後悔しないコンパクトマンション購入のポイント|あえて狭い家を選ぶメリットとは?

  後悔しないコンパクトマンション購入のポイント|あえて狭い家を選ぶメリットとは?

近年コンパクトマンションのシェアが上昇している事実と関連して、本記事ではコンパクトマンション購入において大切な知識をご紹介していきます。また、どんな方に合うのか押さえておくべき注意点についても解説します。

宮本建一
【執筆・監修】宮本建一

金融機関に30年あまり在籍し、預金業務や融資業務、経理事務および内部監査業務、審査管理業務を経験しました。 これらの知見をもとに、金融関連(ファクタリング、資金調達、運転資金)、FP関連(保険、不動産、介護)、および法律関連(債務整理、遺産相続)を中心に執筆しています。 また、金融機関行職員を対象とした通信講座の教材執筆にも携わっています。

【保有資格】・FP2級 ・AFP ・金融内部監査士 ・簿記2級
首都圏 コンパクトマンションの発売戸数とシェア推移

引用:株式会社不動産経済研究所|Press Release 首都圏・近畿圏コンパクトマンション(専有面積30㎡以上50㎡未満)供給動向より筆者作成

近年コンパクトマンションのシェアが上昇しています。

株式会社不動産経済研究所によると、2023年の首都圏でのコンパクトマンションのシェアは13.5%となっており、10年前のシェアと比較し8.3ポイント上昇しています。

同様に、近畿圏でも8.1%のシェアで、10年前と比べ4.5ポイントの上昇です。

本記事では、近年人気のコンパクトマンションについて解説します。

特徴や、どのような層がおすすめなのかについて紹介します。

メリット・デメリット、および購入時における注意点についても説明しますので、コンパクトマンションの購入を検討している人はぜひ参考にしてください。

そもそもコンパクトマンションとは?

コンパクトマンションは、ファミリータイプマンションとワンルームマンションの中間に位置するマンションです。

特徴やどんな人におすすめなのかについて、ここでは解説します。

コンパクトマンションの特徴

コンパクトマンションの特徴として、以下の4点があります。

・専有面積は30~50㎡
・間取りは1LDKから2LDK
・利便性の高い立地
・収益物件として利用できる

コンパクトマンションの専有面積は30~50㎡が一般的です。

ファミリータイプのマンション(4人暮らし)は50~95㎡、ワンルームマンションの平均は20~25㎡であるので、中間的な広さといえます。

間取りは1LDKから2LDKが一般的です。

4人家族では狭いかもしれませんが、一人暮らしや、夫婦のみの家庭では手ごろな間取りといえるでしょう。

コンパクトマンションは、駅の近くに立地していることが多いので、利便性が高いといえます。

そのため、実際購入者が住むのではなく収益物件として、賃貸しているケースも多いです。

コンパクトマンションはどんな人におすすめなのか?

コンパクトマンションは以下のような人におすすめです。

  • 子どものいない共働き夫婦
  • 1人暮らしの人
  • シニア世代

子どものいない共働き夫婦

子どものいない共働き夫婦にとって、コンパクトマンションは手頃な広さといえます。

設備が充実しているため、快適な生活を送るのに適しています。

ファミリータイプのマンションは、2人暮らしの夫婦にとって広く感じるかもしれません。

コンパクトマンションは駅近くに立地している物件が多いため、通勤時間が短縮でき、自由な時間を確保しやすく、充実した余暇を過ごせるでしょう。

1人暮らしの人

1人〜2人暮らしの人を対象とした間取りであるので、1人暮らしでは余裕がある間取りといえます。

ゆとりある居住空間であるため、生活においてメリハリのある生活を過ごせるでしょう。

オートロック等、セキュリティ面でも安心できる設備となっているため、コンパクトマンションは1人暮らしの女性にも人気のあるマンションといえそうです。

シニア世代

シニア世代にもコンパクトマンションは重宝されます。

駅近くで利便性に富んでいるため、買い物やレジャーに出かける場合、移動が最小限で済むためです。

通院においても、利便性を考えると、体への負担も軽減できます。

ファミリータイプのマンションであれば、部屋数も多くなるため、掃除等の家事に負担がかかります。

部屋数の少ないコンパクトマンションであれば、家事負担が少なくて済みそうです。

コンパクトマンションのメリット

コンパクトマンションについてのメリットは以下の4点です。

  • 1人~2人世帯にちょうどいい広さ
  • ファミリータイプよりも安く予算内で購入可能
  • 設備が充実
  • 利便性に優れている

1人~2人世帯にちょうどいい広さ

コンパクトマンションの間取りは、1LDK~2LDKが中心であるため、4人家族では手狭に感じるかもしれません。

しかし1人〜2人世帯であれば、手ごろな大きさといるでしょう。

ファミリータイプのマンションであればそうじに手間がかかったり、光熱費が高くついたりする可能性があります。

無駄のない間取りであるため、コンパクトマンションはストレスなく住居スペースを活用できるでしょう。

ファミリータイプよりも安く予算内で購入可能

コンパクトマンションの専有面積は、ファミリータイプより狭い分、安く購入できる点もメリットとしてあります。

場合によっては、毎月の住宅ローンの返済額のほうが、賃貸マンションの賃料より安く抑えられるケースもあります。

設備や立地を考えると、コンパクトマンションは費用対効果に優れているともいえそうです。

設備が充実

設備が充実している点も、コンパクトマンションの、メリットであるといえるでしょう。

キッチンやバスルーム、トイレ等の水回りにおいての設備や、オートロックやインターホン等におけるセキュリティ面も、コンパクトマンションは充実しています。

そのため、お年寄りや一人暮らしの女性も安心して生活できる設計が施されています。

利便性に優れている

コンパクトマンションは、都市部の駅から近い場所に立地していることが多いので、利便性に優れていることがメリットとしてあります。

通勤やショッピング、病院に役所等にも便利なことが多いので、日常生活において不便さを感じることが少ないでしょう。

コンパクトマンションのデメリット

コンパクトマンションのデメリットとして次の4点があります。

  • 家族が増えて将来手狭になる可能性がある
  • 広さに対して割高
  • 管理に問題のあるケースがある
  • 住宅ローン減税の対象外物件もある

家族が増えて将来手狭になる可能性がある

家族が増えることで、将来手狭になる可能性があります。

具体例として、子どもができたり、親と同居することなったりした場合です。

コンパクトマンションは、そもそも1人~2人が住むことを前提とした間取りとなっています。

部屋数を増やそうとリノベーションを図っても、そもそも延べ床面積が小さいため無理があるかもしれません。

専有面積に対して割高

コンパクトマンションは、専有面積に対して割高な傾向である点もデメリットとして考えられるでしょう。

水回りに占める専有面積に対する割合が、ファミリータイプのマンションよりコンパクトマンションのほうが高いため、実際の居住面積は狭くなります。

結果として、㎡当たりが割高となってしまいがちです。

駅の近い場所の地価の高い土地に建築されているケースが多いため、コストを価格に転嫁されやすくなるのも割高となりやすい理由と考えられます。

管理が行き届かないケースがある

コンパクトマンションには、立地条件がよくても、管理が行き届いていない点がデメリットとして考えられます。

特に、収益目的でコンパクトマンションを購入している場合です。

購入者が居住していないため、管理に対する意識が乏しくなる傾向にあります。

小規模なコンパクトマンションの場合、修繕積立金が十分積みあがらなく、居住者の望んでいる修繕工事ができないことがあるので注意しましょう。

住宅ローン減税の対象外物件もある

コンパクトマンションには、住宅ローン減税の対象外物件も存在する点にも留意しましょう。

住宅ローン減税の対象のひとつとして、「床面積40㎡以上」が条件としてあります。

床面積が40㎡未満であれば、減税の対象から除外されます。

住宅ローンを組んで節税を検討している場合、購入物件に注意することが必要です。

コンパクトマンション購入時の3つのチェックポイント

コンパクトマンションを購入にあたって注意すべき点を次の3つにまとめましたので解説します。

  • 登記簿面積
  • 資産性
  • 管理体制

登記簿面積

コンパクトマンション購入に際して住宅ローンを利用する場合、条件次第で減税の恩恵を受けることが可能です。

条件の一つとして、「床面積40㎡以上」があります。

ここでいう「床面積」とは、登記簿謄本に記されている面積を指します。

住宅ローン減税を受けることを検討する場合、登記簿面積を確認するようにしましょう。

コンパクトマンションの面積を示すものとして、「専有面積」があります。

専有面積は「壁芯(へきしん)」をベースとして計測した面積を指し、床面積は専有面積より狭くなります。

専有面積が40㎡以上であるからといって、必ずしも床面積が40㎡以上であるとは限らないので注意しましょう。

(「壁芯(へきしん)」とは、壁の中心線により囲まれた面積です。

一方、登記簿謄本に記される床面積は、内壁に囲まれた面積で、「内法(うちのり)」といいます。

内法(うちのり)と壁芯(へきしん)

引用:イクラ不動産|壁芯と内法とはなにかわかりやすくまとめた(床面積の計算方法)

将来の資産性

コンパクトマンションは立地条件に優れた物件が多いため、ニーズが高く、資産価値が下がりにくい傾向にあります。

また、結婚や転勤、住み替え等により、コンパクトマンションの売却を考える場合においても高値での売買が見込まれます。

売買だけでなく、賃貸物件として運用することも可能なため、コンパクトマンション購入時には、資産性にも注目して検討しましょう。

管理体制や設備

コンパクトマンションは、駅近くの利便性の高いところに立地されています。

セキュリティ等管理体制がしっかりしている物件なら安心して購入可能です。

管理体制が不十分である物件なら購入を見送るのが賢明でしょう。

共用部の掃除が行き届いているか、築年数や耐震性、築年数にも注目して購入検討を推奨します。

オススメ記事

低層マンションのメリットや高層マンションとの比較を徹底解説

この記事では低層マンションのメリット、デメリットを高層マンションと比較しながら解説していきます。今後住み替えを検討している方、新しく購入を検討している方など、ぜひ参考にしてみてください。

記事を見る

まとめ

コンパクトマンションの間取りは1LDK~2LDKが中心で、専有面積が30~50㎡が一般的なマンションです。

都市部の駅近くに立地していることが多く、利便性に優れているのが特徴で、シングルやDINKS、シニア世代におすすめです。

メリットとして、無駄のない間取りで、ファミリータイプに比べリーズナブルな価格設定となっている点があります。

一方、将来手狭になる可能性や、物件によっては住宅ローン減税の対象外物件であるケースもあるので注意が必要です。

購入にあたっては、登記簿謄本の面積確認や売却後の資産性、セキュリティ体制や築年数、耐震性のチェックも忘れずに行いましょう。

この記事が、後悔しないコンパクトマンションの購入に役立てていただければ幸いです。

参考:国土交通省|住生活基本計画(全国計画)

参考:国土交通省|住宅ローン減税の制度内容が変更されます!

参考:株式会社不動産経済研究所|Press Release 首都圏・近畿圏コンパクトマンション(専有面積30㎡以上50㎡未満)供給動向

参考:イクラ不動産|壁芯と内法とはなにかわかりやすくまとめた(床面積の計算方法)

関連記事

注目ワード

Top