マンションの維持費の内訳と相場。払えないときはどうする?

  マンションの維持費の内訳と相場。払えないときはどうする?

マンションを所有すると必ずかかってくる維持費の内訳やおよその金額についてご紹介していきます。年々高額になってしまうものですので、払えなくなる前に行うべき対処法なども解説していきます。マンションを所有している方、今後所有する予定のある方はぜひ参考にしてください。

手塚 大輔
【執筆・監修】手塚 大輔

地方銀行に10年弱勤務した後、現在は飲食店を起業しており、プロのライターとしてもSEO記事、コピーライティングなどを行なっております。 銀行では、預金業務、カードローン、住宅ローン、企業の運転資金、設備資金、起業開業支援、保険販売、投資信託販売などの他、企業の決算書の審査など経験。

【保有資格】ファイナンシャルプランナー

マンションを所有すると維持費がかかります。

そしてマンションの維持費は戸建て住宅と比較して高額になるので、老後など収入が減少したタイミングで支払うことが困難になってしまう人が少なくありません。

マンション購入時には「維持費がいくらかかり、自分でも支払っていくことができるのか」ということをしっかりと確認することが重要です。

マンション維持費の内訳や金額、そして維持費を支払うことができない場合にはどうなるのかについて詳しく解説していきます。

マンション維持費の内訳

マンションを所有するとローンの支払いの他にさまざまな維持費が発生します。

主なものとして次のような費用があります。

  • 管理費
  • 修繕積立金
  • 駐車場・駐輪場
  • 火災保険・地震保険
  • 固定資産税、都市計画税
  • その他の設備利用料

もちろん戸建て住宅を所有しても維持費はかかりますが、マンションの場合には戸建て住宅よりも維持費の種類が多いのが特徴です。

マンションを所有すると発生する維持費の内容について詳しく解説していきます。

管理費

マンションを所有すると管理費の支払いが必要になります。

マンションの管理費とは建物全体を管理するために必要な次のような費用に充てられるお金です。

  • 共用部分や外壁やエントランスや庭などの清掃
  • 共用部分の電気代・水道料金
  • 管理員の人件費
  • エレベーターや貯水槽などの保守や定期点検

マンションには皆で共同で使用する共用部分があるので、共用部の管理にかかるお金を皆で少しずつ負担しようというものが管理費です。

マンション管理費の計算式

マンション一戸あたりの管理費は次の計算式で算出します。

管理に必要な費用 ÷ 総専有面積 × 各住戸の専有面積 = 年間の管理費

マンション全体で必要な年間の管理費が1,000万円、総占有面積4,000㎡、一戸あたりの占有面積90㎡の場合、マンション一戸あたりの管理費は次のようになります。

1,000万円÷4,000㎡×90㎡=225,000円

このケースでは、マンション一戸あたり22万5,000円の管理費の支払いが必要になります。

マンションの管理費は各部屋で均等に分けるのではなく、一部屋あたりの占有面積に応じて按分していきます。

なお、国土交通省が5年ごとに発表している「マンション総合調査」によると、マンション管理費の平均は月額10,862円、1m2当たりの平均は月額147円とのことです。

地域ごとのマンション管理費の相場

マンションの管理費は地域によっても異なります。

同じく国土交通省発表の「マンション総合調査」によると、地域ごとの管理費の月額平均は次の通りです。

地域 管理費の月額平均
北海道 9,287円
東北 10,576円
関東 12,149円
北陸・中部 11,010円
近畿 11,045円
中国・四国 9,120円
九州・沖縄 10,369円
東京圏 12,275円
京阪神圏 11,538円
名古屋圏 11,382円

引用:国土交通省|マンション総合調査

基本的に管理費は都市部の方が地方よりも高くなっている傾向があります。

修繕積立金

修繕積立金とは、マンションの大規模修繕に備え、修繕に必要になるであろうお金を毎月管理組合が集めて、大規模修繕に備えて積み立てておくものです。

国土交通省のマンション総合調査によると、平成30年時点の修繕積立金の平均額は毎月11,243円で1㎡当たりの修繕積立金は毎月164円となっています。

築年数ごとの修繕積立金の平均額

修繕積立金はマンションを販売しやすくするために最初は低めに設定されるのが一般的です。

しかし後から修繕積立金が不足していることに気づき、管理組合が修繕積立金を引き上げるケースは少なくありません。

また、マンションの築年数が経過して老朽化が進んでくると、修繕費も高額になるので修繕積立金も高くなる傾向があります。

国土交通省の「マンション総合調査」によると、築年数ごとの修繕積立金の平均額は次のようになっています。

完成年 修繕積立金月額
~1989年 11,400円
~1994年 11,413円
~1999年 12,024円
~2004年 11,227円
~2008年 11,865円
~2014年 9,244円
2015年以降 6,654円

2015年以降の比較的新しい物件の修繕積立金は月6,000円程度ですが、築年数が古くなるとその場合程度まで負担が大きくなります。

修繕積立金については、高齢になってから負担が大きくなる可能性が非常に高いと認識しておきましょう。

駐車場・駐輪場

駐車場や駐輪場を使用する場合には、この使用量も必要になります。

マンションの駐車場はマンションの立地によって大きく異なり、地方であれば月額5,000円〜10,000円程度で借りることができますが、首都圏であれば、月額30,000円〜50,000円程度の高額な料金が設定される場合もあります。

また、駐輪場の利用料金は月額100円〜1,000円程度まで、物件によって幅があります。

火災保険・地震保険

マンションを所有するのであれば、火災保険や地震保険に加入しなければなりません。

特に住宅ローンを利用してマンションを購入する場合には、火災保険の加入はローンの借入条件ですので、必ず加入が必要になります。

火災保険の相場は年間2万円程度、地震保険がプラス1万円程度です。

なお、火災保険はマンションよりも戸建ての方が料金が高くなるので、維持費のうち保険料についてはマンションの方が負担が軽くて済みます。

固定資産税、都市計画税

不動産を所有しているのであれば、固定資産税や都市計画税の支払いも必要になります。

固定資産税の税率は基本的には、固定資産税評価額×1.4%です。

しかしマンションなどの居住用の不動産の場合には次のような軽減策が用意されています。

(1)2024年3月31日までに新築された住宅
(2)居住部分の床面積が延床面積の1/2以上
・一般的な戸建て住宅
新築後3年間は居住部分の床面積120㎡相当分まで税額が1/2
(3)居住部分の床面積が50㎡以上280㎡ ・3階建て以上の耐火構造・準耐火構造住宅(マンション等)
新築後5年間は居住部分の床面積120㎡相当分まで税額が1/2
認定長期優良住宅の場合 ・長期優良住宅の戸建て
新築後5年間は居住部分の床面積120㎡相当分まで税額が1/2に

・長期優良住宅の3階建て以上の耐火構造・準耐火構造住宅(マンション等)
新築後7年間は居住部分の床面積120㎡相当分まで税額が1/2に

マンションの場合、購入当初5年〜7年は固定資産税が半分になります。

一般的には年間20万円以下が固定資産税の相場だと理解しておきましょう。

その他の設備利用料

この他にもマンションによってはさまざまな設備があります。

これらの設備を利用する際には料金が発生します。

トランクルーム、専用庭、ルーフバルコニーなどの使用料金が発生し、それぞれ月額数千円〜10,000円程度の料金が発生します。

これらの費用は管理費や修繕積立金と一緒に支払いをするのが一般的です。

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マンション維持費のシミュレーション

マンションの維持費にはさまざまなものがありますが、管理費や修繕積立金などは築年数が経過するごとによって異なります。

築年数ごとに発生する維持費をシミュレーションすると次のようになります。

1年〜10年 11年〜20年 21年〜30年 31年〜40年
管理費 12万円 14万円 15万円 17万円
修繕積立金 12万円 14万円 15万円 17万円
駐車場・駐輪場 24万円 24万円 24万円 24万円
火災保険料 3万円 3万円 3万円 3万円
固定資産税 7万円 10万円 10万円 10万円
その他の費用 6万円 6万円 6万円 6万円
2015年以降 64万円 71万円 73万円 77万円

もちろん、駐車場を何台借りるのか、マンションの付属設備をどの程度使用するのかによっても負担は異なりますが、マンションを所有すると、維持費として年間60万円〜80万円程度の支出が発生するということは理解しておいた方がよいでしょう。

なお、戸建て住宅の場合には、管理費と修繕積立金と駐車場代などがかからず、必要な維持費は保険料と固定資産税だけです。

そのため、年間維持費の平均は15万円程度と、マンションと比較してかなり安くなります。

マンション維持費の支払い不能を予防する方法

マンションの維持費は築年数が経過すればするほど高額になります。

老後になってマンションの維持費が支払えないという状況を防ぐため、次の3つの方法で未然に支払不能になることを予防しましょう。

ポイント
  • 払い続けられる維持費のマンションを選ぶ
  • 維持費が上がっても老後の収入で支払えるか検討する
  • 売却して住み替える

マンションの維持費が払えない状況を防ぐための3つの方法を解説していきます。

払い続けられる維持費のマンションを選ぶ

そもそも、維持費を支払うことができるマンションかどうかという視点から、購入するマンションを選択するようにしてください。

マンションを購入する際には「ローンを払っていけるかどうか」という点ばかりが気になり、ローン返済額以外では管理費や修繕積立金を考慮する程度であるというのが一般的です。

維持費には火災保険料や税金や駐車場料金なども含まれますので、これらも加味した上でマンションの維持費を支払うことができるかどうかをしっかりと検討してください。

維持費が上がっても老後の収入で支払えるか検討する

マンションの維持費は修繕積立金をはじめとして、築年数が経過するごとに引き上がっていくものです。

一方、仕事を定年退職し、年金生活になれば収入は下がってしまいます。

そのためマンションの維持費を考慮する際には、「維持費が上がっても老後の収入で支払うことができるか」という視点で購入するマンションを検討することが重要です。

将来の年金収入は引用:年金試算シミュレーションで簡単に計算することができます。

マンション購入前に将来の年金を試算して、年金収入だけで維持費を支払っていけるかどうかを検討しましょう。

売却して住み替える

定年退職したあとは維持費を支払うことが難しいのであれば、これまで住んでいたマンションを売却して住み替えることも1つの方法です。

より狭い物件に引っ越せば維持費は少なくなりますし、さらに維持費が安い地方の戸建てへ引っ越すのもよいでしょう。

維持費の支払いが難しいのであれば、売却して住み替えを検討してください。

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マンション維持費が払えないとどうなる?

マンションの維持費が支払えない場合には、最悪のケースとしてマンションの差し押さえなどに至ってしまう可能性があります。

維持費によって払えない場合のペナルティは異なります。

それぞれの維持費が支払えない場合のリスクについて認識しておきましょう。

税金が払えない場合

税金が支払えない場合には、延滞税が発生し、より高額な税金が発生します。

また、督促から一定期間支払うことができないと、預金や給料などの差し押さえが行われることがあります。

税金滞納時は裁判なしで財産の差し押さえができるので、税金の支払いに遅れると半年程度で差し押さえが行われる可能性があります。

どうしても支払うことができない場合には、早めに市区町村役場の納税課へ相談してください。

管理費や修繕積立金を払えない場合

管理費や修繕積立金を支払えない場合には、管理組合から督促を受けます。

管理組合から督促を受けても支払うことができない場合には、複数回督促や訪問などが行われ、それでも支払うことができない場合には少額訴訟や支払督促などの法的措置が行われ、それでも支払うことができないと、財産が差し押さえられる可能性があります。

保険料が払えない場合

保険料が支払えない場合には、一定期間の未払いで解約になります。

火災保険を契約することは、ローンを借りる際の必須条件です。

にもかかわらず火災保険が解約されてしまったら、ローンを利用することはできないので、場合によっては借入残高の一括返済を求められてしまう可能性があります。

管理費や修繕積立金は減額できる?

管理費や修繕積立金は減額できる場合があります。

管理費や修繕積立金はマンション管理組合の総会での決議が必要になります。

修繕積立金は建物が老朽化していくので減額をするような事例はほとんどありませんが、管理費は管理会社を見直したり、管理会社へ依頼する内容を詳細に見直すことによって減額することが可能です。

逆に、管理会社から値上げを求められて、管理費が引き上げになるケースも最近は多いので、減額はそれほど期待しない方がよいかもしれません。

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まとめ

マンションを保有すると管理費や修繕積立金などの維持費が発生します。

マンションの維持費は築年数の経過とともに引き上がっていく傾向があるので、購入時に「定年退職した後にも支払っていくことができるか」という視点で物件を選ぶことが重要です。

維持費を支払うことができないと、物件の差し押さえなどが行われる可能性もあるので、ローンを支払えるかどうかと同時に「維持費を支払えるかどうか」もしっかりと検討するようにしてください。

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