不動産売却における値下げのタイミングは?賢い値下げ幅と売り出し戦略

  不動産売却における値下げのタイミングは?賢い値下げ幅と売り出し戦略

不動産売却をしているが、値下げはどのタイミングでどれくらいするのが正解なのかわからない。本記事ではそんな疑問を解消するべく、適切なタイミングの見極め方から、値下げ幅の設定方法について詳しく解説していきます。

濱田 真理
【執筆・監修】濱田 真理

阪神大震災で全壊した実家の再建をきっかけに、宅地建物取引士の資格を取得しました。 不動産会社勤務を経て、現在は不動産系SEOライターをしております。 分かりやすい解説と確かなエビデンスにより、信頼される記事の執筆が可能です。

【保有資格】宅地建物取引士

「不動産売却で値下げするタイミングはいつ?」
「値下げするときの注意点は?」
「値下げしても売れなかったらどうしよう」

不動産売却を値下げするタイミングで、このような疑問や悩みはありませんか?

不動産売却で値下げのタイミングは、一般的に売却活動を開始してから3カ月が目安となります。

そのほかのタイミングとしては、価格交渉を受けたときや売却期限が迫っているときです。

この記事では、値下げのメリットとデメリット、状況別値下げのタイミング、コツや注意点を詳しく解説し、売れないときの値下げ以外の対策も紹介します。

この記事を読めば、値下げの適切なタイミングについて理解でき、大切な不動産の売却を成功させるためのヒントになるでしょう。

不動産売却時に値下げするメリット・デメリット

不動産売却時に値下げする際は、そのメリットとデメリットを把握しておく必要があります。

値下げのおもなメリットとデメリットは、以下の通りです。

メリット デメリット
早く売却できる 手元に残る金額が当初の想定より減る
新規ユーザーの目に留まる機会が増える ローンが完済できないかもしれない
早く売れる分維持費が抑えられる 値下げしたからといって必ず売れるとは限らない

以上のような点を考慮したうえで、次章からは値下げについて詳しく解説していきます。

不動産売却で値下げするタイミング

不動産を売却する際は、以下のような流れで進めます。

売却活動中の不動産は、おもに以下のようなタイミングで値下げすることが多いです。

  • 売却開始から3カ月経過したとき
  • 価格交渉があったとき
  • 売却期限が迫っているとき
  • 問い合わせ件数が少ないとき
  • 築年数が増える前

販売開始から3カ月経過したとき

値下げのタイミングは、売却活動を開始してから3カ月を過ぎたころが一般的です。

売買の仲介を依頼した不動産会社との媒介契約期間は3カ月で、多くの場合不動産会社と相談して売却価格を決めています。

周囲の物件の査定価格や市場の動向を踏まえて、3カ月以内で売れると思われる価格で売り出したのに売れないのであれば、もう一度適正価格かどうかを見直す必要があります。

価格交渉があったとき

価格交渉があったときは、頑なに拒絶せず柔軟に対応する必要があります。

過去のデータから見ても、当初の希望売却価格より少ない価格で売却しているケースがほとんどです。

ただし、初期の交渉で即座に大幅な値下げに応じる必要はありません。

購入希望者の真剣度や市場動向を考慮して判断することが重要です。

売却期限が迫っているとき

売却期限が迫っているとき、特に売却が急務であれば、市場に合わせて価格を調整する必要があります。

期限までに売却を完了させるためには、より魅力的な価格設定を考えることが重要です。

問い合わせ件数が少ないとき

問い合わせ件数が少ないときは、価格設定が市場に適していない可能性があります。

価格を下げることで、購入希望者の目に留まりやすくなります。

築年数が増える前

不動産の築年数が増えると、一般的に価値が低下します。

購入希望者は築5年以内や10年以内といった数字で検索するケースが多いため、築年数が5年または10年といった区切りを超える前が値下げのタイミングです。

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不動産売却で値下げする際の注意点

不動産売却を開始した後に値下げする場合、以下の点に注意する必要があります。

  • 繫忙期には値下げしない
  • 値下げを繰り返すのは避ける
  • ローン残高を確認しておく
  • 売り出し直後の交渉は断る
  • 値下げ交渉は不動産会社にしてもらう

それぞれ解説します。

繫忙期には値下げしない

不動産業界の繁忙期は1〜3月と9〜10月ごろで、この時期の値下げは控えましょう。

この時期には購入希望者が増えるため、値下げしなくても良い条件で売却できる可能性が高いからです。

繁忙期に売れなかったのであれば、繁忙期を過ぎてから値下げを検討する必要があります。

値下げを繰り返すのは避ける

値下げを繰り返すと、購入希望者に「さらに値下げがあるかもしれない」という期待を持たせてしまう可能性があります。

これは購入希望者の購入意欲にストップをかける可能性があるため、値下げの繰り返しはおすすめしません。

ローン残高を確認しておく

売却予定の不動産に住宅ローンが残っている場合は、ローン残高を確認し売却価格でローン残高をカバーできるかを把握しておく必要があります。

売却価格がローン残高を下回る場合、売却後にも返済を続ける必要が生じるからです。

売り出し直後の交渉は断る

物件を売り出した直後は、多くの購入希望者からの関心を集めるチャンスです。

この時期に早急に価格交渉に応じると、より良い条件のオファーを見逃す可能性があります。

最初のうちは交渉を安請け合いせず、不動産会社と相談し、市場の反応を見極めることが重要です。

値下げ交渉は不動産会社にしてもらう

値下げ交渉は複雑なため、経験豊富な不動産会社に仲介してもらうことをおすすめします。

不動産会社は法的な側面や契約の細部についても適切にアドバイスでき、適切な交渉戦略を持っているので、交渉を任せるほうが安心です。

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不動産売却時に値下げするコツ

不動産売却で値下げをするコツには、おもに以下のような点があげられます。

  • 値下げの限度額を決めておく
  • 値下げ交渉には柔軟に対応する
  • 端数で魅せ方を工夫する
  • 適切な値下げ幅で値下げする
  • 買付証明書を出してもらう
それぞれ解説します。

値下げの限度額を決めておく

事前に、値下げの限度額を決めておくことが大切です。

値下げの限度額を決めておけば、交渉過程で感情に流されることなく、合理的な決定ができます。

値下げ限度額は、物件の市場価値、住宅ローンがある場合は住宅ローンの残高などの財務状況を基に設定します。

値下げ交渉には柔軟に対応する

購入希望者からの値下げ交渉には、市場状況や物件の状態を考慮して適切に対応することが大切です。

成約価格は売り出し価格より下がるのが一般的ということは、購入希望者も知っているため、頑なに値下げ交渉を断ることは、機会損失になりかねません。

合理的な交渉であれば柔軟に対応し、無理な要求には断固として対処しましょう。

端数で魅せ方を工夫する

不動産売却の価格を設定する際、端数を工夫することでより魅力的に見せるられます。

例えば、1,100万円だった物件を999万円に値下げして売り出すことで、1,000万円よりも安く感じさせる効果があったり、価格交渉された際、端数を切り捨てて1,000万円にして交渉に応じたりなど、心理的な価格設定が効果的です。

適切な値下げ幅で値下げする

大幅な値下げは買い手の関心を引きますが、同時に物件の価値を下げる可能性もあります。

逆に5万〜10万円程度の小幅な値下げでは、なかなか購入希望者の購入意欲を惹きつけられません。

不動産会社と相談し、5~10%を目安にして適切な下げ幅を見極めましょう。

買付証明書を出してもらう

購入希望者が本気であることを確認するために、買付証明書を出してもらうことが有効です。

買付証明書は購入意志の証であり、交渉を進める上での信頼関係を築くために重要です。

買付証明書には購入価格や支払い条件などが記載され、購入希望者の購入可能な金額も分かるため、交渉がスムーズになります。

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不動産を値下げせず売却する方法

不動産を値下げせずに売却する方法は、おもに以下の4つです。

  • 売却活動の見直し
  • 不動産会社の契約を変更
  • 不動産会社を変える
  • 不動産買取

それぞれ解説します。

売却活動の見直し

売却活動を見直すことで、物件の魅力をより効果的に伝えられ、値下げをしなくても売れる可能性が高まります。

具体的にはオンラインでの広告を増やしたり、物件の写真や動画を撮り直したりといった宣伝方法の改善や、ハウスクリーニングや小規模な修繕などで物件自体の状態を改善することなどが挙げられます。

不動産会社の契約を変更

売れない期間が3カ月以上続くのであれば、現在の不動産会社との契約内容を見直し、より効果的なプランに変更することが有効です。

不動産会社の仲介には、以下の3つの契約方式があります。

契約方式 複数社との契約 自己発見取引※1 レインズ※2への登録 業務状況報告 契約の有効期間
専属専任媒介契約 × × 5営業日以内 1回/1週間 3カ月
専任媒介契約 × 7営業日以内 1回/2週間 3カ月
一般媒介契約 任意 任意 任意

※1 自己発見取引:自分で見つけた買主と直接売買すること
※2 レインズ:国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているコンピューターネットワークシステム

媒介契約は基本的に3カ月で1クールですが、3カ月で売れなかった場合は契約方式を見直すことも可能です。

専属専任媒介契約や専任媒介契約は、他の不動産会社に依頼できない分、熱心な売却活動が期待できます。

しかし他の不動産会社にも宣伝してもらえる一般媒介契約に変えることで、複数の不動産会社が売却活動してくれる可能性が出たり、逆に一般媒介契約を専任媒介契約にすることで、以降は熱心に売却してくれるようになる可能性もあります。

不動産会社を変える

現在の不動産会社が媒介契約の種類とは関係なく、誠意が感じられなかったり知識不足と感じたりした場合、別の不動産会社に変更することも選択肢の一つです。

異なる会社は異なるネットワークや戦略を持っており、新しい視点やアプローチで売却活動してくれる可能性があります。

不動産買取

早く売却したいなら、不動産会社や専門業者に買い取ってもらうのも一つの選択肢です。

市場での一般的な売却プロセスを経ずに、直接業者が不動産を買い取ってくれるため、広告費や時間がかかりません。

しかし多くの場合、市場価格よりも低い価格での売却となる可能性があります。

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まとめ

この記事では、不動産を売却する際に、値下げするタイミングについて、以下のような内容を解説しました。

不動産売却で値下げには、おもに以下のような5つのタイミングがあります。

  • 売却開始から3カ月経過したとき
  • 価格交渉があったとき
  • 売却期限が迫っているとき
  • 問い合わせ件数が少ないとき
  • 築年数が増える前

不動産売却で値下げする際は、以下のような点に注意が必要です。

  • 繫忙期は値下げしない
  • 値下げを繰り返さない
  • ローン残高を確認しておく
  • 売り出し直後の交渉は断る
  • 値下げ交渉は不動産会社にしてもらう

不動産を売却する場合の値下げの目安は、3カ月を過ぎたタイミングです。

この時期が不動産会社との媒介契約更新時期でもあるため、不動産会社との契約方式や、不動産会社自体も見直しを検討する必要も出てきます。

値下げをすれば早く売却できますが、希望の価格で売れなかった場合、住宅ローンが完済できない可能性もあるため、値下げ限度額や住宅ローンの残高は確認しておきましょう。

この記事を読んでいただくことで、値下げのタイミング、値下げ幅や注意点などを理解し、希望の売却価格に近い金額で、スムーズに売却できると幸いです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

参考元:不動産売却時の値下げのタイミング・値下げ幅の目安とは?|RE-Guide不動産一括査定

参考元:不動産売却での値下げのタイミングは?注意点や値下げを防ぐコツも

参考元:不動産売却の値下げを考えるタイミング|値下げ交渉へはどう対応する?

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