不動産を売却したときの確定申告に必要になる書類一覧。入手方法もあわせてご紹介

  不動産を売却したときの確定申告に必要になる書類一覧。入手方法もあわせてご紹介

不動産を売却をした際に基本的に必要となる手続きが確定申告です。この記事ではそんな確定申告に必要な書類一覧と、それぞれの書類の解説をしていきます。間違いなく無駄ならない知識ですので、ぜひ最後までご覧ください。

手塚 大輔
【執筆・監修】手塚 大輔

地方銀行に10年弱勤務した後、現在は飲食店を起業しており、プロのライターとしてもSEO記事、コピーライティングなどを行なっております。 銀行では、預金業務、カードローン、住宅ローン、企業の運転資金、設備資金、起業開業支援、保険販売、投資信託販売などの他、企業の決算書の審査など経験。

【保有資格】ファイナンシャルプランナー

目次

不動産を売却したあとは基本的に確定申告をしなければなりません。

しかし会社員の方の中には「確定申告なんてしたこともない」という方も多いのではないでしょうか?

確定申告にはいくつか書類が必要になります。

この記事では確定申告の際に必要な書類と、売却益に対して控除を受ける際に必要になる書類について詳しく解説していきます。

確定申告には期日がありますので、期日に間に合うよう必要な書類をしっかりと把握しておくようにしてください。

不動産の売却に確定申告が必要なケース

不動産を売却したあとは、確定申告が必ず必要になるケースと、確定申告が義務ではないケースに分かれます。
不動産売却後に確定申告が必要になるケースはどのような場合なのか、詳しく見ていきましょう。

確定申告しなければならないケース

不動産を売却した後に確定申告をしなければならないケースは、不動産の売却によって譲渡所得(利益)が出たケースです。

不動産の譲渡所得は次のように計算します。

譲渡所得 = 売却金額−(取得費 + 譲渡費用)

なお、譲渡費用には次のような費用が含まれます。

  • ・土地や建物を売るために支払った仲介手数料
  • ・印紙税で売主が負担したもの
  • ・貸家を売るため、借家人に家屋を明け渡してもらうときに支払う立退料
  • ・土地などを売るためにその上の建物を取り壊したときの取壊し費用とその建物の損失額
  • ・既に売買契約を締結している資産をさらに有利な条件で売るために支払った違約金
  • ・借地権を売るときに地主の承諾をもらうために支払った名義書換料など

引用:国税庁|No.3255 譲渡費用となるもの

売却代金から経費を控除して利益が出た場合には、譲渡所得が発生し、そこには以下の税金か課税されます。

所有期間 5年以下 5年超 10年超
所有軽減税率の特例
居住用 39.63%
(所得税30.63%
住民税 9%)
20.315%
(所得税15.315%
住民税 5%)
①課税譲渡所得6,000万円以下の部分
14.21%
(所得税10.21%
住民税4%)
②課税譲渡所得6,000万円超の部分
20.315%
(所得税15.315%
住民税5%)
非居住用 39.63%
(所得税30.63%
住民税 9%)
20.315%
(所得税15.315%
住民税 5%)
20.315%
(所得税15.315%
住民税 5%)

この税金は売却時に源泉徴収されるわけではないので、自分で確定申告を行い納税をする必要があります。

確定申告が義務ではないケース

確定申告は所得を申告して納税するものですので、不動産の売却によって利益が出ていないのであれば、必ずしも確定申告を行う必要はありません。

ただし、売却によって損失が出た場合には、その損失を他の所得と相殺して税金の還付を受けたり、損失を翌年以降に繰り越す場合には確定申告は必要です。

譲渡損が出た場合には、確定申告をしておいた方がメリットがあります。

義務ではありませんが、不動産を売却したあとは、損失が出たとしても確定申告を行うものと理解しておきましょう。

確定申告に必要な書類

確定申告には次のような書類が必要です。

  • 確定申告書第一表・第二表
  • 確定申告書第三表(分離課税用)
  • 譲渡所得の内訳書
  • 不動産購入時の売買契約書のコピー
  • 不動産の取得にかかった費用の領収書のコピー
  • 不動産売却時の売買契約書のコピー
  • 不動産の譲渡費用がわかる領収書のコピー
  • 登記事項証明書
  • 本人確認書類
  • 源泉徴収票

それぞれの書類の意味や、記入や取得の際の注意点について詳しく解説していきます。

確定申告書第一表・第二表

税務署や国税庁のホームページなどで簡単に入手できます。

確定申告書第一表・第二表には、全ての所得を記入し、項目ごと所得税を計算して、表を埋め、最終的な納税額を算出する用紙です。

確定申告書第三表(分離課税用)

こちらも、税務署や国税庁ホームページで簡単に入手できます。

こちらも納税額を計算する用紙ですが、不動産譲渡所得は他の所得と合算することができない分離課税なので、別途「確定申告書第三表」で税金を計算しなければなりません。

譲渡所得の内訳書

売却した不動産の内訳を記載する用紙です。
不動産を売却した後に国税庁から郵送されますが、税務署や国税庁のホームページでも入手することができます。

不動産購入時の売買契約書のコピー

売却した不動産を購入した際に、売り手と締結した売買契約書のコピーを提出する必要があります。
これは、不動産の取得金額を知るためです。
もしも紛失した場合には、取得金額が低くなってしまう可能性があるので、手元にない場合には不動産会社や売主などへ写しをもらえないか確認することも検討しましょう。

不動産の取得にかかった費用の領収書のコピー

不動産の取得費用を算出するために、不動産購入時に支払った費用の領収書の写しを用意しておきましょう。

具体的には次のような費用の領収書です。

不動産購入時の売買契約書のコピー

売却した不動産を購入した際に、売り手と締結した売買契約書のコピーを提出する必要があります。
これは、不動産の取得金額を知るためです。
もしも紛失した場合には、取得金額が低くなってしまう可能性があるので、手元にない場合には不動産会社や売主などへ写しをもらえないか確認することも検討しましょう。

不動産の取得にかかった費用の領収書のコピー

不動産の取得費用を算出するために、不動産購入時に支払った費用の領収書の写しを用意しておきましょう。

具体的には次のような費用の領収書です。

  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 登記費用
  • 不動産取得税
  • 測量費用

これらの領収書がないと費用が少なくなり、譲渡所得が大きくなってしまうリスクがあります。

少しでも多くの取得費用の領収書を用意しておきましょう。

不動産売却時の売買契約書のコピー

不動産を売却した際の売買契約書の写しも必要です。

こちらはいくらで売却したのかを証明するために必要です。

不動産の譲渡費用がわかる領収書のコピー

不動産を売却した際の費用の領収書の写しも提出しましょう。

こちらは譲渡費用を算出するためです。

仲介手数料や収入印紙代など、売却の際に支払った代金の領収書は基本的に取っておきましょう。

登記事項証明書

登記事項証明書とは、不動産の所有者や抵当権などの権利が全て記載された、いわゆる「不動産登記簿謄本」です。

法務局で入手できます。

不動産の所有者や抵当権の有無などの権利関係を把握するために必要な書類になります。

本人確認書類

確定申告の際には本人確認書類が必要です。

マイナンバーカードがあれば1枚で完結しますし、マイナンバーカードがないのであれば運転免許証などの本人確認書類と、マイナンバー通知書などのマイナンバーが確認できる書類の提出が必要です。

源泉徴収票

給料などを受け取っている場合には、源泉徴収票が必要です。

以前は確定申告時には提出が必須でしたが、現在は提出の必要はありません。

不動産所得と給与所得と合算する場合、または給与所得から不動産譲渡損失を相殺する場合に、正しい所得を計算するために手元に用意しておきましょう。

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不動産売却時に控除を受けるために必要な書類

不動産売却を行った際には、次のようなさまざまな控除を受けることができます。

  • マイホームを売ったときの特例(3,000万円特別控除)
  • 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(相続空き家の3,000万円特別控除)
  • マイホームを売ったときの軽減税率の特例(10年超所有の軽減税率)
  • 特定のマイホームを買い換えたときの特例
  • マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • 特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
  • 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算の特例)

それぞれの控除を受けるために用意すべき書類について詳しく見ていきましょう。

マイホームを売ったときの特例(3,000万円特別控除)

マイホームを売却した際には、譲渡所得から3,000万円の控除を受けることができます。
この控除を利用する場合には、住所を証明できるもの(戸籍の附票の写しなど)の提出が必要です。

被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例(相続空き家の3,000万円特別控除)

相続した空き家を売却した際にも、譲渡所得から3,000万円の控除を受けることができます。

この控除を利用する際には次のような書類を用意しておきましょう。

  • 売却した不動産の登記事項証明書
  • 被相続人居住用家屋等確認書
  • 耐震基準適合証明書または建設住宅性能評価書の写し

マイホームを売ったときの軽減税率の特例(10年超所有の軽減税率)

10年超所有したマイホームを売却した際に、3,000万円の控除を利用しても所得が出る場合には、税金が軽減されるという特例です
この特例を利用するためには、確かにマイホームとして居住していたことを証明するために、住所を証明できるもの(戸籍の附票の写しなど)や登記事項証明書を用意する必要があります。

特定のマイホームを買い換えたときの特例

マイホームの買い換えを行い、譲渡所得が発生した場合、譲渡所得に課税される譲渡所得税を次に自宅を売却する際まで繰り延べることができるというものです。

特例の適用を受けるには登記事項証明書の他に次の書類が必要です。

  • 住所を証明できるもの(戸籍の附票の写しなど)
  • 売買契約書の写しなど(譲渡金額の証明書類)
  • 買い換えた不動産の登記事項証明書または売買契約書の写し
  • 耐震基準適合証明書、建設住宅性能評価書の写しまたは既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証明する書類

マイホームを買い換えた場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

マイホームを買い換えた場合に損失が出た際、損失を他の所得と損益通算し、相殺しきれなかった損失は翌年以降3年間に繰り越すことができるというものです。

必要な書類は次の通りです。

  • 居住用財産の譲渡損失の金額の明細書《確定申告書付表》
  • 居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
  • 売却する家の登記事項証明書や売買契約書の写し
  • 新居の登記事項証明書や売買契約書の写し
  • 年末時点の住宅ローン残高証明書
  • 住所を証明できるもの(戸籍の附票の写しなど)

特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

住宅ローンがあるマイホームを売却して住宅ローンの残高よりも低い価格で売却して損失が出た場合に他の所得と損益通算したり、損益通算しきれなかった損失は翌年以降3年間に繰り越すことができる制度です。

主に必要な書類は次の通りです。

  • 特定居住用財産の譲渡損失の金額の明細書
  • 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の対象となる金額の計算書
  • 所有期間を証明する書類(売買契約書など)
  • 売却した自宅の住宅ローン残高証明書
  • 住所を証明できるもの(戸籍の附票の写しなど)

相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算の特例)

相続開始から3年10ヶ月以内に相続財産を売却すると、相続税のうち一定金額を取得費に加算できるというものです。

取得費が大きくなるので譲渡所得を圧縮することができます。

本制度を利用するには「相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書」が必要になります。

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不動産売却時の確定申告の流れ

不動産を売却した際に確定申告をする流れは次の通りです。

  1. 譲渡所得の内訳書を記載する
  2. 売買契約書や譲渡費用の領収書など必要書類を集めておく
  3. 確定申告書を記入する
  4. 税務署・郵送・e-Taxで申告する
  5. 税金を納付または還付を受ける

確定申告前に、内訳書を記入し、必要書類を集めておくことで、確定申告をスムーズに進めることができるので、あらかじめ漏れのないよう、しっかりと書類を集めておきましょう。

不動産売却時の確定申告での注意点

不動産を売却した際に確定申告を行う際には次の点に注意しましょう。

  • 確定申告を忘れてしまうと罰則がある
  • 確定申告後の納税の流れ
  • 所得税と住民税の違い
  • 住民税の払い方

確定申告には期日があり、それぞれの税金の違いや払い方についても理解をしておくことが重要です。

不動産を売却する際に、確定申告をするときの注意点について解説していきます。

確定申告を忘れてしまうと罰則がある

確定申告は前年の所得を翌年の3月15日までに行わなければなりません。

この期日をすぎてしまうと罰則があるので注意してください。

特に申告して納付すべき税金があるのに納付しなかった場合には、本来収めるべき税金に加えて「無申告加算税」というペナルティが課される可能性があります。

無申告加算税は納付する税額のうち50万円までは10%の税率、50万円を超えた部分は15%の税率で計算します。

なお、税務署から指摘される前に自分で申告した場合には、5%の税率が適用されるので、確定申告を忘れた場合には早めに申告するようにしてください。

確定申告後の納税の流れ

確定申告後はすぐに税金を納めなければなりません。

しかし税金は税務署で収めることはできないので、次のような方法で納める必要があります。

  1. 銀行口座から納税額が引き落とされる振替納税制度
  2. 電子納税でインターネットから支払い
  3. クレジットカードなら分割やリボ払いが選択できる
  4. 銀行で支払い

税金は3月15日が納付期限ですので、期限ギリギリに納税する場合には、銀行で支払うしか方法がないので注意してください。

所得税と住民税の違い

不動産譲渡所得に対して課税されるのは所得税だけではありません。

所得に対しては住民税も課税されます。

例えば、居住用の所有期間5年以下の不動産を売却した場合には所得税30.63%と住民税 9%が課税されます。

所得税は確定申告後すぐに支払いをしなければなりませんが、住民税は他の所得と合算した金額からお住まいの自治体が税額を計算して後日支払いが必要になります。

給料から天引きされる支払方法が特別徴収で、納付書から自分で支払う方法が普通徴収になります。

会社員の場合には特別徴収されるので、会社の給料から住民税は天引きされるのが一般的です。

不動産売却には所得税の他に住民税が課税され、それぞれ支払い方法が異なるという点にも注意しましょう。

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まとめ

不動産を売却すると確定申告が必要になります。

譲渡によって所得が出た場合には譲渡所得税が課税されるので、確定申告は必ず必要になります。

また、損失が出た場合は、損失を所得と相殺したり、翌年以降に繰り越すことで、税金の還付を受けられる場合があります。

確定申告に必要な書類はそれなりに多いですが、基本的には売買契約書や取得費や譲渡費用の領収書さえ用意しておけば、それほど難しくはありません。

必要な書類と手続きを把握して漏れのないように手続きを進めましょう。

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