不動産投資は生命保険の代わり?その噂は本当なのか、具体的なケースで両者を徹底比較!

  不動産投資は生命保険の代わり?その噂は本当なのか、具体的なケースで両者を徹底比較!

不動産投資は生命保険の代わりになるのでしょうか?本記事では不動産投資と生命保険を比較しながら、それぞれのメリットやデメリット、実際の代わりとして活用することは可能なのか解説していきます。

手塚 大輔
【執筆・監修】手塚 大輔

地方銀行に10年弱勤務した後、現在は飲食店を起業しており、プロのライターとしてもSEO記事、コピーライティングなどを行なっております。 銀行では、預金業務、カードローン、住宅ローン、企業の運転資金、設備資金、起業開業支援、保険販売、投資信託販売などの他、企業の決算書の審査など経験。

【保有資格】ファイナンシャルプランナー

「不動産投資は生命保険の代わりになる」と耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか?

確かに不動産投資は借主にもしものことがあったときに、保険金が支払われ、結果的に残された家族に不動産と家賃収入を残すことができます。

しかし不動産投資にはリスクもあるので、不動産投資を生命保険代わりに使用することには注意が必要です。

不動産投資が生命保険の代わりになると言われる理由と、生命保険の代わりとして使用するリスクについて詳しく解説していきます。

不動産投資が生命保険代わりになる理由は「団信」があるから

不動産投資が生命保険の代わりになると言われる理由は、不動産投資には「団信」があるためです。

団信とは団体信用生命保険のことで、住宅ローンや不動産投資ローンを借りる場合には、ほぼ必ずと言っていいほど借主が加入しなければならない保険です。

不動産投資には、この団体信用生命保険があるため、「生命保険の代わりになる」と言われるのです。

団体信用生命保険の仕組みと、他の保険との違いを詳しく解説していきます。

団体信用生命保険の仕組み

団体信用生命保険とは、住宅ローンやアパートローンなどの借入をおこなうと、金融機関で加入が義務付けられていることが多い保険です。

住宅ローンやアパートローンの借入の際には、ほぼ必ず加入が義務付けられます。

団体信用生命保険に加入すると、万が一借主が死亡したり高度障害になった場合には、ローン残高が保険会社から金融機関へ支払われ、保険金でローンを完済します。

団体信用生命保険へ加入することによって、残された家族にローンを残すことなく、不動産を残すことが可能です。

団体信用生命保険と生命保険の違いを比較

団体信用生命保険と通常の生命保険の違いは以下のとおりです。

  団体信用生命保険 生命保険
加入期間 ローンの借入期間 定期または終身
掛け捨て 無し あり
加入者 金融機関 個人
受取人 金融機関 保険金受取人
保険金額 ローン残高 契約時に設定した保険金額

団体信用生命保険の加入期間はローンの借入期間です。また保険金はローンの残高です。

団体信用生命保険で保険金を受け取るのは金融機関で、金融機関がローンの返済をおこないます。

つまり、団体信用生命保険はローンの借入期間中にローン残高のみを受け取れる保険で、保険金や保険期間を任意に設定できる通常の生命保険とは根本的に異なります。

保険金の代わりに家賃収入を残せる

団体信用生命保険に加入した不動産投資をおこなうことによって、残された家族には投資した不動産を残すことができます。

この不動産からは家賃収入を得られるので、不動産投資は「生命保険の代わりになる」と言われます。

通常の生命保険であれば、保険金を遺族に残せますが、不動産投資は家賃収入を遺族に残せるため、生命保険のように「遺族にお金を残す」という役割として活用可能です。

生命保険と団体信用生命保険はどちらがお得?

生命保険と団体信用生命保険、保険料や保証内容はどちらがお得になるのでしょうか?

住宅金融支援機構のフラット35の団体信用生命保険(特約なし)の保険料や保証内容とオリックス生命の保険料や保証内容を比較してみました。

※保険金額・融資金額5,000万円、借入期間30年、借入金利1.5%で計算、契約時年齢30歳

  団体信用生命保険 定期保険 終身保険
保険料総額 2,862,800円 3,636,000円 34,848,000円
60歳未満の
保障内容
住宅ローン残高
+家賃収入
50,000,000円 50,000,000円
60歳以上の
保障内容
家賃収入 なし 50,000,000
契約期間 ローン完済まで 60歳 一生涯

参考:機構団信特約料シミュレーション

参考:保険料シミュレーション(生年月日・性別・保険種類選択)|オリックス生命保険株式会社

定期保険とは一定期間までしか保障されない保険です。

その分保険料は安くなり、30歳で加入すれば、月々10,000円程度で、30年間で360万円程度の保険料の支払いが必要です。

一方、終身保険とは一生涯、保険金が保障されますが、30歳で加入した場合、月々96,000円程度の高額の保険料が必要になるので、60歳まで保険料を支払った場合には、3,600万円程度の保険料の支払いが必要になります。

団体信用生命保険は、金利に保険料分が上乗せされますが、金利1.5%で30年ローン、借入額5,000万円の場合には上乗せ保険料は30年で290万円程度です。

290万円の保険料で一生涯家賃収入が保証されるので、3,600万円程度もの高額な保険料を支払って、終身保険に加入するよりも不動産投資をした方がメリットがあります。

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団体信用生命保険の注意点

確かに不動産投資は万が一の場合には、団信からローンを返済し、残された家族には家賃収入を残すことができます。

しかし以下の4つの注意点があるので、生命保険の代わりとすることのみを目的として不動産投資をおこなうことは危険です。

  • 支払われるのはローン残金だけ
  • 団信適用後は家賃収入しか保証されない
  • 保険金が支払われないこともある
  • 団信保険料は控除の対象にならない

団体信用生命保険の4つの注意点について詳しく解説していきます。

支払われるのはローン残金だけ

団体信用生命保険で支払われるのは不動産投資のために借りたローン残高だけです。

残された家族にまとまったお金を残したいと考える方は、別途生命保険に加入しなければなりません。

残された家族にいくらのお金が必要なのかを検討し、まとまったお金が必要になる場合には、不動産投資とは別に必要な死亡保証がついた生命保険に加入しましょう。

団信適用後は家賃収入しか保証されない

借主にもしものことがあって、団体信用生命保険が適用になり不動産投資ローンが完済されたあとは、家賃収入のみが保証されます。

生命保険のように、あらかじめ想定した遺族の生活費などが保証されるわけではありません。

また、入金になる家賃は家賃設定と入居状況によるため、死亡時の状況によっては数万円程度の家賃収入しか入金にならない可能性もあります。

不動産投資をしたから残された家族の生活が安心というわけではなく、あくまでも死亡時の家賃しか保証されないため、遺族の生活に十分な収入になる保証はないと理解しておきましょう。

保険金が支払われないこともある

団体信用生命保険に加入したからと言って必ずしも保険金が支払われるとは限りません。

例えば、住宅金融支援機構の団体信用生命保険では次のような原因では保険金は支払われないので注意が必要です。

  1. 保障の開始日から1年以内に自殺されたとき
  2. 「申込書兼告知書」に記入日(告知日)現在および過去の健康状態などについて事実を告げなかったか、または事実と異なることを告げその団信加入者に係る団信契約(住宅金融支援機構と生命保険会社との保険契約をいいます。以下6から8までにおいて同じ。)が解除されたとき
  3. 故意により所定の高度障害状態になられたとき
  4. 保障の開始日前の傷害または疾病が原因で所定の高度障害状態になられたとき
  5. (その傷害や疾病をご加入時に告知いただいた場合でも、債務弁済の対象とはなりません。)
  6. 戦争・その他の変乱により死亡または所定の高度障害状態になられたとき
  7. 詐欺・不法取得目的により団信加入者となったことにより、その団信加入者に係る団信契約が取消しまたは無効とされたとき
  8. 団信加入者について、保険金を詐取する目的で事故を招致した場合、暴力団関係者その他の反社会的勢力に該当すると認められた場合など、重大な事由があり、その団信加入者に係る団信契約が解除されたとき
  9. 団信加入者について、団信契約の存続を困難とする2、6又は7と同等の重大な事由があり、その団信加入者に係る団信契約が解除されたとき
  10. 団信加入者が、住宅ローンの金銭消費貸借契約に定める反社会的勢力の排除に関する条項に抵触し、債務の全部につき期限の利益を失ったとき

引用:住宅金融支援機構|債務弁済される場合、債務弁済されない場合

例えば、加入した際の告知事項に虚偽があった場合や、借入から1年以内の自殺では団信は下りません。

また、もしも戦争が起きて戦争で死亡した場合も団信は適用されません。

不動産投資をしたからと言って、必ず借金なしで遺族に不動産を残せるわけではないため注意しましょう。

団信保険料は控除の対象にならない

団体信用生命保険の保険料は、ローンの借入金利に上乗せして金融機関へ収めるのが一般的です。

しかしこの保険料は生命保険料控除の対象にはなりません。

生命保険料控除とは、支払った保険料の一部が所得控除の対象になるため、生命保険に加入することには節税効果があります。

しかし団体信用生命保険の保険料は生命保険料控除の対象にならないので節税効果がありません。

生命保険料控除を利用したい方は注意しましょう。

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まとめ

不動産投資をおこなうと、団体信用生命保険に加入できるので、もしもの場合には借金なしで遺族に不動産を残すことができます。

残された家族には家賃収入が残るので、確かに不動産投資は生命保険の代わりになりますし、多くの場合で生命保険に加入するよりも保険料負担は安くなります。

ただし、家賃収入は生命保険の保険金のように遺族に残せる金額が確定していませんし、場合によっては家賃収入がない可能性もありますし、赤字になる可能性もあります。

確かに不動産投資は生命保険の代わりになりますが、不動産投資をしておけば、100%生命保険の代わりになるとは限りません。

不動産投資から生じる家賃収入で遺族の生活に問題はないか、慎重に検討し、必要であれば別途生命保険に加入することも検討しましょう。

参考:なぜ不動産投資は「生命保険の代わりになる」のか。その理由やリスクについて説明します【スマイティ】

参考:なぜ不動産投資が生命保険の代わりになるの?

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