不動産売却でありがちな失敗6選!対処法から取引成功までの手引き

  不動産売却でありがちな失敗6選!対処法から取引成功までの手引き

不動産売却は人生で何度も経験することではないため、知識不足や準備不足によって失敗に終わってしまうケースも少なくありません。そこで本記事では、不動産売却でありがちな失敗とその対策についてご紹介していきます。

シンタロウ
【執筆・監修】シンタロウ

不動産会社の宅建士2年目、賃貸、売買、空き家の管理、宿泊などさまざまな空き家の活用に取り組んでいる。 教員から転職して不動産会社に勤務しています。 宅建士以外にもFP3級を取得しており、今後は法律関係の資格を取得予定です。 最近できるようになったことは事故物件が感覚でわかるようになったこと。

【保有資格】宅建士

不動産売却は多くの人にとって一生に数回しか経験しません。

そのため、不動産を売却する際には、流れの複雑さや法律的な問題に直面することが多く、不安や疑問がつきまといます。

中には、準備や知識が不足することで不動産の売却が失敗に終わってしまうケースも少なくありません。

そこで、本記事では、初心者向けに不動産売却でありがちな失敗例を紹介し、その対処法と取引成功のための方法を解説します。

不動産の売却を検討している方は、この記事の実際の失敗例や対策を参考にすることで、不動産売却をスムーズに勧めることが可能です。

ぜひ参考にしてください。

1.不動産売却の基本的な流れ

不動産の売却をする際には、下記の手順を踏む必要があります。

  • 売却準備
  • 物件の査定
  • 売却活動の開始
  • 買い手との交渉
  • 契約締結と引き渡し

手順を把握して不動産の売却に臨むことで、全体の流れを踏まえて不動産売却の進捗が管理できるだけでなく、それぞれの手順で準備することもわかります。

1.1売却準備

不動産売却を不動産業者に依頼する前に、物件の状況を把握することが売却に向けての準備となります。

以下の内容に関して、事前に確認することが重要です。

  • 不動産の住所と所在
  • 所有者の情報(複数人いる場合は全員)
  • 不動産の抵当権に関する情報
  • 権利証の有無
  • 建物の築年数、施工会社、構造など
  • 建物の図面などの有無
  • 電気・ガス・水道の状況
  • カギの本数と所在

上記の内容は、査定の際に不動産会社に確認されることです。

査定の際に、上記の情報が分からないと正確な査定結果が分からない可能性があります。

近年では、長年空き家だった不動産を売却するケースもあり、所有者が売却したい不動産の情報を正確に把握していないためトラブルになるケースもあります。

事前に情報を明らかにしてから次の手順に進むべきです。

1.2物件の査定

不動産に関する情報や資料が集められたら、不動産会社に売却の相談をして査定を依頼します。

依頼を受けた不動産会社は不動産の相場や状態などを総合的に判断して査定を行います。

ほとんどの場合で現地にて査定を行うので、売却したい不動産が遠方にある場合には、事前に日程の希望も伝えておきましょう。

準備した資料や情報は査定の際の参考になるので、不動産会社に預けるかコピーやメモを渡すことがおすすめです。

また、不動産の査定結果は依頼する不動産会社によって多少ばらつきが出るため複数の不動産会社に依頼をすべきです。

1.3売却活動の開始

複数の不動産会社の査定結果が出揃ったら、査定結果をもとに売却を依頼する不動産会社を決定します。

査定結果をもとにして、売却したい時期や金額などを微調整したうえで、売りに出す金額が決定したら、不動産会社と媒介契約を結びます。

媒介契約を結ぶことで、不動産会社は不動産ポータルサイトや看板などに物件の広告を掲載して販売活動を開始します。

また、売却している不動産に購入希望者を案内したり、建物の中身を紹介するのも不動産会社が行います。

購入希望者から購入の申し込みがあったら、次の手順に進むことが可能です。

1.4買い手との交渉

購入希望者から購入の申し込みがあったら即売却できるというわけではありません。

不動産売却において、ほとんどの場合、価格や条件の提示があります。

交渉は不動産会社を通じて行われますが、最終的な意思決定は不動産の所有者がしなければなりません。

主な交渉内容は下記の通りです。

  • 値下げ
  • 修繕
  • 測量の実施
  • 売買対象の拡張

1.5契約締結と引渡し

交渉の末、売買価格や条件が決定したら、いよいよ契約締結と引渡しです。

不動産会社が契約書類を準備し、売り手と買い手と不動産会社の担当の3者が一同に介して契約を行います。

決済に関しては、さまざまなパターンがありますが、契約の当日または後日に買い手が売り手に売買代金を支払い、売り手が建物の場合は合鍵、土地の場合は引渡し証などの書類を交付することで不動産が売り手から買い手に引き渡されます。

その際に、司法書士が不動産の所有権を売り手から買い手に移す所有権移転登記申請を行います。

代金が支払われ、引渡しが完了し、所有権移転登記申請がされたら不動産の売却は終了です。

2.ありがちな失敗6選とその対処法

ここまで、不動産売却の流れを簡単に説明しましたが、各ステップにおいて不動産売却におけるさまざまな失敗が考えられます。

よく起こる失敗は下記の通りです。

  • 価格設定ミス
  • 市場調査不足
  • 不動産業者の選択ミス
  • 法的知識不足
  • 宣伝不足
  • リフォームや修繕の過不足

不動産売却のよくある失敗とその対策をおさえて、利益が生まれる不動産売却となるようにしましょう。

2.1価格設定ミス

不動産売却で最もよくある失敗の一つは価格の設定ミスです。

価格の設定ミスには、価格を低く設定しすぎて相場よりも安く売れてしまう場合と、高く設定しすぎて売れるまでに時間がかかる場合の2パターンがあります。

より深刻な失敗となるのは、価格を高く設定しすぎて売れるまでに時間がかかる場合です。

なぜなら、売れるまでに時間がかかることで、固定資産税や建物の修繕費などのランニングコストがかかり、売買によって得られる利益が減少するからです。

特に土地建物を売る場合は、売れるまでに時間がかかることによって、固定資産税や電気、ガス、水道などのライフラインの料金が継続的にかかってきます。

それだけにとどまらず雨や雪などの影響により、建物の屋根や水道管が破損して、修繕をするために費用が発生する可能性があります。

価格を高く設定しすぎないようにするための対策は複数の不動産会社に査定を依頼することです。

不動産会社は、不動産を高く売れば売るほど、支払われる手数料の額が大きくなるため、査定の金額が高くなりがちです。

相場と比較して高くなりすぎないようにするためには、複数の不動産会社の査定結果を比較検討して値段を決定することが重要です。

2.2市場調査ミス

不動産の市場を把握しておかないと、思わぬ失敗につながる可能性もあります。

なぜなら、売りたい不動産が需要があるものではないと、価格に関わらず売れるまでに時間がかかる可能性があるからです。

不動産を売却するためには、価格だけでなく、不動産があるエリアが需要があるエリアかどうかが重要です。

例えば、近隣に多くの工場がある場合は、騒音や異臭などの可能性があるため、住宅の需要が低くなり、反対に、商業施設や交通機関が多い場所は利便性が高いため人気が高くなります。

そのため、不動産の売却を検討する際には、初めに不動産ポータルサイトにて売りたい不動産の近くでどのような物件が売られているかを把握しておきましょう。

可能であれば、土地の大きさや価格、建物の築年数などを把握することで、付近でどのような不動産の需要があるかのイメージがつかめます。

2.3不動産会社の選択ミス

不動産会社の選択を誤って納得のいく不動産売却とならないケースも多くあります。

なぜなら、不動産会社は不動産売却が完了するまで、売却に関するほとんどすべての業務を担う重要な存在だからです。

不動産の価格決定にかかわる査定はもちろん、不動産の広告や不動産の案内、そして買い手との交渉や契約書の作成など不動産売却に関する重要な業務はすべて不動産会社の力量に左右されます。

そのため、不動産会社の担当の経験が不足していたり、実績が少なかったりすると、契約時に些細なことで大きなトラブルが発生したり、不動産会社が販売活動を積極的に行わず不動産が売れるまでに時間がかかる可能性があります。

経験や実績が豊富な不動産会社を選ぶために、必ず確認したいポイントは取り扱っている物件の数と種類です。

不動産会社のホームページに掲載されている物件の種類と数をみることで、その不動産会社がどのような物件に強く、どの程度実績があるかがわかります。

掲載されている物件に賃貸物件が多ければ賃貸をメインにしている会社ということが分かり、マンションを多く掲載していればマンションに強い会社ということが分かります。

また、掲載している物件の数は、不動産会社の営業力や信頼度を表しているので、依頼する際には、売りたい不動産と似た不動産を数多く扱っている不動産会社に依頼するのがおすすめです。

2.4法的知識不足

不動産を売却する際には、法律の知識が必要不可欠です。

特に、契約不適合責任について知っておかないと、不動産売却後に思わぬトラブルとなる可能性があるため注意が必要です。

契約不適合責任とは、売買や請負などの契約に基づき引き渡された目的物について、目的物の種類、数量、品質のいずれかに関して契約の内容と差があった場合に、売り手が買い手に対して負担する法的責任のことです。

不動産でいえば、土地を売った場合に、地中にゴミが埋まっていたり、面積を実際に測量してみたら契約書に書いてあるよりも小さかったなどが目的物の種類、数量、品質が契約の内容と差があった場合に該当します。

建物に関しても、契約書に記載がなかったのに雨漏れや水道管の漏れがあった場合や、実は過去に自殺や殺人事件が起きたいわゆる事故物件であったなどが契約不適合責任の対象となることが多いです。

この場合に、売り手は該当する部分の是正や、代金の減額をしなければならず、最悪の場合契約が解除となることもあります。

対策としては、物件の状況を正確に買い手に伝えることです。

査定の段階で、物件に関する知りうる状況をすべて不動産会社に伝えることはもちろん、住宅診断を利用して専門家の調査によって物件の状態を明らかにすることも重要です。

また、契約不適合責任は、売り手が不動産会社ではない場合に、免責とすることもできます。

ただし、売り手が契約不適合責任を負わない不動産は、購入するリスクが高く、売れ残る可能性もあるため注意すべきです。

2.5宣伝不足

売却に関する広告や宣伝が不足することで、不動産がいつまでたっても売れないという状況に陥ってしまいます。

不動産の広告や宣伝を効果的に行わないと、そもそも内見に来る人が少なくなり、買い手が見つかりにくくなるからです。

基本的に不動産売却の広告は不動産会社が行います。

そのため、不動産会社がどのような広告をするかは必ず確認すべき事項です。

例えば、不動産会社が自社のホームページのみに広告を掲載している場合、ホームページのアクセスが少なければ閲覧数が少なく広告が意味を為さなくなります。

複数の不動産ポータルサイトに掲載したり、新聞の広告に掲載をすることで広告を閲覧する人が増え、買い手が見つかりやすくなります。

不動産会社によっては、別途費用を支払うことで不動産を優先的に紹介してくれたり、新聞や雑誌の不動産情報に広告を掲載してくれることがあります。

2.6リフォームの過不足

建物を売却する場合には、リフォームをして売却をしやすくすることがあります。

このリフォームが足りない、またはやりすぎることによって不動産がかえって売却しづらくなる場合があります。

なぜなら、建物をリフォームすることによって需要を狭めたり、リフォームしなかったことによって見栄えが悪く、内見に来る人の数が減ったりする可能性があるからです。

例えば、風呂、トイレ、キッチンなどの水回りの設備を入れ替えた場合に、入れ替えた設備が気に入る人しか購入を検討しません。

好みが分かれる設備は入れ替えるよりかは、その分を値下げして売りに出すことで購入後に買い手が自分でリフォームができるため需要を狭めることはありません。

しかし、下水道の工事をしていなかったり、雨漏れがあったりする場合のように、住宅が本来持つ品質を持っていない場合はリフォームや修繕をすることで買い手が買いやすい物件となります。

不動産をリフォームして販売することは、経験やテクニック、そしてセンスが求められます。

自分ひとりで判断せず、不動産会社に必ず相談して検討するようにしましょう。

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3.まとめ

ここまで、不動産売却に関する主な失敗とその対策を紹介しました。

不動産売却の手順のほとんどは不動産会社が行いますが、不動産会社の選定や価格の決定など重要な決定はすべて不動産の所有者にゆだねられます。

決して不動産会社に任せきりにすることなく、こまめに販売の状況を確認したり、広告が掲載されている媒体をチェックしたりすることで、自らも不動産の売却状況を正確に把握し、重要な判断を正確にできるようになります。

不動産の売却は、多くの人が人生で数回しか経験しないことであるにもかかわらず、人生において重要な選択の一つです。

今回紹介した失敗を参考に基本的な知識を身に着けて、自らも不動産売却の際には主体的に動き、実りある不動産売却となるようにしましょう。

参考:
契約不適合責任とは? 瑕疵(かし)担保責任との違い・期限・免責について|建築トラブルや訴訟・紛争問題でお困りならベリーベスト法律事務所

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