「不動産営業の断り方」が検索キーワードに上がるほど、不動産営業はしつこいことが知られています。
不動産投資に関する勧誘だけでなく、普通に不動産を売買したり賃貸しようとする場合でも、しつこい不動産営業に悩まされて、その断り方に苦慮することもあるようです。
中には、悪質な不動産営業担当者もいるので、注意が必要です。
この記事では、不動産営業がしつこい理由と、対処するための宅地建物取引業法の知識、不動産営業の断り方について解説します。
不動産営業の典型的な罠
不動産営業担当者は、接点を持った人に対しては至れり尽くせりの対応をするものです。
そうすることにより、不動産営業を断りにくくし、契約に結びつけようとするわけです。
ここでは、不動産営業の典型的な罠を2つ紹介しましょう。
営業車で現地に案内し、自宅への送迎までしてくれる
不動産営業担当者が営業車を運転して、現地まで連れて行ってくれる上に、自宅への送迎までしてくれる。
となると、「何と親切な不動産営業担当者なんだろう」と思ってしまうかもしれません。
しかし、これは、不動産営業の典型的な罠です。
- 不動産営業を断りにくくなる
- 車だと周辺の環境が分かりにくい
- 契約するまで自宅に帰してもらえない
不動産営業を断りにくくなる
不動産営業担当者が車で現地まで連れて行ってあげたんだから、「当然、契約してよね」という圧力がかかるわけですね。
その時点では契約しなくても、自宅を知られてしまったわけですから、後から自宅にしつこく営業して来るようになり、断りにくくなってしまいます。
車だと周辺の環境が分かりにくい
不動産営業担当者が車で現地まで行く場合、ルートも演出されています。
お客様が気に入るように広い道路や坂道の少ないルートを選んで、雰囲気の悪いルートはあえて外すことが多いものです。
雰囲気の悪い場所を通ると契約する前にマイナスの印象を持ってしまいますからそれを避ける意味があります。
しかし、不動産は物件そのものも大切ですが周辺の環境も重要です。
これは、車で通り過ぎるだけでなく実際に歩いてみないと感じ取りにくいものです。
契約するまで自宅に帰してもらえない
知らない土地で置き去りにされたら、大変なことになります。
悪質な不動産営業担当者だと、車であちこちの物件に連れまわされて、契約するまで帰してもらえないかもしれません。
プレゼントで集客している不動産会社
来店してくれた方や内覧会に参加してくれた方にプレゼントを配るという方法で集客する不動産会社もあります。
プレゼントを用意するにはそれなりに費用が掛かるわけで、配るだけで終わりではありません。
当然、プレゼントをもらった人に対しては、不動産営業担当者がしつこく食いつくわけです。
- 不動産営業を断りにくくなる
- しつこく営業してくるようになる
不動産営業を断りにくくなる
プレゼントをもらってしまうと、不動産営業担当者の話を断りにくくなってしまいます。
返報性の原理というよく知られたマーケティング手法です。
その場で契約せずとも、不動産営業担当者に連絡先や自宅の住所、電話番号くらいは知らせてしまうでしょう。
しつこく営業してくるようになる
連絡先や自宅の住所、電話番号を知らせてしまうと、昼夜問わず、不動産営業担当者から営業の電話が入るようになり、そのしつこさに根負けして、契約してしまう方もいるでしょう。
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不動産営業は、なぜ、しつこいのか?
不動産営業担当者は、接点を持った人の連絡先や自宅を知った場合は、昼夜問わず、しつこく連絡を入れたり、自宅を訪問することがあります。
不動産営業担当者がそこまでして、しつこい営業をする理由は何でしょうか。
不動産営業がしつこい理由
不動産営業がしつこい理由は次の2つが挙げられます。
- 成功報酬型の仕事だから
- 不動産営業担当者の基本給が安い
成功報酬型の仕事だから
多くの不動産会社は、自分が所有する物件を売っているわけではありません。
売主と買主を仲介して、売買契約を成立させた時に初めて、仲介手数料(媒介報酬)が入る仕組みになっています。
物件を紹介しただけでは、1円ももらえないわけですから、不動産営業担当者は、とにかく、契約してもらうまで粘ることになるわけです。
不動産営業担当者の基本給が安い
成功報酬型の仕事であるために、不動産営業担当者も基本給が極端に少なく、歩合給の割合が多い傾向があります。
契約を取らなければ自分の給料も激減するわけですから、必死になるわけです。また、ノルマが厳しいことも多いようです。
しつこい不動産営業の例
このような背景から、不動産営業はしつこくなりがちで、人の迷惑を顧みないような営業をすることもあります。
特に多いのが、次の2点です。
- しつこく連絡を入れてくる
- 自宅を訪問してくる
しつこく連絡を入れてくる
電話やメールなどで昼夜問わず、連絡を入れてきます。
メールは無視できますが、電話になると話をしなければならず、断り方が分からない方もいるでしょう。
自宅を訪問してくる
昼夜問わず、自宅を訪問するというのもしつこい不動産営業の特徴です。中には、契約するまで帰らずに粘られてしまうこともあります。どのようにして帰ってもらえばいいのか。断り方が分からないこともあるでしょう。
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悪質な不動産営業に対しては宅建業法(宅地建物取引業法)の知識で対処しよう
不動産営業担当者が、しつこいだけでなく、時間に関係なく自宅に押し掛けたり、契約するまで粘られたり、引き止められたりと言った形になると、悪質性を帯びることになります。
こうした悪質な不動産営業は、宅建業法により禁止されています。
宅建業法(宅地建物取引業法)で禁止されている不動産営業方法
不動産営業がしつこくなりがちなことは、不動産会社(宅地建物取引業者)の根拠法である宅建業法(宅地建物取引業法)でも想定されています。
具体的には、不動産会社及び不動産営業担当者は、勧誘に際して次のような行為をしてはならないと定められています。
- 将来利益について断定的判断を提供する行為
- 威迫する行為
- 将来の環境、交通やその他の利便について誤解させるべき断定的判断を提供する行為<
- 契約するかどうか考えるのに必要な時間を与えないこと
- 契約に際して、会社名と名前、勧誘目的であることを告げないこと
- 契約を締結しない旨の意思をはっきり示したのに勧誘を継続すること
- 非常識な電話勧誘や自宅訪問
将来利益について断定的判断を提供する行為
例えば、不動産投資などの場面で、将来は確実に物件価格が上昇すると言った将来の不確実なことを断定的に告げて営業する行為です。
威迫する行為
脅迫などは刑法上の犯罪ですが、それほどではなくても、取引相手に不安を抱かせるような行為により契約を迫る場合などです。
将来の環境、交通やその他の利便について誤解させるべき断定的判断を提供する行為
例えば、南側に大きな空き地がある場合にその空き地に将来大きな建物が経つ予定は、「全然ない」という言い方で営業する行為です。
契約するかどうか考えるのに必要な時間を与えないこと
例えば、「今すぐに契約しなければ、他の人に買われてしまう」と言った形で、直ちに契約するよう迫る行為などです。
契約に際して、会社名と名前、勧誘目的であることを告げないこと
例えば、不動産営業担当者が電話や自宅訪問の際、冒頭で、この3点をはっきり告げていない場合は、宅建業法違反になります。
契約を締結しない旨の意思をはっきり示したのに勧誘を継続すること
一旦、断ったのに不動産営業担当者が粘り続けるのは、宅建業法違反になります。
非常識な電話勧誘や自宅訪問
例えば、
・迷惑を覚えさせるような時間に電話し、又は訪問すること。
・深夜又は長時間の勧誘その他の私生活又は業務の平穏を害するような方法によりその者を困惑させること。
これらの行為は、宅建業法違反になります。
不動産営業担当者が宅建業法に違反する勧誘行為を行っている場合は?
不動産営業担当者が上記のような行為を行っている場合は、不動産会社が国土交通大臣又は都道府県知事から営業停止処分などを受けることがあります。
特にひどい場合は、宅建業免許の取消し処分を受けることもあり、不動産営業ができなくなることもあります。
そのため、迷惑な営業を受けている場合は、国土交通省や都道府県の担当窓口に通報すると伝えることが最も有効な対処方法になります。
宅建業法違反の通報先は?
不動産会社の免許が都道府県免許であれば、各都道府県のホームページなどで確認しましょう。
例えば、東京都の場合は、東京都住宅政策本部民間住宅部不動産業課が窓口です。
国土交通大臣免許の場合は、国土交通省の各地方整備局が担当窓口です。国土交通省のサイトに一覧があるので参考にしてください。
自宅に居座る不動産営業担当者をすぐに追い出したい
不動産営業担当者の勧誘行為が違反でも、証拠がなければ、通報したところであまり意味はありません。
その点は、不動産営業担当者も心得ていて、宅建業法違反だと言っても、微動だにしないこともあります。
このような人を自宅から追い出すためには、警察の力を借りるしかありません。
刑法130条には、不退去罪という犯罪が規定されています。
刑法(住居侵入等)
第百三十条 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにも関わらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
不動産営業担当者に「出て行ってください」とはっきり言ったにも関わらず、出て行かない場合は、その場で警察に通報することができます。
警察官が到着しても出て行かない場合は、不退去罪の現行犯として逮捕することができることになります。
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不動産営業の断り方
各都道府県の窓口や警察に通報するのは、よほど悪質な不動産営業に遭遇した場合の対処法です。
悪質な不動産営業担当者でない限り、次の点に留意して断れば、しつこい営業は止むものです
断る時ははっきりと断る
しつこい不動産営業担当者でも、契約の見込みのないお客様を相手に粘ることはありません。
見込みがないと感じたら、さっさと切り上げて、他の見込みがあるお客様のところに行くものです
曖昧な断り方だと、「もしかしたら見込みがあるかな」という印象を与えてしまい、粘られてしまうわけです。
そこで大切なのが、「断る時ははっきりと断る」ことです。
はっきりと断れば、不動産営業担当者もすっきりとあきらめてくれますし、お互いに時間の無駄にならないわけです。
感謝の意を伝える
しつこい不動産営業だったにしても、お客様のためにという思いで仕事をしているのが普通です。
これまでにしてもらったことに対して感謝の意を伝えましょう。
断った不動産会社や不動産営業担当者とは、それっきり縁が切れるとは限りません。
その後に取引関係ができる可能性もあるので、悪口などは控えるべきでしょう。
断る理由を伝えるかどうかは臨機応変に
不動産営業の断り方として、「断る理由を伝えましょう」と紹介していることもありますが、その点は臨機応変に対応した方がよいでしょう。
理由によっては、逆に粘られてしまうこともありますから、はっきり断りたいならば、理由は言わずに、断ってしまった方がよいこともあります。
断る時はメールでもOK
断るなら不動産会社に直接出向かなければならないなどと考える必要はありません。
電話一本でもいいですし、直接話すのが苦手なら、メールで断りを入れてもよいでしょう。
むしろ、メールで送った方が、文章の形で断ったことがはっきりと証拠に残るため、直接話すよりもよいでしょう。
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まとめ
不動産営業がしつこい理由と、悪質な不動産営業に対処するための宅地建物取引業法の知識、不動産営業の断り方を紹介しました。
悪質な不動産営業に困っている場合は、各都道府県のホームページなどで担当窓口を確認して相談してみましょう。
不動産営業を断る時は、「はっきりと断る」ことが大切です。直接、言えない場合はメールで断っても大丈夫です。
しつこい不動産営業に悩んでいる方は参考にしてください。