自分の大切な資産であるマンションを売却する際には、誰もが失敗したくないと思うものです。
しかし実際に売却した人の3分の1程度は売却条件に不満を感じていると言われています。
せっかく自分の資産を売却するのであれば「失敗した」などと後悔することは避けたいものです。
そこで、マンション売却ではどんな失敗が多いのか、よくある5つの失敗をご紹介していきます。
失敗しないためのポイントについても解説していますので、マンションの売却を検討している方はぜひ最後までご覧ください。
- マンション売却の5つの失敗例
- 失敗しないためのポイント
- マンション売却の流れ
- 税金の対策方法
マンション売却の5つの失敗例
マンション売却で最も多い失敗が次の5つです。
- 売却のタイミングを焦って安く売ってしまった
- 売り出し価格に失敗した
- 内覧時に部屋を綺麗にしていなかった
- 仲介業者に囲い込まれてしまった
- 複数社から査定を取らなかった
マンションを売却する際の価格やタイミングや業者選びで失敗したと感じる人が多いようです。
マンション売却時によくある5つの失敗例について詳しく解説していきます。
売却のタイミングを焦って安く売ってしまった
マンション売却のタイミングを間違えて、安く売ってしまうケースです。
マンションの売却には売りやすい時期と売りにくい時期があります。
最も売りやすいのは人の移動がある4月に向けた2月と3月です。
この時期は買い手が多いので、自分が希望する金額で売却できる可能性が高くなります。
一方、売りにくいのは8月と12月です。
この時期はお盆や年末年始などの休みが多い時期ですので、わざわざ不動産購入のために不動産屋に足を運んだり、内覧しようという人が少なくなるためだと言われています。
この時期に売却すると、買い手が少ないので値下げして売却するケースもあります。
不動産の売却には売りやすい時期と売りにくい時期があります。
そして、不動産は売却までに平均的に3ヶ月程度かかると言われているので、マンションを需要のピークに売却したいのであれば11月か12月頃に不動産会社へ相談して売却を検討するとよいでしょう。
また、同じマンションに売りが出ていると値下げ合戦になり、売却価格が著しく低くなってしまう傾向があります。
売却を検討しているタイミングで同じマンションに売りが出ているのであれば、売却を少し待った方がよいでしょう。
売り出し価格に失敗した
売り出し価格に失敗するケースもよくあります。
不動産会社によって売り出し価格は異なり、強気な不動産会社へ相談することによって、売り出し価格が相場より高くなることがあります。
しかし需要が低迷しているタイミングで高い価格を設定しても、売却することは困難です。
結果的に売却期間が長くなり、いつまでもマンションが売却できずに、渋々値下げすることはよくあります。
また、売り出し価格が低すぎるケースにも注意が必要です。
不動産売買の現場では、値下げが行われるのが基本だからです。
そのため、売り出し価格を売却希望額としてしまうと、値下げが行われた場合に希望額で売却できないことになります。
通常、不動産売却時には値下げ交渉が行われることを想定して、売却希望額よりも1割程度高い価格を売り出し価格として設定することが一般的です。
売却価格を決める際には、周辺の売却相場を調べて、適正だと思われる売却価格に1割程度を上乗せした価格を売り出し価格としましょう。
内覧時に部屋を綺麗にしていなかった
売り先行でマンションの売却を行う場合には、内覧時に住み続けることになります。
購入希望者が内覧に来た際に、家を綺麗にしていないと、マンションが実際の価値よりも低く見られてしまう可能性があります。
反対に、内覧時に綺麗にしておけば、見学者が内装を確認できますし、「こんな家具を置きたい」などと売却後の生活を前向きに考えることができるので、売却できる可能性が高くなるでしょう。
一般の購入希望者は、内覧時に汚い家について「片付ければ、どのような家になる」と想像することができないので、内覧時に汚い家は売却できる可能性が著しく低くなります。
マンションの売却中はいつ内覧が来てもいいように、自宅を綺麗にしておきましょう。
また、水回りなどはハウスクリーニングを入れておいた方がよいでしょう。
仲介業者に囲い込まれてしまった
相談した不動産会社が顧客の囲い込みを行っているケースです。
囲い込みとは、自社の売り物件を自社の顧客にしか販売しないというものです。
囲い込むことによって、売り手からも買い手からも仲介手数料が取れるので不動産会社の利益は大きくなります。
しかし売り手は、当該不動産会社の顧客しか買い手を見つけることができないので、相場よりも低い価格で購入を希望する人しか見つけられない可能性があります。
悪徳な不動産会社は囲い込みを行うケースがよくあるので、インターネットの口コミなどを確認し、囲い込みをする業者でないかどうかを確認しましょう。
複数社から査定を取らなかった
複数の不動産会社から査定を取らず、1社のみで決めてしまうケースです。
査定をとった1社が高額で売却できる優良業者であれば問題ありませんが、場合によっては売却実績がない業者である可能性もあります。
売却実績がないと査定額が相場よりも低いか、売却が難しいくらいの高額に設定される可能性もあります。
マンション売却時には必ず複数社から査定をとり、どの程度の価格が妥当なのかを把握して、その中で最も好条件の不動産会社と媒介契約を締結するのがよいでしょう。
信頼できる不動産会社が分からない場合には、必ず複数社から査定を取るようにしてください。
なお一括査定サイトであれば、一度不動産情報を入力すれば簡単に複数社から査定が取れるのでおすすめです。
マンション売却に失敗しないためのポイント
マンション売却に失敗しないためには次の3つのポイントを押さえて売却活動を進めていきましょう。
- 信頼できる不動産会社を探す
- 複数社に査定を依頼する
- 担当者の人柄や相性も重視する
信頼できる不動産会社を探す
マンション売却で最も重要なことは、信頼できる不動産会社を探すことです。
マンションを有利な条件で希望するタイミングで売却できるかどうかは、仲介する不動産会社にかかっていると言っても過言ではありません。
マンション売却の実績が豊富な不動産会社は、マンションの特徴を理解して、最も高額かつスムーズに売却できる方法を提案してくれます。
一方、マンション売却の実績やノウハウがない業者は、ただ売却情報を公開して待っているだけで時間だけが経過して値下げの提案を行うだけです。
不動産会社のホームページを確認し、中古マンション売却にどの程度の実績があるのかを必ず確認しておきましょう。
複数社に査定を依頼する
マンション売却の際には複数の不動産会社へ査定を依頼しましょう。
不動産の査定価格は不動産会社によって異なります。
そのため、複数社から査定を取らなければ、どの程度の価格が適正価格なのか分かりません。
また、信頼できる不動産会社を一般の方が見つけることも困難ですので、一括査定サイトなどを活用することで、サイト側の審査に通過した信頼できる不動産会社から複数の査定を取ることができます。
最初から1社だけに売却を任せるのではなく、必ず複数社から査定をとって、最も条件や相性がよい不動産会社と媒介契約を締結するようにしてください。
担当者の人柄や相性も重視する
マンション売却の際には業者選びと同じくらいに担当者との相性が重要です。
自分が住み慣れたマンションという財産を売却するのであれば、担当者が人間として信頼できる人物かどうかも非常に大切になります。
担当者との信頼関係が構築されていれば、売却活動だけでなく住み替え先の物件の相談や資金繰りの相談ができるようになります。
一方、自分のノルマのことしか考えない信頼できない担当者の場合には、ノルマ達成を優先して相場よりも低い価格での売却を提案されたり、売りにくい物件は長期間放置されることも珍しくありません。
不動産会社との面談の際に、担当者の印象が「苦手な人だな」「信頼できなさそう」というネガティブな印象を持った場合には、他の不動産会社へ相談した方がよいでしょう。
失敗ないためにマンション売却の流れを理解しよう
マンション売却に失敗しないためには売却のための流れをしっかりと把握しておくことも重要です。
マンション売却は次のような流れで行います。
- 売却相場を調べる
- 不動産会社に査定を依頼する
- 媒介契約を締結する
- 売却活動
- 売買契約を締結
- 残代金の支払い・引き渡し
- 確定申告
失敗しないためのマンション売却の流れについて詳しく解説していきます。
売却相場を調べる
まずは査定を取る前に自分で売却相場を調べることが重要です。
相場を把握していないと、不動産会社が出した査定が高いのか安いのか分からないためです。
売却相場を調べる方法は主に次の3つです。
- マンション売却サイトを確認する
- レインズマーケットインフォメーションを確認する
- 国土交通省の不動産取引価格情報検索を確認する
レインズマーケットインフォメーションとは、国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステムであるレインズで売買が成立した不動産の売買価格などを調べることができます。
また、国道交通省は不動産売買が成立した際の情報をデータベース化しているので、これらの情報から適正な相場を事前に把握することが可能です。
不動産会社に査定を依頼する
次の不動産会社へ査定を依頼します。
マンション売却の際には複数の不動産会社へ査定を依頼するのが無難です。
複数社に個別に査定を依頼するのが面倒という方は、一括査定サイトがおすすめです。
一括査定サイトとは、不動産の情報を登録すると、当該サイトに登録している不動産会社から複数の査定が届くというものです。
個別に不動産会社へ相談する手間がかかりませんし、登録している不動産会社はサイトの審査をクリアしている信頼できる企業ばかりですので安心して利用できます。
媒介契約を締結する
売却活動を任せる不動産会社が見つかったら、不動産会社と媒介契約を締結します。
複数社と媒介契約を締結するのであれば「一般媒介契約」、1社のみに絞るのであれば「(専属)専任媒介契約」を締結します。
3つの媒介契約の違いは次の通りです。
複数社との契約 | レインズへの登録 | 売主への報告義務 | 自己発見取引 | |
---|---|---|---|---|
一般媒介契約 | 可能 | 登録義務なし | 報告義務なし | 可能 |
専任媒介契約 | 不可 | 契約締結から5日以内に登録 | 2週間に1回以上 | 可能 |
専属専任媒介契約 | 不可 | 契約締結から5日以内に登録 | 1週間に1回以上 | 不可 |
信頼できる1社が見つかったのであれば、専任媒介契約を締結し、定期的に報告を求めるのがよいでしょうし、そうでないのであれば一般媒介契約を締結するとよいでしょう。
売却活動
媒介契約を締結した不動産会社が売却活動を行います。
売却活動はレインズやポータルサイトへの登録、自社の顧客への紹介などさまざまです。
不動産会社に任せきりにするのでなく、売主も自分だから知っている情報を積極的に提案したり、写真を多く提供するなど、売却活動に協力しましょう。
売却活動中に内覧も行われるので綺麗にしておくようにしてください。
売買契約を締結
買い手が見つかり、売却条件に双方が同意したら、売買契約を締結します。
契約手続きは不動産会社の事務所か、買い手が住宅ローンを利用する銀行で行われるのが一般的です。
契約時には手付金として売却代金の1割程度を受け取り、残りは引き渡し時に受け取るのが一般的です。
この時点で、売り手は引っ越しを開始します。
残代金の支払い・引き渡し
引っ越しが完了し、引き渡し日になったら買い手にマンションを引き渡します。
引き渡しと同時位に残代金の支払いを受けて売買は完了です。
確定申告
マンションを売却したら、翌年の3月15日までに確定申告を行いましょう。
売却益が出た場合には、譲渡所得税が発生するので確定申告は必ず必要になります。
損失が出た場合は、納税の必要がないので必ずしも確定申告は必要ありません。
しかし損失は「損益通算」「繰越控除」などの税金の特例に利用できるので、税金の特例の恩恵を受けたい場合には、確定申告をしておいた方がメリットがあります。
マンション売却で失敗したいための税金の対策方法
マンション売却で失敗しないためには税金対策についても理解しておく必要があります。
マンション売却によって譲渡益が出た場合はもちろん確定申告をして納税をしなければなりませんが、損失が出た場合も確定申告を行う必要があります。
マンション売却後の確定申告について解説していきます。
譲渡益が出た場合の税金
マンション売却によって譲渡益が出た場合には、譲渡所得税が発生します。
なお、譲渡所得は『売却価格 – 購入価格 – 諸費用』で計算し、譲渡所得税は次のように、不動産の所有期間に応じて異なります。
所有期間 | 5年以下 | 5年超 | 10年超
所有軽減税率の特例 |
---|---|---|---|
居住用 | 39.63%
(所得税30.63% 住民税 9%) |
20.315%
(所得税15.315% 住民税 5%) |
①課税譲渡所得6,000万円以下の部分14.21% (所得税10.21%・住民税4%) ②課税譲渡所得6,000万円超の部分20.315% (所得税15.315%・住民税5%) |
非居住用 | 39.63%
(所得税30.63% 住民税 9%) |
20.315%
(所得税15.315% 住民税 5%) |
20.315%
(所得税15.315% 住民税 5%) |
マンション売却によって譲渡所得が発生した場合には、譲渡所得税を納める義務があるので、必ず翌年3月15日までに確定申告をしておくようにしてください。
売却損が出た場合の税金
売却損が出た場合にも各種控除を受けるためには確定申告が必要です。
特に、「居住用財産の3000万円特別控除」を利用して、所得がマイナスになった場合には必ず確定申告が必要です。
「居住用財産の3000万円特別控除」とは居住用の不動産を売却した際の譲渡所得を3,000万円控除してくれるというものです。
また、マンション売却によって損失が発生した場合は、次のような控除を受けることができます。
- マイホームを買換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
損失を他の所得と損益通算したり、損失を繰り越せる特例が受けられるので、売却損が出た場合にも確定申告を行った方がよいでしょう。
まとめ
マンション売却で失敗するケースはタイミングや価格などが挙げられます。
これらの失敗は、信頼できる不動産会社を見つけてしっかりとサポートを受けることで十分に防ぐことが可能です。
信頼できる不動産会社を見つけるためには複数の不動産会社から査定を取ることが重要です。
一括査定サイトなどを利用して、できる限り多くの不動産会社から査定を取るようにしてください。
- マンション売却する際は価格、タイミング、業者選びに注意する
- マンション売却に失敗しないためにも売却の流れをきちんと理解しておくことが大切
- マンション売却で売却損が出た場合も、確定申告を行うことで各種控除を受けられる可能性がある