
給湯器のお湯が出ない、水漏れ、ガスコンロの火が着かないといったケースがあります。
対象になる付帯設備は契約時の設備憑依書かれているもので、給湯器、キッチン、浴室、トイレ、洗面台、洗濯版、床暖房、インターフォンなどがあり、エアコンや電気も設備とする場合は売主の責任の対象となります。
マンション売却では、売主は不動産会社から「付帯設備表」と「告知書」の記載を求められます。
付帯設備表とは設備の撤去の有無や不具合状況を記載する書類です。
告知書とは、設備以外の改装、火災の有無、心理的瑕疵などの問題点について記載する書類となります。
付帯設備表や告知書に書いている不備については、買主はその内容を了承して購入することになるので、きちんと伝えておけば売主は責任を負うことはありません。
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まとめ
築20年のマンションの売却相場や売却時の注意点について解説してきました。
中古マンションの売却では、築20年を超えると一気に成約率が下がるため、その前のタイミングで売却することをおすすめします。
この記事を参考に、アクションを起こしてみてくださいね。
- マンションは築20年までに売却した方が良い
- 築20年のマンションの相場は購入時の約8割
- 売却時に設備など不具合がある場合はしっかり告知を行うことが重要