マンションの売却には、一般的に3か月〜4か月程度の時間がかかると言われています。
しかし物件によっては半年以上経過しても売れないこともあり、実際には物件や売り方によって売却期間は異なるのが実情です。
マンションの売却が長期化すると売値が下がるなどのデメリットがあるので、少しでも早く売却した方がよいでしょう。
この記事では、早期に売れる物件と売れない物件の違いを解説するとともに、短期間で売却するためのポイントについて詳しくご紹介していきます。
- マンション売却の流れ
- 売れるマンションと売れないマンションの特徴
- マンションを早く売却するためのコツ
マンション売却の期間は3か月〜4か月
マンションを売りに出してから売却できるまでの期間は平均的には3か月〜4か月程度の時間がかかると言われています。
マンション売却の流れと、それぞれの流れの中でどの程度の時間がかかるのか、また物件のエリアによって売却期間はどのように異なるのか、詳しく見ていきましょう。
マンション売却の流れと必要な期間
マンションの売却は基本的に次のような流れで行います。- 物件の査定
- 不動産会社との媒介契約締結
- 不動産会社による売却活動
- 売主の内覧対応
- 購入申込~価格交渉
- 売買契約締結
- 代金決済・引渡し
STEP 1: 物件の査定
まずは売却したいマンションの査定を不動産会社にしてもらいます。
査定とは売却したい不動産が「いくらで売れるのか」という見込み額を算定してもらうことです。
不動産会社に相談することで査定を無料で受けることができ、査定額に納得できたら実際に売却する意思決定を行います。
なお、査定額は不動産会社によって異なるので複数の不動産会社に査定を依頼するのがおすすめです。
ネット上で査定を依頼できる「一括査定サイト」であれば、1回不動産情報を入力するだけで複数の不動産会社から査定を得られます。
「どの不動産会社へ相談したらよいか分からない」という方は活用しましょう。
STEP 2: 不動産会社との媒介契約締結
売却を任せられる不動産会社が決まったら不動産会社と媒介契約を締結します。
なお、一社だけに責任をもって売却活動を任せるのであれば(専属)専任媒介契約、複数社に売却活動を依頼するのであれば一般媒介契約を締結します。
(専属)専任媒介契約は1社とのみしか契約できませんが、定期的に売主に対して報告義務があるため、一般媒介契約よりも不動産会社が力を入れて売却活動をする傾向がある媒介契約です。
信頼できる1社が見つかったのであれば(専属)専任媒介契約、まだどの不動産に任せてよいか分からない場合には一般媒介契約と、使い分けるようにしましょう。
査定から媒介契約締結まで1週間〜3週間程度の時間がかかります。
STEP 3: 不動産会社による売却活動
媒介契約を締結したら不動産会社が売却活動を行います。
自社サイトやポータルサイト、広告への掲載、自社の顧客へのアプローチなど、不動産会社によって売却活動の内容は様々です。
STEP 4: 売主の内覧対応
購入希望者や「物件を見てみたい」という人が現れたら不動産会社から売主に対して連絡がいきます。
売主は希望者に対して内覧対応をしなければなりません。
内覧とは、売却物件の中を購入希望者が見るということです。
マンションにまだ居住している場合には、自分の居住スペースを人に見せるということですので、いつ内覧に来てもよいように常に自宅は綺麗にしておく必要があります。
内覧は売却を左右する非常に大事なプロセスですので、自宅を綺麗にしておくとともに丁寧に対応してください。
STEP 5: 購入申込~価格交渉
購入希望者が購入を決めたら、媒介契約を締結している不動産会社に対して購入申込を行います。
この際には価格の引き下げ交渉が行われるのが一般的です。
不動産に関しては、売り出し価格でそのまま取引価格が決まることはほとんどありません。
値引き交渉が行われるのが基本ですので、売り出し価格を決める際にはあらかじめ値引きを前提として、希望額よりも高めの価格を設定しておくのがよいでしょう。
売却活動開始から価格が決まるまで、1か月〜3か月程度の時間がかかります。
STEP 6: 売買契約締結
買い手との価格交渉が完了したら、売買契約を締結します。
売買契約締結日は次のことが行われる日になります。
- 契約書への署名・捺印
- 重要事項説明の読み合わせ
- 手付金の授受
この時点では契約を行うだけで、まだ引き渡しは行われないのが一般的です。
STEP 7: 代金決済・引渡し
契約を締結し、引き渡し日になると、買い手から残金の支払いを受け、それと引き換えに引き渡しを行います。
これでマンション売却の手続きは全て完了します。
契約締結から引き渡しまで1週間〜1か月程度で完了するので、マンション売却にはトータルで3か月〜4か月程度の時間がかかると理解しておきましょう。
エリア別のマンション売却期間
マンションがどのくらいの期間で売却できるのかについては、マンションが立地するエリアによっても異なります。
三井住友トラスト不動産によるとエリア別のマンション売却期間の目安は次の通りです。
・東京都 ・大阪府 ・愛知県 (参考:三井住友トラスト不動産|不動産マーケット情報)
東京都や大阪府では売却期間の平均が3か月を切ることもありましたが、愛知県では売却期間は長めになっています。
また、東京の売却期間が大阪と比べて長いのは、東京の不動産価格が高騰していることが原因と言われています。
今後、大阪の不動産価格が高騰すれば売却期間も延びるかもしれません。
マンション買取の売却期間
マンションを売却する方法として、不動産会社が購入希望者を探す「仲介」の他に、不動産会社がマンションを購入する「買取」という方法もあります。
買取の場合には、買い手を探す時間がかからないので売却期間は仲介と比較して非常に短くなり、早い場合には1週間程度で売却できることもあります。
マンションを早く売却した方がいい理由
急いでお金が必要な理由がないのであれば「ゆっくり売却すればいいのでは」と考えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、基本的には売りに出したマンションは早期に売却するに越したことはありません。
マンションを早期に売却することによって次のようなメリットがあるためです。
- 早期に売却した方が売値が高くなる(売却に時間がかかれば売値が落ちる)
- 手元に必要な資金が早く入る
- 内覧対応に時間を取られない
マンションを早く売却した方がよい3つの理由について詳しく解説していきます。
売却に時間がかかれば売値が落ちる
売却するまでに時間がかかり、いつまでも不動産会社のホームページやポータルサイトに掲載されている物件には「売れ残り感」が出てしまいます。
「こんなに売れ残っているということは、何か問題がある物件なんだろう」と、不要なネガティブイメージをもたれてしまい、物件の価値が落ちてしまいます。
その結果、さらに低価格で売却しなければ売れなくなってしまうことも珍しくありません。
不動産に不要なネガティブイメージをつけないためにも、早期に売却するようにしましょう。
手元に必要な資金が早く入る
早期に売却すればするほど売却代金が早く手元に入ります。
特に買い先行で住み替えをするような場合には、早く売却できないと二重に住宅ローンを支払わなければならない期間が長くなってしまいます。
早く売却すれば、住宅ローンを早く完済できますし、他にも資金が必要な事情がある場合にも早く売却できるに越したことはありません。
手元に必要な資金が早く手に入るのも、早期に売却するメリットです。
内覧対応に時間を取られない
早期に売却すれば、それだけ内覧に備えて生活する期間が短くなります。
売り先行で売却を進める場合には居住空間に内覧が来るので、自宅を常に綺麗にしておかなければならないなど、気を遣いながら生活を送らなければなりません。
早く売却すれば、内覧のために気を遣って生活する期間も短くなるのもメリットです。
売れるマンションと売れないマンションを左右する要素
マンションには早期に売れるものと売れないものがあります。
売れる理由と売れない理由をそれぞれ詳しく解説していきます。
売れるマンションの特徴
売れるマンションには次のような特徴があります。
- 人気のエリアに立地している
- 築25年以内
- 人気の間取り
- 周辺に競合物件が少ない
- 売り出し価格が安い
- 不動産会社の信用度が高い
物件そのものにも売れるものと売れないものがありますし、売り手の売り方によっても売れるものと売れないものが左右されます。
売れるマンションの6つの特徴を詳しく解説していきます。
人気のエリアに立地している
人気のエリアに立地している物件は短期間で売却できる傾向にあります。
東京都心であれば平均的には3か月〜4か月程度が売却期間ですが、地方都市の場合には半年以上かかることもありますし、物件によっては全く買い手がつかずに空き家になっているケースも散見されます。
いわゆる「人気の街」に立地しているほど売却期間は短くなるでしょう。
また、駅・学校・大型商業施設の近くなど、利便性の高い立地の物件も短期間で売却できる傾向にあります。
築25年以内
築25年以内の比較的新しい物件は売却しやすい傾向にあります。
以下は一般社団法人 不動産流通経営協会がまとめた「築何年の家が買われているのか」をまとめたグラフです。
このグラフから分かるように、築26年から急に取引量が下がります。
築25年を過ぎた古い建物は売却することが非常に難しくなるので、築年数が経過する前に売りに出した方がよいでしょう。
人気の間取りや設備
間取りや設備が人気のものであれば売却期間は短くなる傾向があります。
- 2DK
- 3DK
- 2LDK
- 3LDK
- 4DK
これらの間取りは子育て世代を中心として使いやすさから人気があると言われています。
また、オール電化、浴室乾燥機、ウォークインクローゼットなどの人気の設備がある物件は比較的短期間で売りやすくなります。
周辺に競合物件が少ない
周辺に競合物件があると、どうしても販売競争が生じてしまうので売却期間に時間がかかってしまうことがあります。
そのため、周辺に競合物件が少ない地域の方が売りやすいでしょう。
周囲の物件が売りに出ていないタイミングで売却をスタートするなど、タイミングを工夫することでスムーズに売却できる可能性があります。
売り出し価格が安い
売り出し価格が周辺相場よりも安ければ、周辺の物件よりも早期に売却できる可能性があります。
周辺物件の相場を調べて、少し安い価格で売り出すことで比較的早く売却できるでしょう。
自分が希望する売却価格と周辺相場を勘案し、不動産会社と相談してベストな金額を選定してください。
不動産会社の信用度が高い
不動産会社の信用度が高く、売却に関するノウハウを持っている場合には早期に売却できます。
中古マンション売却のノウハウや経験が乏しい業者と媒介契約を締結しても、売却までには時間がかかるのが実情です。
不動産会社のホームページなどから「中古マンション売買の取り扱いはしているか」「これまでどの程度の実績があるのか」を把握して、中古マンション売却に信頼と実績がある業者と媒介契約を締結してください。
「どの不動産会社を選択したらよいか分からない」という場合には、一括査定サイトを利用しましょう。
売れないマンションの特徴
売れないマンションには次のような特徴があります。
- 築年数が古い
- 売り出し価格が周辺よりも高い
- 立地の利便性が悪い
- 需要がないタイミングに売り出した
- 不動産会社の実績が少ない
- 住宅ローンが残っている物件
物件そのものが売れない特徴を具備しているケースもありますが、売り方がまずいために売れ残ってしまうことも珍しくありません。
売れないマンションの6つの特徴について詳しく見ていきましょう。
築年数が古い
築年数が古いマンションは売却までに時間がかかります。
マンションだけでなく、住宅は築25年超になるとガクッと取引量が減少するので、築年数25年超のマンションは「売りにくい物件」です。
需要が少ないので、新しい物件と比較して買い手を見つけるまでに時間がかかり、売却期間も長くなる傾向にあります。
売り出し価格が周辺よりも高い
売り出し価格が周辺よりも高ければ一般的には売りにくくなります。
同じような物件であれば、安い方が売れやすいためです。
人気の間取りや設備などの付加価値がついていない限りは、周辺相場を超える価格設定の物件は売りにくいでしょう。
立地の利便性が悪い
マンションの立地が悪い物件も売りにくいため、売却までには時間がかかります。
「駅から遠い」「スーパーから遠い」「駐車場がない」このような生活するのに不便な物件は買い手が見つかるまでに時間がかかるものです。
また、ゴミ処理場や葬祭場などの施設が近くにある物件も比較的売りにくいでしょう。
需要がないタイミングに売り出した
人が動かないようなタイミングで売りに出しても、なかなか買い手は見つかりません。
なぜ住宅を買うかと言えば「引っ越さなければならない事情がある」ためです。
そして引っ越さなければならない事情が集中するのが、就職や転職などが多くなる4月や10月くらいですので、このタイミングに売りに出さないと売却までに時間がかかる傾向にあります。
不動産会社の実績が少ない
不動産会社にマンション売却の経験がないケースでも、売却までに時間がかかってしまいます。または売主が非常に不利な条件で売却される可能性もあります。
マンション売却の経験がないので「中古マンションを買いたい」という顧客も抱えていませんし、自社サイトや広告への掲載方法についてもニーズを満たしていない可能性があります。
一口に不動産会社と言っても賃貸や売買やディベロッパーなど業務は様々です。
売買についてノウハウを持っている業者と媒介契約を締結するようにしてください。
住宅ローンが残っている物件
住宅ローンが残っている物件も比較的売りにくいと言えます。
売却額+自己資金で住宅ローンを完済できるのであれば問題ありません。
しかし自己資金を持っていない場合には売り出し価格を「住宅ローン残金以上」と設定しなければ住宅ローンを完済できません。
そして住宅ローンを完済できない限りは住宅に設定されている抵当権を解除できないので、売却は不可能です。
住宅ローンが残っている物件は売り出し価格が高くなるため、売却までに時間がかかります。
売れるマンションの特徴
- 人気のエリアに立地している
- 築25年以内
- 人気の間取り
- 周辺に競合物件が少ない
- 売り出し価格が安い
- 不動産会社の信用度が高い
売れないマンションの特徴
- 築年数が古い
- 売り出し価格が周辺よりも高い
- 立地の利便性が悪い
- 需要がないタイミングに売り出した
- 不動産会社の実績が少ない
- 住宅ローンが残っている物件
マンションを早く売却するためのコツ
マンションを早期に売却したいのであれば、次の6つのポイントを抑えて売りに出すことが重要です。- 相場を把握して適正な売り出し価格を設定する
- リフォームやクリーニングを利用する
- 内覧希望に丁寧に対応する
- 人が動く季節に売りに出す
- 買取で売却する
- マンション売却のノウハウを持った不動産会社へ依頼する
相場を把握して適正な売り出し価格を設定する
周辺相場をしっかりと把握して、相場に見合った売り出し価格を設定することが重要です。
売り出し価格が相場を超える場合には売却が難しいですし、相場を下回る価格であれば早く売れるかもしれませんが金銭的には損をするためです。
価格設定は「適正価格」であることが最も重要ですので、不動産会社と相談の上で周辺相場に見合った価格としてください。
リフォームやクリーニングを利用する
売却活動を始める前にリフォームやクリーニングを利用して、人気の設備を導入したり、綺麗な状態で売りに出すことで実際の価値以上にマンションが評価されることもあります。
特に浴室乾燥機などは、それほどお金をかけずに導入できる設備ですので、予算の範囲内で人気の設備を導入することを検討しましょう。
内覧希望に丁寧に対応する
内覧に対して丁寧に対応し、購入希望者に対してよい印象を持ってもらうことも重要です。
自宅を綺麗にしておくことはもちろんですが、内覧希望者に対して丁寧かつ親切に接し、居住者しか分からないマンションの住み心地、周辺の環境、隣人の様子などポジティブな情報を伝えましょう。
「前に住んでいた人がすごくいい人」というのは、中古マンションの非常に大きな付加価値になるので、できる限り丁寧かつ親切に接するようにしてください。
人が動く季節に売りに出す
人が動く4月や10月に向けて売却活動をスタートさせましょう。
売却までに3か月の時間がかかるとすると1月と7月くらいから売却活動をスタートさせるのが理想です。需要が増える時期に売却活動をすることで、早期に売却できるとともに高値で売却できる可能性が高くなります。
転勤や入社など引っ越しの需要が高まるタイミングを狙って売却活動を行いましょう。
買取で売却する
買取で売却すれば仲介よりも圧倒的に短い期間で売却でき、最短1週間程度で現金が入金される場合もあります。
ただし、買取は不動産会社が「転売で利益を出せるだろう」と判断した物件しか不可能ですし、売値は仲介の7割〜8割程度になってしまいます。
金銭的に買取は仲介よりも損になるのでどうしても急ぎで売却したい時に検討してください。
マンション売却のノウハウを持った不動産会社へ依頼する
マンション売却のノウハウを持った不動産会社と媒介契約を締結しましょう。
業者によって「マンションの売り出し方」「抱えている顧客」は様々で、ノウハウを持っている業者ほど、マンションを魅力的に売り出してくれますし、「買いたい」という多くの顧客に対して物件を紹介してくれます。
中古マンション売却の成果は、どの業者へ依頼するかによって大きく変わるのでマンション売却のノウハウを持った業者と媒介契約を締結しましょう。
また、業者探しの際には一度に複数の業者から査定を得られる一括査定サイトの利用も活用するとよいでしょう。
まとめ
中古マンションの売却のかかる期間は平均的には3か月〜4か月程度です。
ただし、物件の築年数や立地や間取りによって売却期間は異なりますし、何よりも「どの業者に依頼するのか」が非常に重要になります。
中古マンション売却の経験とノウハウを持っている不動産業者へ依頼するとともに、複数の業者から同時に査定が取れる一括査定サイトの利用も検討してください。
- 中古マンションの売却には平均3か月~4か月かかる
- 駅近などの好立地や使い勝手のいい間取りはもちろんのこと、築25年以内の物件は比較的売却しやすい
- 人が動く4月や10月に向けて、適正な売り出し価格で売却活動をスタートさせることで早く売却できる可能性が高まる