「マンション購入は結婚してから」と考えている人も多いですが、最近は1人暮らしでマンション購入をする方も増えています。
しかし1人暮らしの場合は「どの程度の物件をどこに買えばいいか分からない」という方も多いのではないでしょうか?
1人暮らしのマンション選びはファミリーでのマンション選びとは異なります。
そのため、マンションを選ぶポイントをしっかりと理解して、後悔しない物件を選べるようになることが大切です。
1人暮らしの不動産購入、マンションの選び方や予算計画の立て方について詳しく解説していきます。
1人暮らしのマンション所有者の割合は12%〜17%
1人暮らしでもマンションを所有している人は少なくありません。
国土交通省住宅局の「令和3年度住宅市場動向調査報告書」によると、マンション所有者のうち、1人暮らしの割合は、中古マンションで17.3%、新築マンションで13.2%となっています。
マンション購入というと「結婚してから」「子供ができてから」などと考えている人も多いですが、実はマンション所有者のうち、6人〜7人に1人は1人暮らしです。
1人暮らしでもマンションを購入することは全く珍しいことではありません。
1人暮らしのマンションの間取り
1人暮らしの方がマンションを購入する際、40㎡程度の広さの物件がおすすめです。
国土交通省は「住生活基本計画」の中で、1人暮らしに最低限必要な家の面積は25㎡で、理想的な広さとして40㎡としています。
25㎡はワンルームくらいのマンションで狭いので、やはり1LDKから2LDKくらいのマンションを購入すれば、1人暮らしでもゆったりと生活できるでしょう。
また、30㎡未満のマンションは購入時の86%の価格でしか売却できていません。
30㎡以上のマンションであれば購入時と同じかそれ以上の価格で売却できる可能性もあるので、資産価値という観点からは30㎡以上のマンションを選ぶのがおすすめです。
1人暮らしのマンション選びのポイント
1人暮らしでマンションを選ぶ際には次の3つのポイントを意識して部屋や立地を選択しましょう。
- ライフスタイルに合っているか
- 1人暮らしに役立つ設備があるか
- 価値が下がりにくい物件か
1人暮らしの方がマンションを選ぶ3つのポイントをご紹介していきます。
ライフスタイルに合っているか
マンションの立地がライフスタイルに合っているかどうかは、そこで生活するにあたって非常に重要です。
- 仕事をしている方:職場への距離
- 料理をしない方:飲食店やコンビニが近くにあるか
- 料理をする方:スーパーが近くにあるか
- 静かな環境を好む方:子供があまり居住していない物件
ご自身のライフスタイルに合わせて、これらの観点から自分にあった物件を選択しましょう。
なお、東京都の平均通勤距離は10kmと言われています。
通勤に便利な場所にマンションを買いたいのであれば、職場から10km圏内のマンションを選択しましょう。
参考:平均の通勤距離はどのくらい? 交通アクセスの利便性から土地を選ぶときのポイント
1人暮らしに役立つ設備があるか
マンションに1人暮らしに役立つ設備があるかどうかも重要な観点です。
次のような設備があると1人暮らしにはとても便利で安心です。
- 24時間ゴミ出し可能
- 宅配ボックス
- オートロック
- 防犯カメラ
とくに「24時間ゴミ出し可能」や「宅配ボックス」は、日中家を留守にすることが多い1人暮らしの方には非常に便利です。
価値が下がりにくい物件か
1人暮らしの方がマンションを購入しても、将来的に結婚などをすれば住み替えも検討しなければなりません。
将来売却することも考慮した上で、売却時に価値が下がりにくい物件かどうかもマンション選びの重要なポイントです。
価値が下がりにくい物件の特徴は以下の通りです。
- 駅徒歩10分以内
- 広さ30㎡以上
- 災害リスクの低いエリア
- 築12年未満
- 管理状態が良好
国土交通省の「不動産取引価格情報(令和2年)」によると、駅徒歩1〜5分の物件の価格を100%とした場合の売却価格の割合は次のようになっています。
- 6〜10分:約96%
- 11〜15分:約86%
- 16分以上:約73%
駅から10分超になると、急激に売却価格は下がっていきますので、駅徒歩10分以内の物件を購入しておけば売却時の値崩れを防げます。
また、ハザードマップで災害の可能性が高いエリアも避けましょう。
建物の築年数が12年未満の物件を選べば、35年ローンを借りることが可能です。
鉄筋コンクリートのマンションの耐用年数は47年です。
築12年未満のマンションであれば、残りの耐用年数が35年以上あるため(47年–12年=35年)、35年ローンを借りられます。
さらに共用部分や外壁の状態などを確認し、管理状態が良好物件を選びましょう。
管理状態が悪い物件を選択すると、建物全体で価値が下落していきますし、修繕積立金が高額になることがあります。
物件を確認し、共用部分の管理が行き届いている物件を選択しましょう。
オススメ記事
マンション売却に必要な費用は?手数料や税金などかかる費用を一挙公開
マンションを売却するときにはさまざまな費用がかかり、その額はおおよそマンション売却額の5%から7%だと言われています。本記事ではその費用の内訳だけでなく、費用を抑えるポイントについてもまとめていきますので、マンション売却を検討している人はぜひ参考にしてみてください。
1人暮らしのマンション購入に必要な予算
マンションを購入する際の予算は年収から逆算して決めるのがポイントです。
無理のないマンション価格の決め方を解説していきます。
年収350万円以上が必要
マンションを購入したいのであれば、年収350万円以上ないと借入が難しくなるでしょう。
フラット35の「2022年度フラット35利用者調査」では、年収の何倍のローンを借りているのかの調査では、中古マンションで5.9倍、新築マンションで7.2倍という結果となりました。
住宅ローンの借入可能額は年収の5倍〜7倍程度と理解しておけばよいでしょう。
年収が350万円あれば、1,750万〜2,450万円が借入限度額です。
それよりも年収が低いと、購入できる物件が非常に限られてくるため、住宅を購入したいのであれば「年収350万円以上」が1つの目安になると理解しておきましょう。
購入するマンション価格は年収から逆算する
「自分はいくらのマンションを買えばいいんだろう」と考えている方は、年収から購入するマンションの価格を逆算するのがおすすめです。
借入可能額は年収の5倍〜7倍程度ですので、年収別の借入可能額は以下のようになります。
年収 | 借入可能額 |
---|---|
350万円 | 1,750万~2,450万円 |
400万円 | 2,000万~2,800万円 |
500万円 | 2,500万~3500万円 |
600万円 | 3,000万~4,200万円 |
700万円 | 3,500万~4,900万円 |
ここに頭金を加えた金額が、年収から見て購入可能な物件の金額になります。
無理のない返済計画を立てるため、まずは年収から適正な予算を検討していきましょう。
オススメ記事
不動産売買の契約不適合責任とは?~瑕疵担保責任との違いなど売主が知っておくべき点をわかりやすく解説
不動産の売却、特に築年数が経過した古い建物付きで売却するときは、売主は契約不適合責任という課題が発生します。そこで今回は「不動産売買の契約不適合責任とは?」と題して解説していきます。
1人暮らしでマンションを所有するメリット
1人暮らしでマンションを所有することは、賃貸住宅に居住することと比較して次のようなメリットがあります。
- 資産形成ができる
- 老後の住居を確保できる
- 投資に回せる
- 賃貸よりもグレードが高い
1人暮らしでマンションを所有する4つのメリットについて詳しく解説していきます。
資産形成ができる
マンションは売買や賃貸として活用できる資産です。
賃貸住宅に居住して家賃を支払うことは、他人の資産を借りるための賃料を払うことになります。
一方、マンションを購入するためのローンを支払うことは自分の資産を形成することです。
不動産という資産を形成できるのは、マンション購入のメリットです。
老後の住居を確保できる
若いうちからマンションを購入しておくことによって、老後に暮らす住居を確保できます。
少ない年金収入から家賃を支払っていくことは大変で、今後はさらに年金が減らさせていくことが懸念されています。
マンションを購入しておき、老後までにローンの返済を終えておけば、老後は住居の心配をすることなく、安心した生活を送れるでしょう。
投資に回せる
購入したマンションは資産ですので、自由に活用できます。
転勤などで居住できなくなったときは、賃貸に回すことで副収入を確保できます。
また、不動産市況が好調であれば売却することで利益を得られる可能性もあります。
購入したマンションは居住用として使用せずとも、投資できる資産として活躍できるのもメリットです。
賃貸よりもグレードが高い
分譲マンションは賃貸用物件よりも、部屋の内装や設備や共用部分のクオリティなどのグレードが高い傾向にあります。
家賃を支払うのと同じ金額のローンを払った方が、居住空間のグレードが上がるのはマンション購入のメリットです。
オススメ記事
簡単に自動計算!【土地編】売却の仲介手数料はいくら?相場や無料の仕組み、値引きポイントを解説
この記事では、土地の売却方法に焦点をあてながら、不動産売却時にかかる仲介手数料について解説していきます。合わせて自動計算ツールもご紹介しますので、大まかな仲介手数料を把握したい人はぜひこちらもご利用ください。
1人暮らしでマンションを所有するデメリット
1人暮らしの方がマンションを所有する際には以下の4つのデメリットには注意してください。
- ローンの負担が生じる
- 住宅補助を受けられない場合がある
- 転居が難しい
- 維持費が発生する
マンションを所有することで、むしろ金銭的な負担が大きくなり、住宅補助などを受けられないこともあるので注意しなければなりません。
マンションを所有することの4つのデメリットを解説していきます。
ローンの負担が生じる
ほとんどの方が住宅ローンを組んでマンションを購入します。
そのため、ローンの返済義務が発生します。
ローンを返済できないと、信用情報に傷がつき、最悪のケースとして、マンションが差押えられる可能性があります。
賃貸住宅であれば、家賃の支払いが苦しい場合はランクの低い物件へ引っ越すことで簡単に負担の軽減が可能です。
しかし、マンションの場合は完済になるまで、マンションの決められた返済額を支払っていかなければなりません。
賃貸住宅よりも支払いに縛られるのはマンション投資のデメリットです。
住宅補助を受けられない場合がある
マンションを購入してしまうと会社から住宅補助を受けられなくなる可能性があります。
従業員の福利厚生を目的として、住宅補助として家賃の何割かを補助している会社は多数あります。
しかし、これらのほとんどが、賃貸住宅の家賃を補助するもので、ローン返済の補助は行っていません。
賃貸住宅からマンション所有へ切り替えたことによって、実質的な自己負担分が増えてしまうことは多いので十分注意してください。
転居が難しい
マンションを所有すると簡単に転居できなくなります。
「気分を変えたい」「隣人と離れたい」このような事情で「引っ越したいな」と考えても、所有するマンションを売却できない限りは引っ越すことはできません。
また結婚などを機により広い住宅へ引っ越したいと考える場合も同様です。
賃貸住宅のように、気軽に転居することができなくなるため、慎重に検討した上でマンションを購入しましょう。
維持費が発生する
マンションを所有すると維持費が発生します。
- 固定資産税
- 修繕積立金
- 損害保険料
これらの費用は、マンションの所有者が負担しなければならない費用です。
賃貸住宅に居住している場合は、これらの費用はかかりません。
ローンの返済に加えて、これらの維持費も発生するので、マンションを購入した方が賃貸住宅に居住するよりも年間の維持費は高額になる可能性もあります。
オススメ記事
不動産売却で損をしないために!仲介業者選びのポイントと注意点
「不動産をなるべく高値で売りたい」「対応のいい仲介業者にお願いしたい」そんな思いは抱いているものの、具体的にどの仲介業者にお願いすれば希望通りの取引ができるのか悩んでいるという声を多く聞きます。本記事では不動産売却に関して自分に合った仲介業者を選ぶポイントをまとめていきましたので、不動産売却の成功へぜひご活用ください。
まとめ
マンション所有者のうち、12%〜17%程度の人は1人暮らしです。
そのため、1人暮らしの人がマンションを所有することは全く珍しいことではありません。
マンション購入は、住居費の支払いと資産形成を同時におこなえるのがメリットですが、転居が難しくなり、維持費も決して安くなりません。
メリットとデメリットをしっかり理解した上で投資することが重要です。
また、物件の立地は自分のライフスタイルに合ったものであると同時に、できる限り資産価値を維持できる物件を選択しましょう。
「どの物件が欲しいか」を決める前に「自分の年収からいくらの物件なら購入できるか」と考えることが重要です。
ご自身の年収の7倍が住宅ローン借入限度額ですので、まずは無理のない予算を立ててみましょう。