上昇を続ける日本の不動産価格ですが「どこまで価格が上昇するの?」「いつかはバブルが弾けるのでは?」と不安を感じている方も多いのではないでしょうか?
過去にも不動価格は上昇して、バブルが弾けるということが何度もありました。
そこで、過去の不動産価格の推移や不動産価格に影響する要素から2024年の不動産価格を予想していきます。
不動産価格に影響する3つの重要な要素
不動産の価格に影響する要素は主に以下の3つだと言われています。
- 金利
- 株価
- 円安
まずはこれら3つの要素がどのように不動産価格に影響するのか解説していきます。
金利と不動産価格の関係
不動産価格を左右する原因の1つが金利です。
多くの人が不動産はローンを利用して購入します。
そのため、金利が上昇すればローンの返済額が多くなるので、不動産を購入しにくくなりますが、金利が低ければローンの返済負担を抑えられるので不動産を購入しやすくなります。
実際に、最近の不動産価格の高騰は、アベノミクスと呼ばれた大胆な金融緩和を発端にして起きています。
2012年末に自民党が民主党から政権を取り戻し、翌年には大胆な金融緩和がスタートします。
まさに、この2012年末から2013年にかけて不動産価格の高騰が始まり、2023年のマンション価格は2012年の倍近い価格となっていることが分かります。
株価と不動産価格の関係
株価は不動産価格の先行指標などと言われます。
これはどのようなことかと言えば、株価が上昇したあとには不動産価格も上昇することを示しています。
出典:【2023年】日本の不動産価格は今後どうなる?推移といつ下がるかの見通しを解説!
株価のピークと不動産価格のピークは少しズレていることが分かります。
バブル期の株価のピークは1989年で、地価のピークは1991年となっており、地価は株価の後を負うような動きを見せています。
そのため、株価がバブル後の高値を更新している2023年末から1年から2年程度先には、不動産価格も高値を更新する可能性があります。
今後、株価が大幅に下落するようなことがあれば、地価も1年〜2年後に下落する可能性があるでしょう。
円安と不動産価格の関係
円安も不動産価格には大きく影響しています。
円安になると海外の投資家は日本の不動産を安く購入できるということです。
そのため、海外から日本の不動産投資への需要が伸びて、不動産価格の上昇へ繋がります。
実際に2022年の海外投資家の投資額は対2021年同期比で22%増加しています。
参考:CRBE|ジャパンインベストメントマーケットレビュー(2023年)
2023年末現在は円安ドル高となっていますが、この為替相場も不動産価格の上昇を後押ししている有力な要因だと考えられています。
日本の不動産価格の推移
不動産価格は過去と比較して上昇しています。
都市別にどの程度上昇しているのか、国内の不動産価格の推移を地域別に詳しく見ていきましょう。
住宅用土地の推移
国土交通省によると、令和5年までのここ10年間地価の上昇率は以下のようになっています。
地価変動率 | |
平成26年 | ▲0.6% |
平成27年 | ▲0.4% |
平成28年 | ▲0.2% |
平成29年 | 0.00% |
平成30年 | 0.30% |
平成31年 | 0.60% |
令和2年 | 0.80% |
令和3年 | ▲0.4% |
令和4年 | 0.50% |
令和5年 | 1.40% |
令和5年(2023年)は土地の価格の上昇率が前年に比べ3倍近くに跳ね上がっています。
公示地価は平成29年頃から上昇を続けてきましたが、コロナ禍によって一度不動産価格は下落します。
しかし令和4年から徐々に持ち直し、令和5年には大きく上昇しています。
全国的に地価は上昇傾向にあると理解しておきましょう。
全国の不動産価格の推移
日本全国の住宅用の地価も変動率がマイナスの都道府県はかなり少なくなりました。
同じく、国土交通省の「令和5年公示地価の概要」によると、令和4年から令和5年は以下のように推移しています。
変動率がマイナスの都道府県は27から22と5つ減少し、岩手、茨城、長野、岡山、兵庫などがマイナスから上昇へと転じています。
不動産価格の上昇というと、都市部のみのように考える人も多いですが、地方においても不動産の価格の下落はストップし、上昇へ転じているところもあります。
主要都市の不動産価格
では、首都圏、近畿圏などの国内主要都市では不動産価格はどのように推移しているのでしょうか?
首都圏の不動産価格の推移
公益財団法人東日本不動産流通機構によると、首都圏のマンション価格の推移は1㎡あたりの単価で以下のようになっています。
年 | ㎡単価(万円) |
2012 | 38.19 |
2013 | 39.96 |
2014 | 42.5 |
2015 | 45.25 |
2016 | 47.92 |
2017 | 50 |
2018 | 51.61 |
2019 | 53.45 |
2020 | 55.17 |
2021 | 59.81 |
2022 | 67.24 |
引用:首都圏不動産流通市場の動向(2022年)/公益財団法人東日本不動産流通機構
2023年はおおむね70万円近くの価格となっており、10年前の2倍近い価格となっています。
近畿圏の不動産価格の推移
近畿レインズによると、近畿圏の不動産価格の推移は以下のとおりです。
年 | ㎡単価(万円) |
2012 | 24.25 |
2013 | 25.35 |
2014 | 26.29 |
2015 | 27.84 |
2016 | 29.38 |
2017 | 30.63 |
2018 | 32.49 |
2019 | 33.59 |
2020 | 33.96 |
2021 | 36.67 |
2022 | 39.48 |
近畿圏もこの10年間で2倍近く上昇していることが分かります。
首都圏や近畿では10年ほど前から不動産価格の上昇をはじめ、地方においても2022年くらいから地価の上昇がはじまっていることが分かります。
2024年もこのトレンドは継続すると見られ、過去の推移や株価から考慮すると、2024年は全国的に不動産価格が上昇するものと考えられます。
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2024年の不動産価格はどうなる?気になる国内情勢と国際情勢
気になる2024年の不動産価格はどうなるのでしょうか?
2024年の不動産価格の鍵を握っているのは金利だと言われています。
日本と欧米の金利差が非常に大きい中で、2024年は欧米の金利がどこまで上がるのか、日本の金利はどうなるのかが大きく影響しそうです。
欧米と日本の情勢を見ていきましょう。
海外では金利は上昇する
2023年末現在、海外の金利はかなりの高い水準となっています。
たとえば米国の政策金利は5.2〜5.5%となっており、住宅ローン金利は7%程度です。
これは日本のバブル期の金利水準と同じですので、海外の金利はかなり高い水準にあることが分かります。
すでに米国のインフレ率は3%となっているため、今後は金利の引き上げが緩やかになる可能性があります。
日本は現在も金融緩和策を継続しており、マイナス金利解除も2023年末に見送っています。
しかし、アベノミクスの当初目標だった物価上昇率2%を超える3%となっているため、2024年後半には金融緩和が見直される可能性もあります。
アメリカの金利が高く日本の金利が低いため、円を売ってドルを買った方が得な状況です。
そのため近年は円安ドル高の状況が継続して来ましたが、今後、アメリカの金利引き上げが緩やかになり、日本の金融緩和が止まれば、円安ドル高の状況から反転し、円高に転じる可能性もあるでしょう。
日本のポイントは株価の上昇
また、株価はいつまで上昇するのか、ということも検討しなければなりません。
2024年1月現在、株価は35,000円を突破しています。
今後も金融緩和が継続するのであれば、株式市場にお金はさらに流れるでしょうし、新NISAが2024年1月にスタートしたことによって個人の資産もさらに株式市場に流れることも考えられます。
場合によっては株価は4万円を突破することも考えられるので、不動産価格の先行指標と言われる株価の上昇がいつまで続くかについては注視すべきでしょう。
金融リセットのタイミングはくる?
現在は、各国政府が円やドルという紙幣を大量に刷って、そのマネーが株式市場や不動産市場に流れて価格が上昇している状況です。
これは、世界恐慌前や、バブル崩壊前と非常に酷似した状況となっています。
日本においては金融緩和がストップすれば、円高に転じて海外からの投資マネーの流入は減少します。
さらに、国内でも流通するマネーが少なくなるので株式や不動産に流れるお金は少なくなるでしょう。
いつまでも金融緩和を継続することはできないので、どこかのタイミングで金融緩和が収束し、そのタイミングで金融リセットのタイミングとなり、株価や不動産の価格が下落する可能性はあるでしょう。
しかし日本の不動産価格は急騰しているといえるほどには極端に上昇しているわけではないので、金融リセットが起こったとしても、先進国の中で最も影響が少ない国になるのではないかと言われています。
日本の不動産は金融リセット後も三極化が続く
金融リセットはどこかのタイミングでやってくると言われています。
しかし、金融リセットの影響が最も少ないと思われる日本では、全ての不動産が下落するのではなく、3つの階層に金融リセットの影響は分かれるのではないかと考えられています。
上位不動産、中間の不動産、下位不動産、それぞれの金融リセット後の不動産価格がどうなるのか解説していきます。
都心・駅前・駅近など好条件の不動産は少なくとも現状維持
立地のよい上位20%程度の物件は、今後も下落しないのではないかと考えられています。
これらの物件はそもそも居住の用途として人気がある場所であるため、2024年にさらに株価が上昇すれば、2024年以降も上昇する可能性があります。
駅前・駅近や、再開発や誘致などによって不動産価格が現在大きく上昇しているエリアにおいては、金融リセットがあったとしても上昇もしくは横ばいで推移していくものと考えられます。
中間層の不動産はなだらかに下落
好立地でも悪い立地でもない、いわゆる平均的な物件は、日本の人口減少の波に伴い、緩やかに価格が下落していくものと考えられます。
人口が増えるからこそ、不動産には普遍の価値があり、過去数十年間、地価は上昇を続けて来ました。
しかし、今後人口が減少する中で、立地のよくない場所の不動産には需要もありません。
そのため、今後数十年間かけて人口が減少していく中で、中間層に位置する不動産の価格は緩やかに下落していくものと考えられます。
価値の低い不動産は下落する
金融リセットによって価値の低い下位不動産の価格は今後も下落していくものと考えられます。
人口減少によって、そもそも需要が減少していく中、もしも金融リセットが起きた場合には、価値が下落しそうな不動産についてはいち早く投資家は手放すことが考えられるためです。
地方の不動産や人口減少地域の不動産などは、投資という観点で見たら、2024年以降も所有を続けることはリスクが高いと言えそうです。
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まとめ
不動産価格は金利や為替や株価と密接に関係しています。
そして、これらの鍵を握っているのが、日銀の金融緩和政策です。
金融緩和によって金利が低いために円安になり、住宅ローン金利が下がり、市場に多くのお金が流れ、国内からも国外からも不動産へ投資しやすい環境が生まれています。
日銀は2023年末にマイナス金利解除凍結を決定したばかりですので、2024年中は金融緩和が継続して株価が上昇することが予想されます。
2024年はさらに不動産価格が上昇することが予想されますが、金融リセットもどこかのタイミングでやってくる可能性があるでしょう。
不動産投資は日銀の金融政策を注視しながらマクロな目線でおこなうことが重要です。
参考:【2023年】日本の不動産価格は今後どうなる?推移といつ下がるかの見通しを解説!