築50年マンションはあと何年住める?売却やリノベーションなど、最善の活用方法をご紹介!

  築50年マンションはあと何年住める?売却やリノベーションなど、最善の活用方法をご紹介!

築50年マンションはいつまで住めるのでしょうか?売却やリノベーションなど適切な活用方法もあわせてご紹介していきますので、ぜひ本記事を参考に最善の判断ができるようになってください。

宮本建一
【執筆・監修】宮本建一

金融機関に30年あまり在籍し、預金業務や融資業務、経理事務および内部監査業務、審査管理業務を経験しました。 これらの知見をもとに、金融関連(ファクタリング、資金調達、運転資金)、FP関連(保険、不動産、介護)、および法律関連(債務整理、遺産相続)を中心に執筆しています。 また、金融機関行職員を対象とした通信講座の教材執筆にも携わっています。

【保有資格】・FP2級 ・AFP ・金融内部監査士 ・簿記2級

国税庁によると、鉄筋コンクリート造マンションの耐用年数は47年と定められています。

しかしながら、耐用年数を超えている築50年のマンションに住み続けることは、メンテナンスを施すことで可能です。

では、どれくらい住み続けられるのでしょうか。

本記事では、築50年のマンションはあと何年住めるのかについて解説します。

売却やリノベーションなど、居住するのに最善の活用方法を紹介しますので、参考にしてください。

築50年のマンションにはいつまで住めるの?

国土交通省によると、鉄筋コンクリート造の建物の物理的寿命は117年と推定しています。

築50年のマンションであれば、あと約67年住める計算となります。

とはいえ、築50年となると、さまざまな問題点があるかもしれません、特に地震の多い日本にとって耐震性は気になるところです。

また、将来建替えになることはあるのでしょうか。

物理的に鉄筋マンションは117年まで居住可能

国土交通省の「中古住宅の流通促進・活用に関する研究会 報告書」によると、鉄筋コンクリート造の建物の物理的寿命を117年と推定しています。

実際の建物の減耗度を調査し、建物の減耗度と実際の使用年数との関係から算出しています。

とはいえ、築50年となると、快適な居住空間を維持するためには、水道管やガス配管等のメンテナンスは欠かせません。

築50年のマンションの問題点は?耐震性は?

鉄筋マンションは物理的に117年の寿命があるとはいえ、問題点はないのでしょうか。

特に日本は、地震が多発する国ですので耐震性について気になるところです。

耐震基準については、1981年6月の建築基準法の改正と同時に見直しが行われました。

見直し以前の旧耐震基準(旧耐震)では、「震度5程度の中規模の地震で大きな損傷を受けないこと」が基準となっていました。

築50年のマンションは1981年以前に建てられたマンションであるため、「旧耐震」を基準として建設されていると考えられます。

旧耐震で定められている以上の地震が発生した場合、安全性が担保されていません。

ちなみに、新耐震基準では、震度6以上の大規模地震で建物が倒壊しないことを条件としています。

とはいえ、耐震改修や補強工事を実施しているマンションもあるので、管理会社や不動産会社に確認するのがいいでしょう。

将来的に建替えになる可能性は?

国税庁によると、鉄筋マンションの耐用年数は47年と定められています。

築50年のマンションは、将来的に建替えになる可能性があるのでしょうか。

国土交通省「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」によると、2022年末現在、築40年以上のマンションはおよそ125万戸存在することが報告されています。

一方、マンションの建替えについては2023年3月時点で、累計で282件、約23,000戸となっています。

建替えに際しては、区分所有者の金額の負担および同意が必要なため、マンションの建替えの結果を見ても難しいといえそうです。

築50年のマンションは売却が可能か?

築50年のマンションの売却は可能です。

実際に売買実績があります。

どれくらいの金額で売買されているのかについて、また、築50年のマンションを売却するメリットおよびデメリットについても解説します。

築50年のマンションの資産価値はどれくらい?

マンションの資産価値は築年数にかかわらず、土地と建物の価値によって決定します。

築50年のマンションであっても、土地の価値が含まれるので、資産価値がゼロになることはありません。

とはいえ、築年数が経過するマンションの場合、建物の価値は下がっていく傾向にあるのは事実です。

公益財団法人東日本不動産流通機構の「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】」によれば、築30年以降の㎡単価は、築0~5年の45.9%と半分以下の資産価値となっています。

【首都圏中古マンションの築年数ごとの成約㎡単価】

築0

5年
築5

10年
築10

15年
築15

20年
築20

25年
築25

30年
築30年
㎡単価
(万円)
135.6 111.8 103.7 94.6 85.1 70.7 62.2
築0~
5年を
100とした
場合の
価値の
減少率
(%)
100 82.4 76.5 69.8 62.8 52.1 45.9
(参考)
価格
(万円)
7,984 7,136 6,538 6,301 5,651 4,305 3,114

(出典:東日本不動産流通機構|首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年1~3月】のデータより筆者作成)

築50年のマンションについてですが、2022年度の東京都における築50年〜60年未満のマンションの平均成約価格は約2,800万円です。

築5年までの成約価格が7,984万円ですので、およそ35%で売却可能と考えられます。

(参考:不動産売却マスター

築50年のマンション売却のメリット

築50年のマンションを売却するメリットとして、以下のような理由があります。

  • 焦らず売却が可能
    築浅のマンションであれば、年数が経過すると、売買価格が下がっていく傾向があります。
    一方、築50年のマンションであれば、資産価値が横ばいに推移するため、値下がりしにくくなり、急いで売却する必要がありません。
    買い手が見つかるまで、賃貸として利用する方法もあるでしょう。
  • 売却時に手元に残る金額が多い
    マンションを売却する場合、不動産会社に仲介手数料を支払わなければなりません。
    仲介手数料は、「物件価格×3%+ 6万円(速算式)」に消費税を加えた金額なので、物件価格が安いと、仲介手数料も安くなります。
    住宅ローンの残債がある場合、マンション売却時には通常、住宅ローンを完済しなければなりません。
    築50年のマンションの場合、住宅ローンは完済しているケースが多いと考えられます。
    売却益が発生すれば、納税することが必要ですが、売却損となることが多いので、納税が不要となることが考えられます。
    そのため、手元にお金が残る可能性が高いです。

築50年のマンション売却の注意点

一方で、売却における注意点として、買い手がつきにくいことが考えられます。

理由として次の点があります。

  • マンションそのものに不安を覚える
    築50年のマンションは、築浅のマンションより、経年劣化が進んでいると考えるのが一般的です。
    壁が剥がれ落ちたり、配管に問題があったりする点を危惧する恐れがあります。
    また、築50年のマンションは、前述の「旧耐震」が基準で建築されているため、耐震性に不安を覚えるかもしれません。
  • 住宅ローンの審査が通りにくい
    住宅ローンの審査に際して、金融機関は申込人を審査するのと同様に、購入物件の築年数を審査するのが一般的です。
    耐用年数を経過した築50年のマンションを調査した場合、築浅の住居より審査が厳しくなる恐れがあります。

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築50年のマンションはリノベーションできるか?

売却同様、築50年のマンションにリノベーションを行うことも可能です。

リノベーションにかかる費用やリフォームとの違い、リノベーションを行うメリットや注意点について紹介します。

そもそもリノベーションとは?

リノベーションとは、新たな機能等を取り付けることにより、マンションの付加価値を高める改修工事をいいます。

似たことばに「リフォーム」がありますが、リフォームは、劣化や摩耗、故障した箇所を修繕したり取り替えたりする工事のことです。

リノベーションは付加価値を高める工事なので、リフォームに比べて大がかりとなるのが一般的です。

リノベーションにかかる費用は、広さやどれだけの付加価値を上げるのかによりますが、1000万円〜1,500万円ほどかかるとされています。

築50年のマンションにリノベーションを行うメリット

築50年のマンションにリノベーションを行うメリットとして、次の点があります。

  • 新築や建替えより安あがり
    築50年のマンションは、築浅のマンションに比べ安く購入できます。
    リノベーション費用を加えても、新築物件を購入より低く抑えられる可能性が高いです。
  • 自分が思い描く居住空間が見込める
    新築や築浅のマンションの間取りは、画一的で無難なレイアウトが多いです。
    独自の居住空間を考えている人にとっては、物足らないかもしれません。
    築50年のマンションをリノベーションすることで、個性的な間取り等にすることが可能です。

築50年のマンションにリノベーションを行う注意点

リノベーションを行う際に注意すべきこととして、以下の点があります。

  • 予算オーバーの恐れ
    築50年のマンションをリノベーションするにあたり、想像以上に劣化が進んでいたり、配管等が腐食していたりするかもしれません。
    追加工事が発生することが考えられ、予算をオーバーする恐れが考えられます。
  • 思い描いた間取りにならない
    マンションによっては、建物の構造上、通し柱や筋交いといった、移動が厳しいケースがあります。
    マンションが建築されている地区が、防火地域や風致地区等の場合、使用可能な建材に制限がある恐れがあります。
    そのため、考えていた間取りにならない恐れがあるかもしれません。

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まとめ

鉄筋コンクリート造のマンションは国土交通省の資料によれば、117年が寿命とされているので、築50年のマンションの場合、60年以上の居住が可能です。

とはいえ、最低限のメンテナンスは必要でしょう。

また、旧耐震基準での建築物なので、耐震改修や補強工事を行う必要があるかもしれません。

築50年のマンションの資産価値は低下しますが、築0〜5年のマンションの35%ほどの価格で売買が可能です。

築50年のマンションにリノベーションは、新築や建替えより安くつく反面、予算をオーバーしたり構造において思い通りの間取りにならなかったりする恐れがあるので注意が必要です。

築50年のマンションの特性を把握することで、上手に活用することが大切でしょう。

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