近年、日本全国で空き家の数が増加し、それに伴い空き家の管理や相続問題があちこちで話題となっています。
それと同時に、各自治体も空き家対策の一環として、「空き家バンク」と呼ばれる空き家の不動産情報のみを集めたサイトを開設し空き家の流通の促進に向けて対策を始めています。
コロナの影響もあって都会から地方への移住者が増える中で、近年地方の賃貸需要が高まっています。
空き家を賃貸にする具体的な方法と収益性についてご紹介します。
空き家の賃貸の種類とは
空き家を賃貸にするには様々な方法がありますが、契約形態によって分類すると4つの種類に分けられます。
- 普通建物賃貸借
- 定期建物賃貸借
- DIY型賃貸借
- サブリース契約
それぞれについてご紹介します。
普通建物賃貸借
一般的な賃貸物件で広く用いられる契約形態のことです。
通常であれば、契約期間が2年に設定され借主が更新をすることで住み続けることができます。
また、途中で契約を終えることも可能なことが多い比較的自由な契約形態です。
不動産会社にお願いして広告を出したり、入居までの手続きを代行してもらうケースがほとんどですが、不動産会社を介さずに貸主と売主が直接契約を結ぶケースも珍しくありません。
定期建物賃貸借
定期建物賃貸借は、普通建物賃貸借と異なり契約の更新ができない契約のことです。
契約満了とともに、借主が退去するので、自己使用や売却をするスケジュールが決まっている際には便利な契約形態です。
ただし、決められた期間内しか居住ができないため、入居しにくい点には注意が必要です。
DIY型賃貸借
近年話題になっている契約形態の1つで、自分自身でリフォームが可能となる契約形態です。
通常の賃貸物件では、退去時物件の状態を入居前の状態に戻すことが必要ですが、DIY型賃貸借契約では、その必要がないためDIYをして自分好みの部屋にすることができます。
サブリース契約
不動産会社や住宅会社が賃貸物件にするために物件を賃貸することをサブリース契約といいます。
物件に入居者がいなくても、物件の所有者に賃料が支払われるのが大きなメリットです。
しかし、借り上げた不動産会社の経営不振や倒産により、トラブルに発展するケースも少なくありません。
賃貸物件に向いている空き家の特徴
自分が所有している空き家を売却するか賃貸にするかの判断は非常に困難で、さまざまな観点から検討する必要があります。
賃貸物件に向いている空き家の特徴についてご紹介します。
登記簿上の所有者と実際の所有者が異なる
空き家の登記簿上の所有者と実際の所有者が異なる場合には、賃貸物件に向いている可能性が高いです。
相続や売買が発生した際に、司法書士に依頼して登記簿に掲載されている所有者の名前を変更する必要があるにもかかわらず、それを行っていない場合、こういったことが起こります。
そもそも、実際の所有者と登記簿上の所有者が異なる物件は基本的に売買して所有権を第三者に移転することができません。
また、似たケースで、建物を複数人で共有して所有している場合も同様に売買ができないため空き家を活用する主な手段として賃貸ならば可能ということになります。
第三者に賃貸をする際には、登記簿上の所有者が大家となる必要はありません。
ただ、他人名義の建物を賃貸にする場合には必ずその人から物件を借りていることを証明したり、相続人であれば相続人である証拠を示すことで借主も安心して賃貸をすることができます。
電気、水道、ガスが確実に使用可能
空き家を賃貸物件にする際には、空き家に第三者が住むことになります。
当然、その際には電気、水道、ガスが使用可能なことが求められます。
長年空き家であった建物は、水道管や電気に問題を抱えていることが多いため賃貸物件にする際には修繕に多額の費用がかかる恐れがあります。
空き家を賃貸にする際には、マンションやアパートと違って高い賃料をとることが基本的にはできません。
そのため、修繕に要した費用を回収するために多額の費用がかかることとなります。
ライフラインが使用可能な状態であれば、すぐに居住を開始することができるため賃貸向きといえます。
賃貸需要が高い地域であること
最も大事なのは、空き家のある地域に賃貸物件の需要があるかどうかです。
最近、都会から地方への移住者が増えていることは事実ですが、移住者に人気の地域とそうではない地域があるため注意が必要です。
賃貸需要がある地域の特徴は以下の4つです。
- 都市部までのアクセスがよい
- 住宅同士の距離が離れている
- 通学するのが極端に困難ではない
- 海や山などの眺望のよい場所が複数ある
居住するのに不便ではなく、なおかつ田舎の風景や雰囲気が楽しめる場所に需要があるようです。
子育て世代の移住者も多いため、通学が極端に不便である地域は避けられる傾向にあるようです。
空き家を賃貸物件とする際には、必ず地元の不動産会社に賃貸需要があるかどうか確認しましょう。
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初期投資なし!?DIY型賃貸借のすすめ
空き家を賃貸にする際には、ライフラインの復旧や床や壁、天井の修繕など最初にかかる費用が多額になるケースがあります。
そのため、最近では現状のまま安い賃料でDIY型賃貸として貸し出すケースが増えてきました。
DIY型賃貸借によって空き家を貸し出すメリットをご紹介します。
初期投資なしですぐ収益化できる
DIY型賃貸であれば、ライフラインが不完全だったり、建物に修繕が必要な箇所があった場合でもその分賃料を安くして貸し出すことができます。
賃料を安くする代わりに、入居者が自分自身でリフォームすることができるため通常の賃貸物件のようにきれいにリフォームする必要はありません。
そのため、賃料が低いため少額とはなりますが、借主が入居したらすぐに収益をあげることができます。
空き家の維持管理の負担がなくなる
入居者がいれば、空き家を管理する必要がなくなります。
もし、賃貸物件において水漏れや屋根の剥がれなど大規模な破損が起きたとしても入居者がそれを把握しすぐに所有者に連絡があります。
遠方にいると物件の管理が難しく、管理業者に委託するにも多額の費用が発生します。
空き家が修繕され資産価値が回復する
DIY型賃貸借では、退去時に物件を入居前の状態に戻す必要がないため、借主がリフォームした場所に関してはそのままとなります。
そのため、入居者が退去後に売買する際には賃貸にする前と比べると多少資産価値が上昇していることとなります。
また、売買の際に実際に住んでいた人がいるという情報も、買主にとっては検討材料の一つとなりますので、売買にプラスに働く可能性が高いです。
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DIY型賃貸借で気を付けるべきポイント2つ
DIY型賃貸借のメリットをご紹介してきましたが、実際にDIY型賃貸借として空き家を活用する際には気を付けるべきポイントが2点あります。
リフォームする場合は事前に内容を聞くこと
入居者がリフォームをする際には、事前に内容を聞くことにしましょう。
特に確認すべき内容は以下の3つです。
- DIYか業者を使うか
- 費用はいくらくらいかかるか
- 特定の人に需要がある内装や設備ではないか
入居者がDIYで工事をする際には、入居者のDIY歴が何年なのかや工事の難易度を事前に確認しましょう。
工事に失敗してしまったとしてももとの状態に戻す責任が入居者にはないので、物件の価値を下げることになります。
また、物件の価値を下げるという点では、特定の人に需要がある内装や設備の変更は断るべきです。
物件を売買する際に売買がしづらくなるためです。
ライフラインの状態を正確に把握すること
DIY型賃貸の場合、入居者は建物の修繕必要箇所が各ライフラインが使用可能かどうかについて説明を受けた上で入居します。
その際に、使用可能だったものが実は使用できなかったり、発見されなかった修繕箇所があった場合トラブルになる可能性があります。
トラブルになりやすいライフラインについては事前に自分自身で確認するようにしましょう。
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まとめ
空き家の賃貸の可能性とDIY型賃貸について説明してきましたが、賃貸は売買と比較すると契約や入居者とのやりとりが発生することから複雑であるといえます。
また、契約の種類に関しても専門的な知識が求められることが多く、知識や経験のない人にとっては難しく思えます。
しかし、賃貸として空き家を活用すると継続的な収益が得られます。
発生した収益を使って空き家のリフォームや建て替えをすることで、空き家の資産価値を高めた状態で売買が可能です。
専門性が高い内容については不動産会社に依頼することも可能なので、ぜひ一度空き家が所在する地域の不動産会社に賃貸物件について相談してみましょう。
参考 https://nagoya-fudosan.jp/lease/type-of-building-lease-agreement/
https://www.kentaku.co.jp/estate/navi/column04/post_48.html