通常、自分が所有していない不動産を売ることができません。たとえ親子関係であったとしても、親の不動産が所有している不動産を売却することは難しいです。
しかし状況によっては、親の不動産を売却しなければいけないこともあるでしょう。
親が所有している不動産を売却するときは通常の売却と違い、より慎重に事を進める必要があります。今回は不動産会社で年間50件ほどの土地の売買に関わっていた私が、親が所有している不動産を売却するための方法について解説します。
この記事を読むことによって「親の不動産はどうやって売却すればいい?」「税金をできるだけ安くする方法はある?」「売却するときの注意点は何?」という疑問が解消され、スムーズに親の不動産を売却できるようになります。
親が所有している不動産を売却したい人は参考にしてみてください。
親の不動産は場合によって売却できる
親が持っている不動産の売却を進めようと思っても高齢で手続きが難しいというケースは増加しています。
親が介護施設に入居する、息子世帯と同居するなどの事情で家が空き家となるのであれば、売却するのがおすすめです。
しかし不動産売却の手続きは簡単なものではなく、ましてや高齢の人がひとりで進められるものではないでしょう。
そんな場面で、売却の手続きを親の代わりに進めて上げられれば良いのですが、実の子であったとしても親名義の不動産を自由に売却することはできません。
また、親の健康状態によっても売却方法が異なります。
家を売りたいという意思を親自身が示せる状況なら、「代理人」となって売却する方法や「家族信託」で売却する方法があり、認知症などの売却の意思を示せない状況なら「成年後見人」となって売却を行えます。
他にも、相続したあとに売却するという方法があるので、いずれの状況にあてはまるかを考えましょう。
親の不動産を代わりに売却する方法
親の代わりになって不動産を売却する方法は主に4つあります。
当てはまる状況に応じて使い分けましょう。親の代理人になって売却
所有者本人である親が売却する意思を示せる状況ではあるものの、本人では売却の手続きが難しい場合には代理人となって売却することができます。
このケースでは本人が捺印した委任状を用意すれば、親族が代理人となって手続きを行えます。
例えば、体力が低下したことによって何度も外出できない場合や、介護施設に入居していて外出が難しい場合にはこの方法がとられます。
ただ代理人の選任には、本人の意思がはっきり示せる状態であることが重要です。
認知症の進行によって意思能力が欠けていると判断される場合には、契約中だとしても取引は無効となります。
代理人となって売却するには、まず委任状を用意しましょう。
委任状のフォーマットは決められていないので、不動産会社からひな形をもらうのがおすすめです。
委任状には委任する内容を漏れなく記載し、本人の実印を捺印します。
また委任状の他に以下のような書類が必要になります。
- 親の印鑑証明書
- 親の本人確認書類
- 親の住民票
- 代理人の本人確認書類
ただ書類が揃えば、そのまま売却できる訳ではありません。
買主の立場からすると、本来の売主である親が売却の意思を本当に示しているかは不安な要素となります。
そのため売買を仲介する不動産会社や司法書士が本人と面談して、売却の意思があることを確認した上で委任したかは確かめられます。
相続して名義人を変更して売却
親が亡くなって不動産を相続した場合には名義人を変更して売却することができます。
名義変更には相続登記が必要で、相続手続きに関しても完了させておく必要があります。
そのため相続の話がまとまったあとに相続登記を行ないましょう。
相続登記を行なうには、法務局に所有者移転登記申請書を提出します。
所有者移転登記申請書の作成は、司法書士に依頼することもできますが、自分で作成することもできます。
相続登記には以下のような資料が必要になるので準備しておきましょう。
- 印鑑証明
- 登記申請書
- 住民票の写し
- 戸籍謄本
- (遺産分割協議を行った場合)遺産分割協議書
- (遺言があった場合)遺言書
成年後見人となって売却する
親が認知症となって不動産を売却する意思を示せない場合などには、成年後見人となって親名義の不動産を売却する方法をとります。
成年後見人とは、本人の代わりに契約を結んだり、不利な契約を取り消すことができる立場です。
一般的に重い責任を背負う立場になるので、親族だけでなく弁護士や司法書士が任命されることもあります。
成年後見人は不動産の売却だけでなく、入院の手続きや財産管理を行なうことができます。
たとえ家の売却を終えたとしても成年後見人が解除されることはありません。そのため親の意思能力が回復するか、本人が亡くなるまで成年後見人という立場は続きます。
また、司法書士などが成年後見人となっている場合には、報酬が発生し続けるので注意が必要です。成年後見人となって親名義の不動産を売却するには、まず家庭裁判所へ成年後見人の選任を申し立てます。
そうすると家庭裁判所で審理が行なわれて、成年後見人が選任されます。
無事成年後見人へと選任されたら、次に家庭裁判所へと居住用不動産処分の申し立てを行ない、裁判所の許可を得ます。
このように成年後見人が選任され、売却する許可を得るには数ヶ月かかります。
さらに無事許可を得て売却することになっても、買主を見つける時間も必要なので、成年後見人となって売却するにはかなり時間がかかります。
すこしでも手続きを楽にできるように、成年後見人での手続きに慣れている不動産会社に売却を依頼するといいでしょう。
家族信託で売却する
家族信託とは、親が自分の財産を信頼できる家族に移転して、管理してもらい、その財産の使い道について一定の指示ができる制度です。
家族信託を親子で行う場合には、不動産を利用する権利を親に残したまま、所有権を子に移すことができます。
家族信託では、所有権を受け取る子どもの立場を受託者と呼び、財産の利用権のある親を委託者兼受益者と呼びます。
家族信託は契約のひとつで、親が認知症などで意思能力を失ったあとに受託者によって不動産を売却できるように設定することができます。
ただし信託契約は親の判断能力が十分な内に行う必要があるので、あらかじめ知っておかなければなりません。
また、家族信託は2007年にできた新しい仕組みなので、税金の取り扱いに関して不透明なところが多く、節税しにくいというデメリットがあります。
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空き家の放置に注意
親が亡くなった後の実家を長期間放置していると、最悪の場合毎年10万円以上の費用がかかることがあります。
かかる費用は以下の通りです。
- 火災、地震保険料
- 固定資産税
- 水道代や光熱費の基本料金
戸建ての場合、定期的に人が立ち入ってメンテナンスをしていないと草木が生い茂り、建物は老朽化で崩れていきます。
放置された家は放火などの犯罪が起こりやすく、また強風が吹いたときに屋根材が飛んでいくなど近所トラブルの元となります。
さらに長年、放置された空き家は空家等対策特別措置法によって特定空家に指定されます。
特定空家に指定されると固定資産税は6倍へと跳ね上がり、最終的には家の解体を強制執行され費用を請求されます。
空き家を放置するデメリットは大きいので、早期に売却するか、適正に管理を行なうようにしましょう。
親の不動産を売却するときにかかる税金
親の不動産を売却するときには以下の税金が課せられます。
- 譲渡所得税
- 登録免許税
- 印紙税
上記の3つの税金の中でも、9割以上を占めるのが譲渡所得税で、最も高額です。
譲渡所得税の金額を知るにはまず譲渡所得額を計算します。
譲渡所得額は以下のように計算できます。
譲渡価額-取得費-譲渡費用=譲渡所得
- 譲渡価額:売却した金額のこと
- 取得費:購入した時にかかった費用-減価償却費
- 譲渡費用:仲介手数料や印紙税、解体費用など
譲渡所得額に税率を掛けることによって譲渡所得税の金額を求めることができます。
税率は不動産の所有期間によって異なり、5年超だと税率は15%、5年以下だと税率は30%になります。
例えば、保有期間5年未満の譲渡所得額が1,000万円の不動産を売却したとき、譲渡所得税額は「1,000万円✕0.3=300万円」となります。
けっこうな金額になるので、下記で説明する節税方法を活用するのがおすすめです。
親の不動産を売却したら税金は誰が払うか
親の家を売却したときに課税されるのは不動産の所有者として登記されている人です。
つまり親名義の不動産を代理人や成年後見人が売却したとしても、所有者である親が課税対象となります。
親が高齢で確定申告や納税の手続きが難しい場合には、司法書士や税務署などの相談して適切に納税しましょう。
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親の不動産を売却したときの節税方法
譲渡所得税は場合によって何百万〜何千万円となることもあります。
しかし、以下で紹介する節税方法を活用すると負担を軽くすることができます。
取得費用を明確にする
親の不動産を売却するときには、親が不動産を購入したときの書類を探しましょう。
書類を見つける事で譲渡所得額を正確に見積もることができます。
譲渡所得額がはっきりしないと、取得費用が本来かかっている金額よりも低く見積もられてしまうため、譲渡所得税額が高くなります。
取得費用が不明なときは?
親の不動産を売却するとき、不動産の取得費用が分からないことが多くあります。
そんなときは5%ルールといって、売却費用の5%を取得費用に見なして計算してよいというルールがあります。
ただし5%ルールを適用して計算すると、取得費用が安くなってしまうため、譲渡所得が大きくなります。
そして譲渡所得税額も割高になる可能性も高いです。
したがって、できる限り親が不動産を購入したときの契約書や領収書を探した方がいいでしょう。
マイホーム特別控除を利用する
親が所有していた不動産に自身も住んでいた場合には、マイホームの売却と見なされてマイホーム売却の特別控除を利用することができます。
この特別控除では、譲渡所得額から最大3,000万円を控除できるので、かなりの金額を節税することができます。
ただし別居している場合や、たまに実家に帰る程度では適用されないので、注意しましょう。
相続空き家売却の特例控除を利用する
この特例も上記の特別控除と同様に、3,000万円まで控除できる特例です。
この特例は親が居住用に使っていた家で、死後空き家になる家が対象になります。
そのため亡くなって相続が始まるまで親がその家で暮らしていたことが前提となります。
あくまでも空き家になってしまう家に適用される特例なので、家族が同居していた場合には対象外になります。
小規模宅地等の特例を利用する
親の不動産が330㎡以下の小規模宅地の場合には、小規模宅地等の特例を使用できます。
小規模宅地等の特例とは、330㎡以下の宅地を売るときに土地の評価額を80%減額できる制度です。
売却予定の物件がマンションなら土地の評価額はほとんどありませんが、戸建てを売却する場合には大幅に節税することができます。
損失がでたら損益通算をする
損益通算とは、利益から損失分を引くことです。
不動産を売却するときには、売却益の他に税金がかかります。そのため、売却したことで逆に損失が発生することがあり、その損失分を差し引いて税金を減らすことができます。
この方法を繰越控除といって、不動産などを譲渡して生まれた損失のうち、その年の売却益から控除しきれなかった損失金額を毎年確定申告を行うことによって、最大で3年間繰越すことができます。
親の不動産を売却するときの流れ
ここでは親の不動産を売却するときの基本的な流れを紹介します。
売却する不動産の見積もりをとる
まず不動産を売却するときには、その価格を知りましょう。
不動産会社に見積もりを依頼するのもいいですが、自分で相場を知るのもおすすめです。
自分で相場を知っておくことで、不動産会社に騙されて安く売ってしまったというトラブルを避けられます。
相場を調べるには、国土交通省が公開している「不動産取引価格情報検索」の利用がおすすめです。
2005年〜現在に至るまでの取引データがあり、自分が売りたい不動産の周辺の価格を知ることができます。
不動産会社と媒介契約を結ぶ
不動産会社に売却を依頼するときには媒介契約を結びます。
媒介契約とは不動産の買主を探してもらうための契約で、買主との仲介によるトラブルを防ぐ効果があります。
媒介契約は主に3種類あり、それぞれ役割が違うため自分にあった媒介契約を結ぶのが大切です。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
一般媒介契約では、複数の不動産会社と結べる媒介契約で、自分で買主を探す自己発見取引も可能になっている契約形態です。
しかし契約を結んだ不動産会社には、売却活動を売主に報告する義務がないので、あまり積極的に売却活動を行わない可能性があります。
専任媒介契約は、1社の不動産会社としか契約できない媒介契約です。
契約を結んだ不動産会社は、2週間に1度売主に業務状況を報告しなければいけないので、積極的に売却活動を行います。
また自己発見取引も可能な契約となっています。
専属専任媒介は、1社の不動産会社としか契約できない媒介契約で、自己発見取引も不可能です。
しかし契約を結んだ不動産会社は、1週間に1度売主に売却状況を報告しなければいけないので、専任媒介よりも密に売却活動を行います。
売却活動を行なう
売却活動は主に不動産会社が行うので売主で特にやることはありません。
しかし中古住宅として売りに出すのであれば、買主候補が内覧に来るため、家の中を掃除したり、庭をきれいにしたりしましょう。
なかなか売れない場合には価格の見直しが必要になるので、不動産会社と相談して決めましょう。
家を引き渡す
買主が決定したら、売買契約を結んで家を引き渡します。
売買契約時に約束した状態で引き渡さないといけないので、電気やガス、水道の切り替えが完了しておらず、まだ住んでいる状態なら引っ越しを済ませておきましょう。
住宅ローンの残債がある場合には引き渡しまでに支払って、抵当権の抹消登記もしておかなければなりません。
確定申告をする
家を売却して利益が出た場合には確定申告が必要になります。
確定申告は不動産を売却した翌年の2月16日〜3月15日に行なうので、上記で説明した節税方法を活用して、申告しましょう。
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親の不動産が売れないときの対策
親の不動産が田舎にあるなど売れにくい条件が揃っていると、なかなか売れないという問題が発生することがあります。
ここでは親の不動産が売れないときの対策について紹介します。
空き家バンクに登録する
空き家バンクとは、自治体によって運営され、空き家の所有者と空き家を利用したい人をマッチングする仕組みです。
空き家バンクのサイトでは全国の空き家を検索することができます。空き家バンクは営利目的で運営されていないため、費用を掛けることなく利用できます。
また売買の際でも個人間の取引になるため仲介手数料も発生しません。
ただ、個人間の取引では契約書の作成が難しく、さらに交渉も進みにくくなります。不動産の取引はお互いに専門知識が十分でない場合、トラブルが発生しやすいものです。
個人間取引をする際は注意して取引しましょう。
見た目を整える
紙面の物件情報を見て気に入ったとしても、いざ現地を内覧したら、思った以上に状態が悪くて購入意欲が削がれてしまうことがあります。
せっかくの買主候補を逃してしまわないように、家の中と外をきれいにしておくことは重要です。
しかし、リフォームまで行なってしまうとリフォーム費用を回収できず、損をしてしまうことがあります。
ハウスクリーニングに留めておくか不動産会社と相談して、リフォームを行っても回収できそうであればリフォームをするようにしましょう。
不動産会社に買い取ってもらう
これは奥の手になりますが、不動産会社に買い取ってもらうという方法があります。
買主を探す必要がないので、非常に短期間で売却することができます。
しかし買い取った不動産は不動産会社が再利用するため、リフォーム費用などの経費がかかり、その分買取り価格は安くなります。
仲介での相場よりも1〜3割ほど安くなるので、どうしても早く手放したいという人が利用するのがおすすめです。
近所の人に購入をしてもらう
近所の人だと不動産の周辺の状況を把握しているため、家や土地を有効活用しやすいです。
特に隣人なら合筆といって土地をひとまとめにして敷地を大きくすることができます。
また不動産を無償で譲渡するという方法もあります。
無償譲渡を行なうと費用を支払うことなく不動産を譲渡することができます。
ただ譲渡を受けた人は資産が増えることになるので、贈与税が課税されることがあります。
そのため、後々トラブルに発展しないように、贈与税に詳しい専門家へと相談してから無償譲渡を行なうようにしましょう。
古屋付き土地として売る
家の価格を値引きしても売れない場合や、家が古くて建物の価値を付けられない場合には土地の価格だけにして「古屋付き土地」として売る方法があります。
更地にしたほうが売れやすいと思いがちですが、更地にするには解体費用がかかります。
さらに更地にすると建物が有ったときの特例が適用されないため、固定資産税が高くなる可能性さえあります。格安の戸建てを有効活用したいと考えている人もいるため、更地にする前に「古屋付き土地」として売り出すことをおすすめします。
親の不動産を売却するときに気をつけること
親の不動産を売却するときには、トラブルが起こらないように気をつけることがあります。
親族へ報告する
普段は人間関係が良好だとしても、不動産の売却は大きな金額が動くため、意外とトラブルの原因になることがあります。
法的には親の家を売るときに親族へ報告する義務はないですが、トラブルを防ぐために事前に報告をしておくのがいいでしょう。
また、家の売却代金を着服しているのではないかと疑われないように、売買に関する資料はしっかり保管しておきましょう。
親族に不動産の売却を反対されるときには
親の不動産を売却するときに親戚やその周囲に反対されるケースがあります。
これを説得する場合は、空き家になったときのリスクについて説明するのもいいですし、毎年固定資産税がかかってしまうという事実を伝えるのもおすすめです。
不動産を所有している限り、市区町村に固定資産税を支払い続けます。
税額は固定資産税評価額に1.4%ほどを掛けたものになります。
また、実家が都市計画法で指定された地域内にある場合には都市計画税もかかります。
都市計画税は固定資産評価額の最大0.3%がかかります。
そのため不動産を所有するだけで毎年お金を支払う必要があります。
どうしても納得されないのであればリバースモーゲージを提案しましょう。
リバースモーゲージとは、親の不動産を担保にお金を借りて、持ち主が亡くなったときに家を売却して返済する仕組みです。
持ち主が亡くなるまでの間は、今までと同じように家に住み続けられる上に現金に換えることができます。
ただシニア向けの制度になるので、対象年齢は55~65歳以上となるので、条件を満たしていない場合には利用できません。
契約不適合責任
不動産を売却した売主には契約不適合責任という責任が課せられます。
契約不適合責任とは、不動産の売却後に買主が売主から説明を受けていない不利な事実や不具合が見つかった場合、売主は責任を取るというものです。
親の不動産を売却する場合には、家の傷や不具合を両親に確認し、前もって不動産会社に伝えておきましょう。
売主が買主に必ず説明しておくべき内容は以下の通りです。
- シロアリ被害
- 雨漏り
- 給排水管の不具合
- 土壌汚染
- 人が亡くなるなどの事故や事件があった事実など
上記の内容は伝えておかないと大きなトラブルへと発展するので、優先して調べるようにしましょう。
境界を明確にしておく
売却する不動産が一戸建ての場合、土地の境界をはっきりしておきましょう。
古い家では塀が土地の境界を越していたり、どこまでが自分の家の敷地なのか分からなかったりすることがあります。
境界があいまいなまま引き渡してしまうと、買主とのトラブルに発展してしまいます。
トラブルにならないよう専門家によって確定測量を行なうのがおすすめです。
確定測量費用は35~80万円ほどの費用がかかりますが、測量費用は取得費用に計上して控除することができます。
不動産売却時にトラブルを起こさないように確定測量を行いましょう。
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まとめ
- 親の不動産は場合によって子どもでも売却できる
- 意思能力があるなら代理人で売却する
- 意思能力がないなら成年後見人か家族信託で売却する
- 相続を受けた不動産なら相続登記を行なって売却する
- 不動産の売却は課税対象なので、税金対策を行なう
- なかなか売れない場合には買取も視野にいれる
親の不動産を売却するには主に4つの方法があります。
なかでも、意思能力のある内に家族信託を結ぶのがもっとも手間がかかりません。
成年後見人は家庭裁判所に申し立てて後見人を選任しますが、必ずしも子が選ばれる訳ではありません。
そのため弁護士や税理士が選ばれることもあり、その報酬に費用が発生します。
親の意思を尊重するためにも、前もって準備しておき正しく不動産を売却できるようにしておきましょう。