フラット35は、長期固定金利の住宅ローンとして人気があります。
しかしフラット35の金利は、物件の状態や借主が子育て世代かどうかなどの条件によって異なります。
金利の仕組みを理解し、上手に活用することが重要です。
この記事ではフラット35の金利がどのように決まるのか、金利引下げの条件、シミュレーションの活用方法など、金利を低く抑えるための具体的な方法を解説します。
この記事を参考にすれば、フラット35の金利について理解を深め、無理のない住宅購入を実現するためのヒントが得られます。
フラット35の金利の仕組み
フラット35は住宅支援機構と全国の約320ある金融機関が提携して提供する住宅ローンです。
フラット35には買取型と保証型があります。
違いは第1抵当権者が住宅支援機構になるか金融機関になるかという点です。
フラット35の金利について押さえるべきポイントは以下の3つです。
- 金利の決定方法
- 金利の決定時期
- 金利の種類
それぞれ解説します。
金利の決定方法
フラット35の金利は住宅金融支援機構が定める基準金利をベースに、各金融機関が最終的な金利を設定します。
基準金利は原則として毎月見直しが行われますが、その具体的な設定方法については公開されていません。
各金融機関はこの基準金利を参考に、独自の判断で金利を決定するため、金融機関ごとに金利が異なります。
住宅金融支援機構の公式サイトには、以下の通り各金融機関の金利の範囲と最も多い金利しか掲載されていません。
参照元:フラット35|金利情報
フラット35の具体的な金利は、各金融機関によって借り入れ期間や借り入れ割合によって金利が違ったりさまざまです。
またフラット35には買取型と保証型とがあり、買い取り方が一般的です。
フラット35保証型を提供している金融機関は以下の8社のみです。
- 日本住宅ローン
- SBIアルヒ
- 財形住宅金融
- クレディセゾン
- 住信SBIネット銀行
- 日本モーゲージサービス
- ファミリーライフサービス
- オリックス・クレジット
借入れを申し込みたい金融機関が決まったら直接問い合わせることをおすすめします。
おもな金融機関における2024年5月時点の金利は以下の通りです。
【機構団信加入時の年利】
金融機関名 | 借り入れ期間が15~20年 | 借り入れ期間が21~35年 |
---|---|---|
ARUHI住宅ローン | 1.44% | 1.83% |
三井住友銀行 | 2.97% | 3.36% |
楽天銀行 | 1.83% | 1.83% |
住信SBIネット銀行 保証型 |
1.76% | 1.82% |
住信SBIネット銀行 買取型 |
1.44% | 1.83% |
クレディセゾン | – | 1.47% |
※機構団信未加入の場合は、直接金融機関にお問合せください。
金利の決定時期
フラット35の金利は金融情勢に応じて変動するため、借入れ時の金利は申込み時点の金利と異なる場合があります。
金利の種類
フラット35には、通常の金利プランの他に、以下のようなさまざま金利優遇プランが用意されています。
金利優遇プラン名 | 概要 |
---|---|
フラット35S | 省エネルギー性や耐震性などの基準を満たした 住宅の購入を支援するプラン |
フラット35S(ZEH) | ZEHハウス(年間の消費エネルギーと創出エネルギーが プラスマイナス0の住宅)購入を支援するプラン |
フラット35リノベ | 中古住宅購入と一定要件を満たすリフォームの実施を 支援するプラン |
フラット35子育てプラス | 子育て世帯を支援するプラン |
フラット35維持保全型 | 維持保全・維持管理に配慮した住宅を支援するプラン |
フラット35地域連携型 | 子育て世帯や地方移住者などの支援を地方自治体と 住宅支援機構が連携して支援するプラン |
参照元:フラット35|商品ラインナップ
フラット35の金利推移と民間ローンとの比較
フラット35の金利は2019年9月以降上がっています。
新機構団体信用生命保険に加入した場合のある金融機関(ARUHI住宅ローン)のフラット35のグラフは以下の通りです。
以下の表は、2024年5月現在のフラット35と、民間ローン(三菱UFJ銀行)の金利を比較したものです。
ローンの種類 | 金利 |
---|---|
フラット35(全期間固定金利) | 1.44% |
民間変動金利 | 0.38% |
民間固定金利(10年) | 0.55% |
民間固定金利(全期間固定) | 0.84% |
参照元:フラット35
三菱UFJ銀行|住宅ローンって変動金利がいいの?メリット・デメリットを知ろう!
フラット35の金利引き下げの条件
フラット35の金利を引き下げる条件は各優遇プランについて異なります。
金利引き下げ幅や引下げ期間も以下のように異なります。
プラン名 | 金利 引下げ 期間 |
金利 引き下げ幅 |
条件 |
---|---|---|---|
フラット35S (金利Bプラン) |
当初 5年間 |
年▲0.25% | 耐久性などに配慮した住宅 省エネルギー性に優れた住宅 |
フラット35S (金利Aプラン) |
当初 5年間 |
年▲0.5% | 耐久性・可変性に 優れた住宅 省エネルギー性にさらに 優れた住宅 |
フラット35S (ZEH) |
当初 5年間 |
年▲0.75% | 年間消費エネルギーの 収支0を目指した住宅 |
フラット35S 子育てプラス |
当初 5年間 |
年▲0.25% | 若年夫婦世帯または こども1人の場合 |
当初 5年間 |
年▲0.5% | こども2人の場合 | |
当初 5年間 |
年▲0.75% | こども3人の場合 |
このほかのプランについては【フラット35】のサイトで確認可能です。
参照元:フラット35|【フラット35】S
フラット35|【フラット35】子育てプラスS
フラット35の金利を低く抑えるコツ
フラット35の金利を低く抑えるには、以下の3つのコツが有効です。
- 金利優遇プランの活用
- 適切な借入期間の選択
- ボーナス返済の利用
それぞれ解説します。
金利優遇プランの活用
「フラット35金利の仕組み」で紹介したような金利優遇プランを活用することで、フラット35の金利を低く抑えることが可能です。
例えば「フラット35S」(ZEH)では当初5年間に限り最大で0.75%の金利引き下げが受けられます。
これらのプランは環境に配慮した住宅や子育て世帯など、一定の条件を満たすことで適用されるため、事前に確認しましょう。
適切な借入期間の選択
フラット35は借入期間を15年以上35年以内で選択できます。
一般的に借入期間が長いほど月々の返済額は少なくなりますが、支払う利子が増えるため総返済額は増加します。
自分の収入や生活スタイルに合わせて、無理のない借入期間を選ぶことが重要です。
ボーナス返済の利用
ボーナス返済とは、ボーナス時に追加で返済する方法です。
ボーナス返済を利用することで元金を早期に減らせて金利の支払いを抑えられます。
ただしボーナスでの返済割合は融資額の40%以内(1万円単位)でなければなりません。
フラット35の金利シミュレーション
フラット35の金利シミュレーションは、住宅金融支援機構のWebサイトで提供されています。
フラット35のクイック・シミュレーションでは、以下の3種類からの算出も可能です。
【シミュレーション】
以下の条件を前提として借入可能な金額を計算してみましょう。
年収 | 650万円 |
融資金利 | 一番多い1.830% |
返済期間 | 35年 |
返済方法 | 元利均等 |
他の借入金 | 無し |
- 年収から借入可能額を計算するサイトで、年収の欄に「650」と入力
- 融資金利の欄に2024年5月現在最も多い金利である「1.830」を入力
- 返済期間は「35」のまま
- 返済方法は元利均等のまま
- 自動車ローンなど他に借り入れがなかったとして他の借入金は空欄
- 「計算する」をクリック
- 借入可能額(概算)は7,712万円と表示される
シミュレーションする際は、正確な情報を入力することが大切です。
特にボーナス返済の有無や、金利優遇プランの適用可否は、返済額に大きく影響します。
さまざまなパターンでシミュレーションして、最適な返済プランを探りましょう。
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「フラット35はやめた方がいい」と言われているのはなぜ?実例をもとにその要因を徹底解剖!
本記事ではフラット35を使用した失敗談を取り上げて行きます。そこから学べる教訓をもとにご自身の選択に役立てていただければ幸いです。
まとめ
フラット35は長期固定金利の住宅ローンとして、安定した返済計画を立てやすいという特徴があります。
返済条件をクリアすれば、金利優遇プランを活用して金利の引き下げが可能です。
フラット35の金利シミュレーションを活用すれば、自分に合った返済プランが分かります。
この記事を参考にして金利の仕組みをよく理解し上手に活用することで、より快適な住宅ローンライフを送るきっかけにしていただければ幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。