不動産売却のチラシには物件の詳細以外にも物件周辺の情報などが記載されています。
本当に間違いないのかと思うこともあるかもしれません。
不動産のチラシには、買主に不利益が被ることのないよう規則が定められており、規則を守らなかった場合、不動産会社は監督官庁から処分を受けるケースがあります。
本記事では、不動産売却のチラシに隠されている真実について解説します。
また売主が、不動産売却を検討する場合に取るべき行動についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。
不動産売却のチラシは果たして本当なのか?
ポスティングされる不動産売却のチラシには、少し大げさなキャッチコピーを目にすることがあるかもしれません。
不動産会社の営業施策として書かれているケースもあるので、すべてが信頼できるとは限りません。
しかし、不動産物件の情報については正確に記載されています。
不動産売却のチラシがポスティングされている目的や理由について解説します。
また、不動産売却チラシの内容や、ポスティングを行う不動産会社の特徴、および不動産会社はどのようにして情報収集を行っているのかについても紹介します。
不動産売却のチラシの内容
不動産売却のチラシには通常、以下の事項が記載されています。
- 図面
- 物件周辺の情報
- 購入者のターゲット
図面
不動産会社のチラシには、まず、売却物件がどのようなものであるかの図面および面積や間取り等、関連するデータについて掲載されます。
物件周辺の情報
物件周辺の情報も、購入予定者にとっては気になるところです。
たとえ物件の間取りが気に入っても、購入予定者の中には周辺環境を重視する人もいるかもしれません。
掲載される周辺情報として駅・学校・病院・役所・買い物施設等、およびアクセス(徒歩〇分等)が記載されているのが一般的です。
購入者のターゲット
単身者向けやファミリー向け、二世帯向け等、購入者のターゲットも広告に掲載されています。
不動産売却のチラシがポスティングされる目的・理由とは?
不動産売却にチラシがポスティングされる目的や理由にはどのようなことがあるのでしょうか。
不動産会社の効率的な営業を図るため
チラシを使った営業は一見非効率に思えるかもしれません。
実は効率的な営業を行うために不動産会社はポスティングを行っています。
営業方法には、電話営業や店舗への飛び込み等があります。
しかし、チラシのポスティングを見て、相談等問い合わせをする不動産所有者は「売却したい」という明確な目的があるため、売却までスムーズな交渉が可能です。
売却・購入双方より手数料を手にするため
不動産会社の収入源は仲介手数料です。
売却物件を委託できると、売主・買主双方から仲介手数料を手にすることが可能です。
ちなみに、不動産手数料は、以下のように算出されます。
【不動産仲介手数料】
不動産取引額 | 仲介手数料の上限 |
---|---|
200万円以下の物件 | 5% |
200万円を超え、400万円以下の物件 | 4%+2万円 |
400万円を超える物件 | 3%+6万円 |
(別途消費税がかかります)
不動産売却チラシを入れる不動産会社の特徴
不動産売却チラシをポスティングする不動産会社の特徴として、地域に根づいていている不動産会社が多いです。
一般的に、不動産会社がポスティングするエリアに関しては、売却実績が豊富で、エリア内の不動産の相場に精通しているとされています。
買主からの購入相談を受けることが多く、真偽のほどはともかく、チラシに「当地区限定で不動産を探しているお客様がいます」といった文言を入れる傾向にあります。
不動産会社の情報収集方法
不動産会社は情報収集に関して、どのような手法で情報を入手しているのでしょうか。
次の3つの方法がありますので紹介します。
- 法務局の登記簿謄本より収集
- レインズによる検索
- 【番外】マンションの管理人経由
法務局の登記簿謄本より収集
不動産会社は、法務局の登記簿謄本を調べて情報収集しています。
法務局では、不動産登記簿に登記されている不動産に関する事項(所有者の氏名や住所、面積、権利関係等)が公開されています。
法務局で地番を指定することで、所有者の情報確認が可能です。
レインズによる検索
レインズ(REINS)とは、不動産流通標準情報システムのことです。
国土交通大臣より指定を受けた不動産流通機構が運営し、日本全国の不動産物件情報が登録されています。
また、過去の物件情報を参考にすることで、地域および物件の状態に応じた適正価格を導き出せます。
【番外】マンションの管理人からの聞き取り
あと、違法行為であるので番外にしていますが、所有不動産がマンションの場合、マンションの管理人からの聞き取りにより情報収集しているケースがあるといわれています。
不動産売却のチラシにおける規制について
意外に思うかもしれませんが、不動産売却のチラシには、規制があります。
不動産売却のチラシには、売主向けおよび買主向けのチラシの2種類あり、規制があるのは買主向けのチラシです。
売主向けのチラシには規制がない
売主向けのチラシとは、不動産会社が不動産の売却を検討している人を対象としたチラシです。
売却を考えている売主は、チラシを見て不動産会社に問い合わせを行います。
不動産会社は売却依頼を受けると、買い手を探すこととなり、売買が成立すると、売主・買主の双方から仲介手数料を得ることが可能となるメリットがあります。
売主向けのチラシは、売却を促す内容のチラシであるので、特段規制はありません。
買主向けのチラシには規制がある
不動産会社が買主に向けてのチラシには規制があります。
なぜなら、チラシにおける不動産情報が不足していたり、買主が事実誤認をしたりすると、買主が不利益を被る恐れがあるためです。
買主が不利益を受けないように、以下の法律で規制が設けられています。
- 宅地建物取引業法(宅建業法)
- 不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)
規制される具体例として、交通の利便性・各種施設までの距離または所要時間について、特定事項の明示義務について等があります。
(参考:不動産公正取引協議会連合会┆表示規約同施行規則 主な改正点)
もし違反した場合、不動産会社は国土交通省や消費者庁、または不動産公正取引協議会から処分を受け、信用が失墜してしまう恐れがあります。
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不動産売却を検討する場合にするべきこと
不動産売却を検討する場合、売主はどのような行動を取ればいいのかについて解説します。
売却相場をリサーチ
まず、売主自身が売却相場をリサーチすることをおすすめします。
売主が相場を把握していないと、安い価格で売却して泣きを見ることになりかねません。
売却相場をリサーチするには、以下の情報サイトを参考にすればいいでしょう。
- 不動産情報サイトホームフォーユー
- 土地総合情報システム
- レインズマーケットインフォメーション
不動産情報サイトホームフォーユー
不動産情報サイトホームフォーユーは、NTTデータ・スマートソーシングが運営する不動産の売却や購入、資産活用をサポートするサービスサイトです。
不動産専門サイトおよび不動産会社の比較サービスを中立の立場から提供しています。
土地総合情報システム
土地総合情報システムは、国土交通省の不動産情報サイトで、実際の成約事例の確認が可能です。
国土交通省が発表している公示価格なども検索可能です。
レインズマーケットインフォメーション
レインズマーケットインフォメーションは、国土交通大臣指定の不動産流通機構が管理および運営しているサイトです。
信頼性が高く安心して閲覧・検索できます。
いくつかの不動産会社に問い合わせ
不動産の売却を実際に検討する場合、複数の不動産会社に問い合わせをしてみましょう。
不動産会社は、これまで蓄積したデータや経験、および相場価格をもとに不動産査定を行います。
不動産がどのエリアに位置しているのかによっても不動産会社の査定が異なります。
売主が不動産会社1社だけで不動産価格を判断すると、売主の所有する不動産のエリアが、その不動産会社にとってたまたま取引実績の乏しいケースであるかもしれません。
いくつかの不動産会社に問い合わせ、所有不動産を査定してもらうことで、適正な不動産価格を把握できます。
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まとめ
不動産売却のチラシをポスティングする不動産会社の特徴として、地元に根付いた会社が多いです。
ポスティングにより、不動産会社は、本当に不動産売却を検討している顧客を獲得できると同時に、売主・買主双方から仲介手数料を得ることが可能です。
不動産売却のチラシには、規制があります。違反した場合、不動産会社は監督官庁等より処分を受けることになります。
ポスティングされる不動産売却のチラシのキャッチコピーに惑わされることがあるかもしれません。
しかし不動産売却チラシは、規制に従って作成されているため、不動産会社のキャッチコピーに左右されないことが大切です。
売主は不動産の売却を検討する場合、不動産価格の相場をつかむとともに、1社だけでなく、いくつかの不動産会社に問い合わせることが大切です。
不動産売却には事前準備が重要です。
後悔しない不動産売却に努めましょう。
参考:土地総合情報システム