初めまして、私は元ディベロッパー兼、現役宅建士のリサンプル合同会社の代表・大竹と申します。
これまでの経歴として、(株)ジェイアール東日本都市開発にて賃貸住宅や分譲住宅の開発管理を行い、その後リノベる(株)にて法人向けのリノベーションによる不動産の利活用提案を行ってきました。
今回は、もともと分譲マンションを作っていた立場から、新築マンションを買う前に知っておきたい秘密について解説していきたいと思います。
最初に2つの事実をお伝えします。
- 「日本人は新築が大好きであること」
- 「デベロッパーの社員は新築のマンションを買わないこと」
1つ目について、古いものより新しいものが好きというという潜在的な感覚と税制優遇なども相まって、戸建て・マンションに限らず新築が選ばれる傾向にあります。
2つ目について、私は元ディベロッパーで業界関係者が多くいますが、ディベロッパー勤務で新築の分譲マンションを購入している人の割合は1〜2割程度です。
残りの人たちは、割合が多い順に中古マンション、新築戸建て、中古戸建て、賃貸というイメージです。
つまり、自分たちは新築マンションを開発するが自分たちは購入はしないというなんとも不可思議な構図になっているのです。
この記事では、分譲マンションの販売員が教えてくれない、新築マンションが抱える秘密や課題について徹底的に解説していきます。
ただし、私は新築マンションの全てを否定するわけではありません。
この記事が皆様の判断の大きな指標の一つとなり、皆様が納得した判断をしてもらうための記事であるということを申しあげておきます。
それでは、新築マンション購入の現実について解説していきます。
新築マンション購入のメリット
新築マンションの購入は大きなステータスであり、中古に比べて魅力的な物件であることは皆が認めるところだと思います。
ここではその中でも特に共通する新築マンションのメリットについて解説していきます。
新築マンションの魅力
新築マンション購入が多くの人々にとって魅力的に見える要素として、最新の設備とデザイン、税制優遇、そして安全規格の最新基準が挙げられます。
ここではこれらの要素について解説していきます。
最新の設備とデザイン
新築マンションの最大の魅力の一つは、最新の設備とモダンなデザインです。
エコフレンドリーな設備、最先端のセキュリティシステム、スマートホーム技術の導入など、新築マンションは現代のライフスタイルに最適化された快適な生活空間を提供します。
住宅ローン控除などの税制優遇
新築マンション購入者にとってのもう一つの大きな魅力は、住宅ローン控除やその他の税制上の優遇措置です。
これらの制度は、長期にわたる住宅ローンの負担を軽減し、より手頃な価格で理想の住まいを手に入れることを可能にします。
新築住宅購入の際の減税対象として以下のような項目があります。
- 住宅ローン減税
- 住宅取得等資金の贈与の非課税措置
- 固定資産税の軽減措置
- すまい給付金
- グリーン住宅ポイント制度
これらの減税対策も新築マンション購入者にとっては魅力的に見えるのではないでしょうか。
安全規格の最新基準
新築マンションが注目される理由の一つに、最新の安全規格への準拠があります。
耐震性、防火性など、厳しい基準をクリアした建物は、住む人々にとって安心で安全な生活空間を提供します。
特に1981年に建築基準法が改正され、耐震基準についての評価が1981年以前に比べて厳しくなりました。
一方で、最新の建築では時代に応じた新たな手法での耐震性能を備えています。
地震大国であり、首都直下型地震や南海トラフ巨大地震等の発生が高まる中で、最新の安全基準を求めて新築マンションを購入される方も多いのではないでしょうか。
新築マンション購入のデメリット
ここからは、新築マンション購入の際のデメリットについて解説していきます。
設備や機能に関しては特に議論の余地はないため、価格に関して重点的に解説していきます。
新築マンションの価格に隠されたコスト
新築マンションの輝かしい外観の背後には、多くの隠れたコストが存在します。
ここでは新築マンションの価格について以下のポイントで解説していきます。
- 新築マンション販売価格の高騰
- 新築プレミアム
- 販売手数料や広告費
それでは上記のポイントについて解説していきます。
販売価格の高騰
新築マンションの価格は、過去数十年で著しく高騰しています。
下の表は首都圏と近畿圏の新築マンション価格の推移となります。
参照:不動産経済研究所
これを見ると各月でばらけてはいるものの全体として上昇傾向にあり、特に2023年3月には三井不動産による累計販売戸数952戸の超大型高級分譲マンション:三田ガーデンヒルズの販売に伴い、史上初平均販売価格が1億円を超えるという自体となりました。
物価高に加えて、限られた土地の中で新たに開発を進めるために、土地取得にも費用が掛かることから、新築のマンションは高騰している傾向にあるといえるでしょう。
新築プレミアムについて
新築マンションには「新築プレミアム」という価格が上乗せされていることをご存じでしょうか。
具体的には以下のような概念として考えられています。
新築プレミアム=新築の価格-新築直後の中古物件の価格
一般的に新築プレミアムは10〜20%と言われており、特に戸建ての注文住宅の場合には20〜40%と言われております。
この新築プレミアムという概念も価格を押し上げている一つの理由といえるでしょう。
販売手数料や広告費
新築マンションの価格には、多額の販売手数料や広告費が含まれていることがよくあります。
これらは直接的な建設コストではないものの、最終的な販売価格を押し上げる要因となります。
中古マンション購入のメリットについて
中古マンション購入には、新築にはない多くの経済的および独自の魅力があります。
価格の手頃さからリノベーションの自由度、そして成熟した立地と確立されたコミュニティまで、中古マンションが提供する価値は多岐にわたります。
これらの魅力を理解することで、購入者は自分のニーズに最も合った住宅選択をすることができます。
中古マンションの経済的魅力
中古マンションの最大の魅力は、その経済的優位性にあります。
新築に比べて価格の手頃さとリノベーションの可能性は、購入者にとって大きなメリットをもたらします。
最近ではリノベーションも一般的なワードとなってきており、ライフスタイルの変化に合わせたオリジナルの家を作ることも珍しくは無くなってきました。
ここでは価格とリノベーションを中心にメリットについて解説していきます。
価格の手頃さ
中古マンションは新築に比べて価格が手頃であることが多く、初めての住宅購入者や予算に限りがある人々にとって理想的な選択肢となります。
手頃な価格で購入できることは、将来の金融計画にも余裕をもたらします。
リノベーションの可能性
中古マンションは、リノベーションによって自分好みの空間にカスタマイズすることが可能です。
この柔軟性は、購入者が自身のアイデアを実現できる大きな魅力となっています。
立地と環境の成熟度
中古マンションはしばしば、交通の便が良く、生活に必要な施設が整った成熟したエリアに位置しています。
このような立地は、快適な日常生活を送る上で大きな利点となります。
コミュニティの確立
長年にわたって形成されたコミュニティは、中古マンションが提供するもう一つの大きな魅力です。
すでに確立された近隣関係は、新しい住民がすぐに地域社会に溶け込むのを助けます。
中古マンション購入のデメリットについて
中古マンション購入には魅力的な側面が多い一方で、維持管理の問題や購入時のリスクも伴います。
これらの課題を理解し、適切に対処することが重要です。
中古マンションの維持と管理
中古マンションの維持と管理は、新築マンションと比較してより多くの注意が必要です。
修繕の必要性と老朽化による問題点は、購入前に検討すべき重要な要素です。
修繕の必要性とコスト
中古マンションでは、時間の経過と共に修繕が必要になる場合があります。
これらの修繕には追加のコストがかかり、購入者はこれを予算計画に含める必要があります。
老朽化による問題点
建物の老朽化は、安全性や快適性に影響を及ぼす可能性があります。
購入前に建物の状態を詳細に検査することが、不測の問題を避ける鍵となります。
過去の履歴と隠れた問題
中古マンションの過去の履歴や隠れた問題を事前に把握することは、後悔のない購入をするために不可欠です。
事前の調査と検査が重要となります。
資産価値の見極め
中古マンションの購入は、その資産価値を正確に見極めることが重要です。
市場分析や将来の開発計画を考慮することで、賢い投資判断をすることが可能になります。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
冒頭でも申した通り、新築マンション購入が決して悪いとは言いません。
だれも住んでいないピカピカのマンションを購入することは素晴らしい事ですし、誰もが出来る事ではありません。
一方で、本当に必要な機能や支出なのかどうかを今回の記事で立ち止まって考えてみる時間があっても良いかと思います。
人生で最大の買い物をする上で、今回の記事が皆さんの参考になれば幸いです。