マンション売却前にハウスクリーニングをすべき場合とは?費用相場や業者選びのポイントも解説

  マンション売却前にハウスクリーニングをすべき場合とは?費用相場や業者選びのポイントも解説

ハウスクリーニングはマンションの室内の状態や売却の条件によって、おすすめできる場合とそうでない場合があります。本記事では、実際に中古マンションの売買やハウスクリーニングの現場監督をしてきた経験をもとに、ハウスクリーニングが必要なケースや費用の相場について詳しく解説していきます。

矢野 秀一郎
【執筆・監修】矢野 秀一郎

宅地建物取引士の資格を保有。不動産会社に計2社勤める。不動産売買の仲介営業や、一戸建ての分譲工事のプロジェクトリーダー、新築・リフォーム工事の現場監督など、様々な業務を経験。現在はライターとして不動産や金融に関する内容を中心にライティング・記事監修を担当。

【保有資格】宅地建物取引士

マンションを売却するなら、少しでも高い金額で売却したいですよね。そのためには綺麗な状態で売却した方がいいのではと考え、ハウスクリーニングを検討される方も多いかもしれません。

しかし、ハウスクリーニングは、マンションの室内の状態や売却の条件によっておすすめの場合と、不要の場合があります。安易にハウスクリーニングをすると後悔してしまうかもしれません。

今回は、実際に中古マンションの売買やハウスクリーニングの現場管理を経験した私が、マンション売却前にハウスクリーニングをすべき場合や費用相場などについて詳しく解説をしていきます。

この記事を読むことによって、「マンション売却前にハウスクリーニングをすべきなのはどんなケースか?」「ハウスクリーニングの費用相場はどれくらいかかるのか?」「ハウスクリーニングの業者を選ぶポイントは?」などの疑問が解消され、ハウスクリーニングに対する理解と判断がしやすくなります。

マンション売却前にハウスクリーニングをすべきかどうか迷っている方は参考にしてみてください。

この記事を読むとわかること
  • マンション売却前にハウスクリーニングが必要なケースと不要なケースについて
  • ハウスクリーニングのメリット、デメリット
  • ハウスクリーニング業者を選ぶ3つのポイント

マンション売却前にハウスクリーニングがおすすめのケース

ハウスクリーニングとは、プロの業者が住まいを隅々まで清掃してくれるサービスです。水回りやエアコンの掃除など、掃除が難しい部分でも専用の薬品や機械を使って綺麗にしてくれます。

そんなハウスクリーニングを、マンション売却前に実施することがおすすめのケースを紹介します。

築年数が浅いマンションの場合

築年数が浅いマンションの場合は、ハウスクリーニングがおすすめです。築年数が浅いマンションだと設備などの不備も比較的少なく、買主もリフォームなどの改修工事をすることなく居住することが考えられます。

一般的にトイレや浴槽などの水回りの保証サービス期間が、最長で10年としているメーカーが多いです。そのため、築年数が10年から15年あたりを過ぎると、水回り設備などの交換やリフォームを検討される方が増えます。

設備機器が問題なく使える場合や、買主がリフォームをしないことが想定される場合は、ハウスクリーニングをすることがおすすめです。

マンションが空室の場合

売却するマンションに住んでおらず、すでに空室の場合はハウスクリーニングを検討しても良いかもしれません。空室の場合はハウスクリーニングがしやすく、費用も一般的には居住中の場合より安くなります。ハウスクリーニングの費用相場については後述します。

少しでも売却価格を高くしたい場合

少しでもマンションの売却価格を高くしたい場合は、ハウスクリーニングをすると良いでしょう。しかし、ハウスクリーニングをしても大幅に売却価格が上がるわけではありませんので、注意しておきましょう。

マンションの売却前にハウスクリーニングが不要のケース

続いて、マンションの売却前にハウスクリーニングが不要のケースについて紹介します。

築年数が古くリフォーム前提で購入される場合

マンションの築年数が古く、買主がリフォーム前提で購入すると想定される場合は、ハウスクリーニングが不要です。リフォーム工事をすると、新しい設備や建材に入れ替えられるので、せっかくのクリーニングも無駄になってしまいます。

買主がリフォーム前提で購入すると想定される場合は、無理にハウスクリーニングをする必要はありません。

居住しながら売却する場合

マンションに居住しながら売却する場合は、ハウスクリーニングの必要はありません。居住中の場合は家具や家電などがある状態なので、隅々まで綺麗にすることは難しいです。

また、ハウスクリーニングの費用も一般的には空室時よりも高くなります。もし気になる汚れなどがある場合は、キッチンのみなど部分的に依頼することも可能です。

マンションの購入検討者が内覧した際に悪い印象を持たれないように、売却活動よりも前に不用品の処分や清掃、整理整頓はしておくと良いでしょう。

なるべく支出を抑えたい場合

なるべく売却にかかる経費などの支出を抑えたい場合は、ハウスクリーニングはしなくて問題ありません。しかし、室内の汚れが目立つ場合には買主からそれを指摘され、値下げ交渉を要求される可能性があります。

対策としては、事前にある程度値下げの交渉をされることを前提として、希望の売却価格よりも高い金額で売却価格を設定しておくと良いでしょう。

もし不安な場合は、売却を依頼する不動産会社に相談しましょう。

すでに十分に綺麗な場合

あまり居住していなかったり、リフォームして間もなかったりなど、すでに十分綺麗な場合はハウスクリーニングは不要です。簡単な清掃だけで問題なければ必要ありません。

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ハウスクリーニングをするメリット

ここではハウスクリーニングをすることによって、どんなメリットがあるのかについて紹介します。

早期で売却できる可能性が高まる

ハウスクリーニングをすることで、早期で売却できる可能性が高くなります。ハウスクリーニング済みの物件は、汚れている物件よりも内覧時の印象が大きく上がり、購入意欲も高まります。

早く売却したいと思う方は、ハウスクリーニングを検討しましょう。

清掃の手間がかからない

ハウスクリーニングを依頼することで、清掃の手間が削減されます。また、エアコンの清掃や水回りの頑固な汚れなど、手入れが難しい汚れなどにも効果的です。

清掃の手間や時間の確保が難しい方には、ハウスクリーニングの依頼をおすすめします。

値引き交渉されにくくなる

ハウスクリーニングで室内を綺麗にしておくことで、買主から値引き交渉されにくくなります。ハウスクリーニングによって室内が綺麗な状態なので、買主から汚れなどの指摘を受けることが少なくなり、値引きの交渉材料を減らすことが可能です。

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ハウスクリーニングをするデメリット

ここではハウスクリーニングをするデメリットについて紹介していきます。

売却価格への上乗せが大きく望めない

ハウスクリーニングをしても、売却価格への大きな上乗せはあまり望めません。不動産会社が行う売却査定では、室内の綺麗さはそこまで重視されません。水回り設備の劣化状況は確認されますが、リフォームが必要かどうかであるかを判断されるのが一般的です。

ハウスクリーニングで買主への印象は良くなりますが、査定のポイントにつながるかや、売却価格に反映されるかは、査定を行う不動産会社によりますので注意しましょう。

リフォーム前提の場合は無駄になる

ハウスクリーニングをしても、買主がリフォームをする前提で購入する場合は無駄になるかもしれません。リフォームが必要なくらい設備やフローリングなどの建材が劣化、損傷している場合には、買主が改修工事を行います。そうなるとクリーニングが無駄になってしまうので、室内の劣化状況に応じて、ハウスクリーニングを検討するようにしましょう。

費用がかかる

ハウスクリーニングはプロの業者に依頼するので費用がかかります。しかし、マンションの売却によってそのかかった費用分が回収できるとは限りません。つまり、費用対効果が大きくありません。そのため、依頼する場合は見積もりをお願いして、汚れ具合や予算に応じて依頼するようにしましょう。費用相場については次項で解説します。



ハウスクリーニングをするメリット

  • 早期で売却できる可能性が高まる
  • 清掃の手間がかからない
  • 値引き交渉されにくくなる

ハウスクリーニングをするデメリット

  • 費用がかかる
  • 売却価格への上乗せが大きく望めない
  • リフォーム前提の場合は無駄になる

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ハウスクリーニングの費用相場は?

ハウスクリーニングの費用相場について解説します。一般的には室内すべてクリーニングを依頼する場合と、キッチンや浴槽といった場所ごとに依頼する場合などがあります。間取りごとの相場と場所別の相場とに分けてまとめました。

間取りごとの相場
間取り 広さ 費用(空室の場合)
1K・1DK 約30㎡ 約20,000円〜約40,000円
1LDK・2DK 約45㎡ 約30,000円〜約60,000円
2LDK・3DK 約65㎡ 約40,000円〜約70,000円
3LDK・4DK 約80㎡ 約40,000円〜約80,000円
4LDK・5DK 約100㎡ 約50,000円〜約100,000円
場所別の相場
場所 費用相場(空室の場合)
キッチン 約10,000円〜約20,000円
トイレ 約5,000円〜約10,000円
浴室(ユニットバス) 約10,000円〜約20,000円
洗面所 約5,000円〜約8,000円
フローリング洗浄・ワックスがけ 1畳約1,500円〜
サッシ洗浄 1箇所約2,000円〜

居住中の場合は、空室の場合よりも費用が2割から4割程度追加でかかるケースが多くなります。水回り設備は買主が特に気にするポイントなので、もし汚れや劣化が気になる場合は、部分的にでも優先してハウスクリーニングをすると良いでしょう。

なお、この費用相場は地域や室内状況によって変動しますので、あくまで目安として参考にしてみてください。

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ハウスクリーニング業者を選ぶ3つのポイント

ハウスクリーニング業者を選ぶポイントについて、3つ解説していきます。ハウスクリーニングは、清掃する業者の質によって仕上がりが大きく変わります。そのため、決して費用だけで判断せずに、3つのポイントを確認して、きちんと作業してくれる業者を探すようにしましょう。

施工実績や口コミを確認する

ハウスクリーニング業者の施工実績や口コミを確認しましょう。おすすめの確認方法としては、業者のホームページや、SNSなどでの発信内容を見ることです。積極的に発信している業者だと安心感につながります。また、口コミや評価について検索してみても情報が得られるかもしれません。

もし近所や知り合いでハウスクリーニングを依頼したことがある方がいれば、感想を聞いたうえで紹介してもらうことも良いでしょう。

保険加入の有無やサービス内容を比較する

ハウスクリーニング業者が保険に加入しているかどうか、そして万が一クリーニングにトラブルが発生した場合にきちんと対応してもらえるか、アフターサービスなども確認しておくようにしましょう。

ハウスクリーニング業者は室内を動いて作業するため、家財に傷をつけてしまったり、設備を壊してしまったりする可能性は少なからずあります。

そんな時のために、業者が賠償責任保険などに加入していた場合、スムーズに対応のうえ補償してもらえる可能性が高まります。補償の範囲なども確認しておくとさらに良いでしょう。

ハウスクリーニング業者を選ぶのに迷う際は、保険の加入の有無や補償内容で比較してみてください。

複数の業者に相見積もりをする

見積もりを依頼する場合は、複数の業者に相見積もりをしましょう。1社だけに見積もりを依頼しても、提示された金額が相場よりも高いのかどうか判断がつきません。

また、見積書の記載内容も確認しておきましょう。部屋ごとや場所ごとに細かく記載して費用を提示してくれる業者は、仕事もていねいできっちりしている可能性が高い傾向にあります。

1社1社に見積もりを依頼するのが面倒だという方には、一括見積もり比較サイトで申し込みをすると良いでしょう。

一括見積もり比較サイトでは、1度の申し込みで複数の業者に見積もりの依頼が可能なので、手間と時間が削減できます。

適正価格を知るためにも、複数の業者に相見積もりをすることを強くおすすめします。

マンションの売却でハウスクリーニングに関するよくある質問

ここでは、マンションの売却時でハウスクリーニングに関するよくある質問のなかから3つ抜粋してお答えします。

マンションの売却でハウスクリーニングはいつすればいいの?

マンションの売却でハウスクリーニングをする場合は、不動産会社に査定を依頼する前に行うことをおすすめします。

室内の状態が綺麗である場合、査定の印象が上がり、金額に反映される可能性があります。しかし、大幅に売却価格が上がるわけではないので、注意しておきましょう。

もし査定前にハウスクリーニングが難しいようであれば、売却活動を依頼して、購入検討者が内覧するまでに行うと良いでしょう。綺麗な状態で内覧してもらった方が購入意欲が高まり、購入申し込みにつながりやすくなります。

不要な残置物は処分してくれるの?

追加で費用は発生しますが、不要な残置物を処分してくれる業者もあります。

しかし、リサイクルショップに持ち込んだり、自身でごみ収集の依頼をする方が費用はかかりませんので、なるべくご自身で処分すると良いでしょう。

一緒に補修とかもしてくれるの?

ハウスクリーニングと一緒に補修をしてくれるかどうかは、業者によって対応が異なります。業者によっては、クリーニングと合わせて軽微な補修をしてくれる場合もありますので、業者に問い合わせるか、ホームページなどを見て確認するようにしましょう。

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まとめ:マンションや売却の状況に応じてハウスクリーニングを活用しよう

マンション売却前にハウスクリーニングをすべきかどうかについて解説しました。マンションの売却にハウスクリーニングをすべきかどうかについては、マンションの室内の状況や、売却の希望条件などに応じて変わります。

また、きちんとしたハウスクリーニング業者を選ぶことが大切です。どういう場合だとハウスクリーニングが効果的であるのかをこの記事で確認して、マンション売却を後悔しないようにしましょう。

  • 物件の種類や状態によってハウスクリーニングが必要なケースと不要なケースがある。
  • 築年数が古く、リフォーム前提の物件はハウスクリーニングは不要だが、場合によってはハウスクリーニングによって早く売却できる可能性もある。
  • 業者を選ぶ際は複数の業者に見積もりを依頼し、口コミや実績を確認することが重要である。

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