不動産査定額をザックリ簡単に計算する方法を銀行員が解説

  不動産査定額をザックリ簡単に計算する方法を銀行員が解説

この記事では不動産取引の際の、不動産査定額をざっくり把握するための計算方法を解説していきます。仕組みを理解することで、不動産購入や売却だけでなく、投資などにも役立てることができますのでぜひ参考にしてみてください。

加藤 隆二
【執筆・監修】加藤 隆二

渉外融資担当経験を勤続30年以上。 業績良好な事業性・個人ローン貸出取り扱いから業績不振・リストラ等での法人・個人リスケまで、融資関連の入り口から出口まで経験あり。

【保有資格】ファイナンシャルプランナー

目次

最近では株式投資やFXといった投資運用と同じ投資として、不動産投資も社会に浸透しつつあります。

また人それぞれ理由があって不動産を手放すこともあるでしょう。

そうしたタイミングでまず頭に浮かぶのが、「この土地は、この家の値段ははいったいいくら何だろう?」という疑問です。

そこで今回は不動産を取引しようと考えたとき、
いったいいくらで買えるのか?売れるのか?という金額の目安とするための、不動産査定額をザックリ簡単に計算する方法を解説します。

私は勤続30年の銀行員ですが、融資担当者としての長い経験のなかで、数えきれないほど多くの不動産に触れてきました。

そうした銀行員の視点で解説しますので、ぜひ参考にしてください。

不動産査定の意味から不動産の価格まで基礎から説明

まず不動産査定とは何か?といった素朴な疑問など、おさらい的な説明から始めましょう。

不動産査定を知る~不動産査定とは?

「査定」とは

これが不動産査定になると「物件が売れそうな値段を決めること」と言えます。

不動産の取引では、当然ですが売れなければ取引は成立しません。

土地の値段が1坪30万円くらいする場所で、1坪100万円で売りに出してもそう簡単には売れないからです。

しかしながら、その土地は眺めが良く風情豊かな庭もついているといった「付加価値」があると、1坪100万円でも買手が見つかる可能性はあるのです。

ここが不動産取引の難しいところでもあり、逆に魅力でもあるのです。

では、不動産の価格はどのように査定されるのでしょうか?

これは「〇〇鑑定」「▲▲格付けランキング」といったテレビ番組をイメージするとわかりやすいです。

専門家が経験や知識、対象物に対する価格決定要素などを考慮して値段を決めるのが基本で、そうした専門家は良く「これが本物なら1億円以上でも買手が殺到するでしょう」などとコメントしていることからも「査定とは売れそうな値段を決める」ことがわかります。

不動産査定を知る~不動産査定はいつ使われる?

不動産査定はいつ、どのような目的で行われるのでしょうか?

まず一般に、不動案査定という言葉は、自宅や事務所などを売りたい人が、不動産業者などに依頼して、物件の価格を算定してもらうことを指します。

それ以外にも、不動産査定はさまざまなタイミング、目的で使われます。

不動産査定はいつ使われる?

  • 業者がとりあえず売れそうな価格を掴むとき
  • 銀行が住宅ローンや不動産投資ローンの審査をするとき
  • 融資が返済できずに担保の不動産が競売(ケイバイ)されるとき
  • 税理士などの専門家が大地主で資産家といった人の相続税を計算するとき
  • 離婚調停や裁判で、財産分与として家の価値を計算するとき

他にも不動産査定を使うタイミングはいくつもありますが、すべて「不動産が売買で動くとき」という点が共通しています。

不動産査定を知る~不動産査定額はどうやって計算するのか?

モノの値段は需要と供給のバランスで決定します。

定価100円の商品でも、みんなが欲しがれば500円に、1,000円に、ひょっとすると数百万円にまで跳ね上がることさえあります。

こちらは、たとえばトレーディングカードなどがイメージしやすい例です。

不動産査定額もこの「需給バランス」を基本にしています。

たとえば田舎より都会のほうが地価は高いですし、駅近なほど値段が高くなるのは誰でも理解できます。

しかし、これも生活の利便や勤務先に近いなどの理由で「ただ都会だから地価が高いのではなく、田舎より都会のほうが、その土地を欲しがる人がいるから地価が高い」のです。

不動産査定では、上記した「都会だから」「駅近だから」といったようなポイントを価格決定要素としてプラスマイナスすることで、物件の値段を決めていきます。

このような不動産の価格を決定する要素は他にもあるので、いくつかあげてみます。

不動産の価格決定要素

  • 交通の便~駅から徒歩?バス?自動車?何分かかる?
  • 生活の利便性~商店街や役所など地域の中心に近い?学校や病院は周りにある?
  • 人気の場所か?~人口が増えている?減っている?テレビなどで取り上げらる?

それ以外に以下のような将来の予想でも価格が上昇することがあります。

  • 「数年以内に大型ショッピングセンターが進出することが決まっている」
  • 「工事中の鉄道が完成すると駅ができて、街が発展することは間違いない」

といった将来の予想でも価格が上昇することがあります。

こうした価格決定要素と「不動産の基準となる価格」を盛り込んで不動産査定額が決まるのです。

では次に、この「不動産の基準となる価格」を詳しく説明します。

4種類ある不動産の価格

不動産の基準となる価格には4つの種類があります。

それぞれに使用される目的やタイミングがあり、また管轄する官庁も異なります。

4種類ある不動産の価格

  • 公示価格:不動産取引の目安になる価格(国土交通省が発表)
  • 相続税路線価:相続税や贈与税を計算する基準になる価格(国税庁が発表)
  • 固定資産税路線価:固定資産税を計算する基準になる価格(地方公共団体が発表)
  • 実勢価格:現実に不動産が取引された価格、いわゆる「相場」

不動産の価格1.公示価格

公示価格

法律(地価公示法)に基づき国土交通省が公的に発表(公示)する不動産の指標のこと

公示価格を発表するときは、基準とする標準的な土地(標準地)を選び、その土地における1月1日時点の評価額を算定し、3月に公示する仕組みです。

標準地は日本全国、いろいろな場所(住宅地や商業地、工業地帯など)ごとに選定されており、毎年公示価格が発表されると

  • 「地価(公示価格のこと)が日本一になったのは3年連続〇〇駅前の▲▲デパート前」
  • 「住宅地の公示価格は下げ止まりません」

などといったニュースが流れます。

公示価格は、土地の適正な価格形成に寄与することを目標とし、一般的な土地取引の指標や公共事業地の取得価格算定の基準とされるほか、固定資産税評価や相続税評価の基準にも なっている。

地価公示法に基づいて、国土交通省土地鑑定委員会が、適正な地価の形成に寄与するために、毎年1月1日時点における標準地の正常な価格を3月に公示(令和2年地価公示では、26,000地点で実施)するもので、社会・経済活動についての制度インフラとなっています。

主な役割
  • 一般の土地の取引に対して指標を与えること
  • 不動産鑑定の規準となること
  • 公共事業用地の取得価格算定の規準となること
  • 土地の相続評価および固定資産税評価についての基準となること
  • 国土利用計画法による土地の価格審査の規準となること等

参照:国土交通省/地価・不動産鑑定/地価公示

【参考】基準地価

公示価格に類似した不動産の価格に「基準地価」があります。

基準地価は都道府県が毎年発表する価格で、公示価格と性格は同じです。

不動産査定では、対象とする土地の近くに公示価格が見つからない場合に、この基準地価が利用されることがあります。

不動産の価格2.相続税路線価

路線価

その道路(路線)沿いの土地が1㎡あたりいくらか?」という表現で土地の価値を表す指標で、相続税路線価とは、相続税や贈与税などの税額を算定するときに基準とする路線価のこと

毎年7月に国税庁が公表します。

相続税や贈与税において土地等の価額は、時価により評価することとされています。

しかし、納税者の皆様が相続税等の申告に当たり、土地等についてご自分で時価を把握することは必ずしも容易ではありません。

そこで、相続税等の申告の便宜及び課税の公平を図る観点から、国税局(所)では 毎年、全国の民有地について、土地等の評価額の基準となる路線価及び評価倍率を定めて公開しています。

参照:国税庁/報道発表資料/令和3年分の路線価等について

不動産の価格3.固定資産税路線価

固定資産税路線価とは、土地の固定資産税を決めるため、土地の評価額を決めるための根拠となる基準値のことです。

都道府県が決めて発表します。

ちなみに相続税路線価、固定資産税路線価と2種類の路線価がありますが、不動産業界や銀行では路線価と言えば相続税路線価のことで、固定資産税路線価はその補完的なものです。

どちらが格上といった区別はありませんが、不動産の査定では相続税路線価を基準に計算し、相続税路線価がない土地では固定資産税路線価を基準にして査定します。

固定資産税の路線価とは

固定資産税の路線価とは、街路に沿接する標準的な土地の単位地積(1㎡)当たりの価格を表示したものです。

令和3基準年度においては、価格調査基準日である令和2年1月1日時点の適正な時価を評定して付設した路線価を記載しています。

路線価に各土地の形状等に応じた補正率(画地補正率)を乗じて単位地積当たり価額を求め、これに地積を乗じることで、評価額を算出します。

参照:東京都主税局/路線価公開

不動産の価格4.実勢価格

実勢価格とは、つまりいわゆる「相場」のことです。

店先にある商品をイメージすれば、実勢価格が店頭販売価格(小売値)に該当します。

商品には仕入れ値があり、仕入れ値より高く販売することで儲けが生まれるわけですが、不動産の場合は「査定額が仕入れ値で、実勢価格が店頭販売価格」といった関係になります。

これはなぜかというと、不動産業者にとって不動産も商品であり、安く仕入れて高く売らなくては儲けが出ないからです。

個人と個人で売買契約が成立するようなケースでは、売値は相場(実勢価格)を参考に双方が納得して取引となります。

いっぽう不動産業者に買い取ってもらう場合は、当然というか実勢価格より低い(安い)値段になりますが、これは不動産業者にとって土地は仕入れる商品だからです。

不動産業者がいったん買い取ってすぐ転売する不動産を「商品不動産、商品土地」などと呼ぶのはこういった背景があるからです。

なお、銀行で商品不動産の購入資金を不動産業者に融資することが良くありますが、商品不動産の購入は、小売業でいえば商品に当たる土地の仕入れ資金として運転資金と解釈されています。

また商品不動産融資は、他の一般的な運転資金と同様に数か月から1年程度の短期融資で手形貸付にするケースが多く、期限までに販売することで一括返済する仕組みです。

そして、この商品不動産融資では仕入れる(転売するために購入する)不動産の購入価格が妥当か?を検討するために、銀行でも該当する不動産を査定します。

ちなみに実勢価格は国土交通省のWEBサイト「土地総合情報システム」で、皆さんのように一般の人でも調べることができます。

「不動産の取引価格情報提供制度」とは何ですか?

誰でも安心して不動産の取引を行えるように、 数多くの取引価格情報を蓄積し、国民の皆さまへ提供していく、国の制度です。

参照:国土交通省/土地総合情報システム

4つある不動産価格の関係性

不動産を売買するとき、ザックリと査定額を掴むために、公示価格、相続税路線価、固定資産税路線価から実勢価格を推定計算することがあり、以下のような計算式があります。

土地の実勢価格(*)目安の計算式
(*建物は別の計算をしますので、こちらは後半で説明します)

  • 式1【実勢価格(円/㎡)】=【公示価格(円/㎡)】 ×【 1.1(*または1.2)】 例)公示価格10万円の土地の実勢価格は11万円(12万円)→10万円×1.1(1.2)
  • 式2【実勢価格(円/㎡)】=【 相続税路線価 (円/㎡)】÷ 0.8 × 1.1 例)相続税路線価10万円の土地の実勢価格は15万円→10万円÷0.8×1.1

これらは不動産業界、銀行によりそれぞれ独自の計算方法があり、必ずしも一律ではありません。

たとえば式1でも最後の×1.1か1.2と2種類あり、相続税路線価も同様ですし、相続税路線価がないときは固定資産税路線価で式2を計算する場などまちまちです。

(ちなみに私の銀行でも統一基準はなく、私個人では例にした式2を使っています)

しかしながら、これらは実勢価格を想定するあくまでも目安を計算するだけで査定ではありません。

そこで、次項からは査定の内容に触れていきます。

2種類の不動産査定と、査定額を計算するプロセスまで

ここまで「不動産を売買するときに、売れそうな価格を値踏みするのが査定」と説明してきました。

しっかりとした不動産査定額を出すには、一般的に土地家屋調査士、不動産鑑定士といった専門家に依頼をします。

専門家による精緻かつ信憑性も高い査定額で、売買交渉に安心して利用できます。

しかしその反面、依頼には費用がかかりますし、ある程度時間も必要になってしまいます。

そこで、まずは不動産査定額をザックリ簡単に計算する方法があります。

こちらの査定は2種類あり、違いはひとことで「現地に行くか?いかないか?」です。

 不動産査定額をザックリ簡単に計算する2種類の方法~違いは「現地に行くか?いかないか?

  • 簡易査定
  • 訪問査定

不動産査定額をザックリ簡単に計算する方法1.簡易査定~簡易査定とは?

簡易査定とは資料と指標、価格決定要素などをもとに査定額を算出する手法です。

すべて現地調査に赴くことはなく、資料の分析で作業をするところから「机上査定(机の上だけで査定する)」とも呼ばれます。

査定額の即日算出も可能ですが、現地調査を省くため、精度は訪問査定に適いません。

そこで実際は、とりあえず簡易査定で価格を掴んでおき、売買の交渉がある程度進んだところで訪問査定をするといったケースもよくあります。

不動産査定額をザックリ簡単に計算する方法1.簡易査定~簡易査定のプロセス

簡易査定で、不動産査定額を算出するまでのプロセスは次のとおりです。

簡易査定で不動産査定額をザックリ簡単に計算するまでのプロセス
  • 資料を揃える~資料(対象地の地図、登記簿など登記に関する書類、公示価格などの指標、対象地近隣の売買事例など価格の参考資料など)
  • 資料をもとに、机上で査定作業
  • 必要に応じインターネットや役所への電話確認などの調査、確認作業
  • 地図サイトや衛星写真情報などで現地の状況やアクセス経路を確認
  • 査定額が算出される

簡易査定では、資料をもとに机上で査定作業を進めます。作業では不動産業者でも各社それぞれの基準や計算方法があり、多くの場合はマニュアル化されパソコンへの入力で計算できるようになっています。

必要に応じ、建築制限などはインターネットや役所への電話で調査します。

また調査のイメージを具現化するために地図サイトなどからバーチャルで現地の状況を掴むこともあります。

このようにして、不動産査定額を算出します。

ところで、なぜ簡易査定は訪問査定に精度で適わないのでしょうか?

訪問することで、簡易査定となにが変わるのでしょうか?

こちらを次に詳しく説明します。

不動産査定額をザックリ簡単に計算する方法2.訪問査定~訪問査定とは?

訪問査定とは、実際に対象となる不動産を訪問し現地調査することで現地の状況を掴み、不動産査定額を算出する方法です。

「簡易査定は訪問査定に精度で適わない」というのは、現地調査によりさまざまな要因が生まれ、実際にその土地が持つ真の価値に近づくことができるからです。

たとえば以下のようなケースが考えられます。

・現地を訪問したら、地図に載っていない墓地が真後ろにあった

・現地に足を踏み入れたら、靴がズブズブと沈むような湿地帯だった

他にも、道路の状況や周囲の閑散具合など、やはりその場所に行かないとわからないことは多く、ここが訪問査定のほうが精度が高いという理由です。

不動産査定額をザックリ簡単に計算する方法2.訪問査定~訪問査定のプロセス

訪問査定で、不動産査定額を算出するまでのプロセスは次のとおりです。

訪問査定で不動産査定額をザックリ簡単に計算するまでのプロセス
  • 資料を揃える~*準備する資料等は簡易査定と同じ
  • 資料をもとに、現地を訪問して実地調査をする
  • 現地調査による結果と、書類による価格要素を加味して評価作業をする
  • 訪問で問題点や瑕疵が判明した場合は分析し、査定額に反映させる
  • 査定額が算出される

訪問するのは不動産業者や、銀行の場合は専門スタッフなど知識や経験が豊富な人間です。

そうした専門家が現地に赴き、土地の形状や地盤など綿密に調査をするのです。

なかには登記簿に載っていない建物(未登記)があったり、隣接する土地から建物がはみ出している(越境)など問題があるケースもあります。

こうした問題も、査定に影響しない軽度なレベルから、ときには売買に適さないような重大事項もあり、そのような大きな問題を瑕疵(キズといった意味)と呼びます。

机上の簡易査定に加え、現地調査をする訪問査定で、その物件の評価額は確定し、売買交渉などの「販売価格(売値)」とされます。

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不動産査定と銀行不動産担保の関係

ここまで、不動産査定額をザックリ簡単に計算する方法について解説してきました。

不動産の査定額は売買するときに必要なのですが、実は銀行の不動産担保でも「不動産査定」という言葉が使われ、こちらは不動産売買とは意味が異なります。

例えば不動産投資で購入したい不動産の価格を掴むのが査定ですが、このときローンを利用するなら、融資する銀行でも不動産の査定額を計算します。

また、融資取引している顧客が返済できなくなれば、担保にしている不動産を売却して融資残金の返済に充てますが、このときも不動産査定が登場してきます。

このように、不動産査定と銀行融資、銀行の不動産担保は切り離せない関係で、ここから銀行員が説明していきます。

不動産査定と銀行不動産担保の関係~同じ査定でも意味が全く違う

不動産の査定は不動産の売れそうな価格を値踏みすることですが、銀行における「売れそう」とは、競売でのことを意味します。

融資が返済できなくなった顧客の担保を強制的に売却するのが競売で、不動産業者などの専門家が裁判所の管轄下で競争入札する形式です。

言い方は酷ですが、融資が返済できない顧客の不動産売却という理由なので「足元を見られて」価格は相場よりかなり低くなる傾向があります。

融資が返済できない場合の競売はこうした仕組みですが、これは新しく不動産投資ローンの審査をする際にも通じるもので、つまり「返せなくなったら競売して売れそうな金額」として不動産査定をするのです。

不動産査定と銀行不動産担保の関係~査定額までしか融資は受けられない?

銀行の不動産担保では「評価額」と「査定額」という2種類の価格が存在します。

「評価額」とは銀行の視点で評価した価格で公示価格や路線価程度の価格になる傾向が多く、したがって実勢価格よりは安い評価額になる傾向があります。

そして「査定額」は、こてまで説明したように、担保を競売にかけて売れる最低価格を見越した評価額です。

大まかには、銀行の不動産担保での査定額は評価額の7割程度とされています。

(注1) 相場(実勢価格)は公示価格の1.1倍程度なので、ここから計算すると銀行の不動産査定額もある程度推測ができます。

例:相場(実勢価格)が11万円/㎡の土地では、基準となる公示価格(=銀行の評価額)は10万円/㎡なので、銀行の不動産査定額は7万円(評価額=公示価格としてその7割)

こうした点から俗に「銀行の担保(査定)は相場の6割程度」と言われています。

これを実際の不動産投資ローンに置き換えると次のようになります。

例:相場並みの5千万円で投資不動産を購入したいのでローンを申し込むと、担保の面での融資上限は3千万円(相場5千万円なら担保査定はその60%・3千万円となる)(注2)

銀行は不動産担保以上の融資は原則行いません。不動産投資ローンで自己資金が必要なのは、良く知られていますが、こうした担保評価の側面もその理由の1つなのです。

(注1)水準はあくまで参考です。銀行の不動産担保評価に関する内容は融資審査に関わるので公表されておらず、また担保評価額や査定額の基準も銀行により異なります。

(注2)融資の上限額も、不動産担保以外に収支計画・レントロールや本人に収入などの属性を総合的に判断しますので、担保評価額だけで決定されるものではありません。

不動産査定と銀行不動産担保の関係~査定額がローン残高に足りなければ売却を銀行は許さない?

ここまでは不動産投資ローンの審査など「お金を借りるとき」の話しでしたが、次は「お金が返せなくなったとき」の場合です。

ローン返済ができずに強制的に売却されるのが競売ですが、そこまで差し迫った状況でなく、自分で買い手を探して売却するのが「任意売却(任売・ニンバイとも)」です。

返済が苦しくなり、いっそのこと売却してやり直そうというのが任意売却ですが、その任意売却といっても要は一般的な不動産売買なので、不動産業者に依頼して買い手を探してもらうことになります。

そして、このとき不動産業者に査定(簡易査定または訪問査定)してもらうわけですが、この査定額がローンの残額以下だと、銀行は任意売却に応じてくれない場合があります。

例えば不動産投資ローンの場合、返済が苦しいとは言っても投資不動産を差し押さえられているわけではありません。

しかし不動投資ローンの担保になっているのは、要は「借金にカタにしている」わけで、売りたいなら借金を全額返せる、つまりローン残額以上で売れる必要があるのです。

任意とはいっても自分で自由に売却はできない点を覚えておいて下さい。

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自分でも不動産査定額をザックリ簡単に掴むことが大事です~まとめ

  • 不動産査定とは「物件が売れそうな値段を決めること」
  • 不動産投資の購入価格を掴む手段で、簡易査定と訪問査定でザックリ簡単に掴むことができる
  • 不動産査定額は、投資物件購入だけでなく、銀行の融資とも密接に関係している

これらを振り返り、不動産投資で不動産査定額をザックリ簡単に掴む流れを理解していただけたと思います。

不動産査定は専門家の分野ですが、記事の説明を読めば、自分でもタイトル通り「不動産査定額をザックリ簡単に掴む」ことができると思います。

不動産投資を検討している人なら、物件探しをするときになぜこの価格なのか?といった仕組みを理解できたので、投資へのイメージもより具体的になるのではないでしょうか?

この記事がそうした参考になれば幸いです。

今回はざっくりと自分で不動産査定を行う方法についてご紹介していきましたが、不動産会社への依頼も検討している方は以下の記事もぜひご覧ください。

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