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不動産を売却する時、手続きには司法書士を利用するのが一般的です。
不動産売却時には複雑な手続きや書類のやり取りも多く、これを代わりに行うのが司法書士です。そして、利用するなら当然手数料が発生します。
せっかく土地を売却できても、手数料を差し引くと実際の利益は小さくなるため、できるだけ費用はかけたくないと考える人は多いでしょう。
司法書士はなんとなく利用するものとイメージする人が多く、実際に何をするのか?は詳しく知られていません。
今回の記事では、不動産売却時に司法書士は何をするのか、依頼するときの費用の相場などを詳しく解説します。また、司法書士の必要性も確認していきましょう。
不動産売却で必要になる主な登記とその役割
不動産売却時には登記の移転が必須であり、これを代行して行うのが、司法書士の役割です。
登記とは、「登記簿謄本」に情報を記載することで土地や建物の持ち主をはっきりさせることを言います。
この登記簿謄本には物件そのものの情報だけでなく、権利や所有者についてなどの内容が記載されており、売却での登記手続きもいろいろなケースがあります。
登記の移転は法律上、売主と買主の手続きを同時に行わなければなりません。しかし、それぞれにも都合があるため、一緒に申請することは難しく、手間もかかります。
そのため、お互いの合意を受けて司法書士が手続きを行います。
まずは不動産売却における主な登記について、確認しましょう。
所有権移転登記
不動産の売却を行うときは、持ち主が売主から買主に移りますので、これを公に示すために「所有権移転登記」が必要です。
仮に所有権の移転登記が行われないと、所有権を主張する第三者に対抗することができません。
これをわかりやすく、土地の売買で考えてみます。
事例
- 土地の所有者であるAは、所有している土地をBへ売却し、BはAへ3,000万円の代金を支払いました。
しかし、その後Aは同じ土地をCへ5,000万円で売却し、土地の所有権登記をCへ移転してしまいました。
この場合、土地の所有権はどちらが取得するのかというと、登記を先に済ませたCが取得します。登記を持たないBは第三者であるCに対して「出ていけ」と対抗することができないのです。
このようなケースを二重譲渡と言います。
このようなリスクを避けるため、代金を支払い所有権が移った場合、必ず登記手続きが必要なのです。
なお、この所有権移転登記は不動産売買だけでなく、相続や贈与によって持ち主が変わる場合にも行います。
抵当権抹消登記
住宅ローンを組む時は、購入不動産を担保に入れる抵当権設定登記をします。
不動産を売却する時は売却代金でローンを完済しますが、完済しても自動的に抵当権がはずれるわけではないので、そこで、抵当権を抹消する手続き(=登記)をしなくてはなりません。
抵当権付きの不動産であっても自由に売買できますし、売ってはいけないという決まりはありません。
しかし、基本的には抵当権を抹消後の売却、もしくは売却と当時に抹消することが一般的です。
もし抵当権の抹消登記をしていないとローンを返済したことにはならないため、こちらも重要な登記手続きとなります。
不動産売却時の司法書士の役割と登記費用
不動産を売却するときは、わざわざ高額の報酬を支払って司法書士に登記依頼をします。
その理由は、彼らは登記変更だけでなく、不動産会社が作成した書類が偽造されたものかどうかなどもチェックしているからです。
不動産売却は依頼者と仲介業者の担当者2人の話し合いで進められますが、依頼者は素人、業者はプロなので、最もらしいことを言えば簡単に騙すことができます。
つまり、司法書士に依頼すれば詐欺被害にあう確率も格段に減るということです。
また、自分の時間と労力を節約できるというのも、司法書士に依頼するメリットです。
では次になぜ、登記が必要なのでしょうか。
ものを売るには売り手がその所有者でなければいけません。
これは不動産も同様ですが、不動産の所有者が誰かというのは住んでいる本人さえ勘違いしていることが多いです。
たとえば、賃貸不動産の場合、住んでいる人と所有者とは別ですよね。
このように、不動産の所有者は一見すると誰だかわからないので、「登記簿に登録されている人が所有者」とルールを定めることで、所有者以外が勝手に不動産を処分するのを防止しているのです。
不動産を売却する時の司法書士の仕事としては、主に以下の3つがあります。
- 抵当権抹消登記
- 住所変更、氏名変更登記
- 相続登記
抵当権抹消登記
抵当権抹消登記とは、売主が購入当時等に利用したローンに設定されている「抵当権」を外す登記のことです。通常は売買と同時に物件から抵当権を外します。
登録免許税:不動産1個につき1,000円
(土地と建物の両方に抵当権が設定されている場合は2,000円)
司法書士手数料:10,000円〜15,000円程度
なお、抵当権抹消登記に必要な「弁済証書」や「解除証書」「抹消登記委任状」等の書類は金融機関が用意します。
住所変更・氏名変更登記
住所変更登記・氏名変更登記は、住所や氏名を現時点のものに変更する手続きです。
売買契約は、登記上の住所・氏名が現在のものと異なっていると締結ができません。
このため、家を購入した時点の当時の住所で登記していた場合や婚姻前の旧姓で登記していた場合には、住所変更登記・氏名変更登記を行います。
令和3年4月に不動産登記法が改正され、住所・氏名変更登記が義務化されることになりました。実際に法律の効力が生じる日(施行日)は「公布後5年以内」となっているため、令和8年4月までに施行される予定です。
そのため、抵当権抹消登記や売買・贈与等による所有権移転登記をする場合には、その前提として所有権登記名義人の住所や氏名の変更登記が必要になります。
住所変更登記、氏名変更登記それぞれの必要書類および登記費用については下記で確認しておきましょう。
住所変更登記の必要書類
- 住民票または戸籍の附票(現在の住所と登記簿の所有者住所との関係性がわかるもの)
- 住居表示実施または町名地番変更等の場合は、自治体発行の当該証明書
- 依頼者(所有者)の運転免許証等身分証明書(住所・氏名・生年月日の記載があるもの)
- 司法書士への登記委任状
住所変更登記費用
- 登録免許税
- 不動産の個数×1,000円
- 司法書士報酬
- 10,000円~20,000円(税抜)
- 郵送料、交通費等(実費)
- その他登記簿閲覧および登記簿謄本取得実費
氏名変更登記の必要書類
- 戸籍謄本および住民票(本籍の記載あるもの)
- 依頼者(所有者)の運転免許証等の身分証明書(住所・氏名・生年月日の記載があるもの)
- 司法書士への登記委任状
氏名変更登記費用
- 登録免許税
- 不動産の個数×1,000円
- 司法書士報酬
- 10,000円~15,000円(税抜)
- 郵送料、交通費等(実費)
- その他登記簿閲覧および登記簿謄本取得実費
相続登記
不動産の相続による所有権移転登記手続きについて、手続きの流れ・必要書類・費用等について解説します。
これまで、不動産の相続登記は義務ではありませんでしたが、令和3年に法律の改正がありました。
令和6年4月1日から相続登記を3年以内に行うことが義務付けられています(令和6年4月1日より前に開始した相続にも適用されます)。
相続登記の登記費用
- 登録免許税
- 固定資産評価額×0.4%
- 司法書士報酬
- ①登記1件につき40,000円~(税抜)
- ②遺産分割協議書作成 10,000円~(税抜)
- 郵送料、交通費等(実費)
- その他登記簿閲覧および登記簿謄本取得実費
- 書類収集等実費(下記書類等取得の際、役所等に支払います)
- 登記簿謄本、登記簿閲覧、固定資産評価証明書、戸籍・除籍・原戸籍謄本、住民票、附票等
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不動産購入時の司法書士の役割と登記費用
不動産の購入時に買主が負担する登記費用としては、以下の2つが挙げられます。
- 所有権移転登記
- 抵当権設定登記
所有権移転登記
不動産の売買時には、売主と買主が共同で所有権移転登記を行います。
実際には、売主と買主の引渡しの場に司法書士が立ち合い、決済(代金の支払い)を見届けたあと、代理で移転登記を行う場合がほとんどです。
タイミングとしては、売買契約締結の約1〜2か月後の引渡し日に、移転登記の手続きを行うのが一般的。
また、買主が住宅ローンを利用する場合は、ローンを借り入れる銀行で決済を行うことが多いです。
所有権移転登記費用
- 所有権移転登記の登録免許税
- 土地 固定資産税評価額×1.5%
- 建物 固定資産税評価額×2%
- (ただし、建物については買主の居住用建物で一定の要件を満たす場合は0.3%)
- 司法書士報酬
- 売買契約書等作成 50,000円~(税別)
- 所有権移転登記申請代理 40,000円~(税別)
- 日当、旅費、通信費等(実費)
- その他書類収集等実費
抵当権設定登記
住宅ローンで不動産を購入する場合、金融機関は借主がローンを返済できなくなった際に備えて、その不動産に抵当権を設定します。
たとえば、借主がローンの返済ができなくなった場合、抵当権が設定された不動産は金融機関によって競売にかけられ、その売却代金は強制的にローンの返済に充当されることになります。
つまり、抵当権を設定することによって、金融機関は貸し出した資金を確実に回収でき、いわゆる「貸し倒れ」を回避できるというわけです。
住宅ローンで不動産を購入した場合は、その不動産に抵当権が付いていることを公にするための手続きとして、法務局(登記所)で「抵当権設定登記」を行わねばなりません。
抵当権設定登記の登記費用
抵当権設定登記にかかる費用は、登録免許税(登記料)と司法書士等に支払う報酬などで、具体的な金額の目安は、それぞれ次のとおりです。
- 抵当権設定登記にかかる登録免許税額 = 住宅ローンの借入額✕0.4%
- 司法書士報酬
- 抵当権設定登記 25,000円〜
- 日当、旅費、通信費等(実費)
- その他書類収集等実費
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不動産売買時に司法書士に提出する書類と依頼の流れ
これまで記述したように、登記手続きは司法書士に依頼をすれば一任できますが、以下の書類は売主本人が準備する必要があるので注意しましょう。
- 登記識別情報
- 委任状
- 住民票
- 印鑑証明書
- 固定資産税評価証明書
- 本人確認書類(運転免許証・パスポートなど)
- 抵当権抹消書類
司法書士に登記を依頼するには委任状が必要
司法書士に登記を依頼するということは、「第三者に代理人になってもらい手続きをする」ことになります。
司法書士は代理人なので、代理人の委任状が必要です。
こちらは司法書士自身が作成して保管してあるので、依頼時には押印するだけのケースが多いです。
上述の必要書類を司法書士に渡したら、司法書士が登記の変更をおこないます。
登記変更の実施は、引渡し当日に行われるのが一般的です。
引渡し・決済は、銀行の一室などに売主・買主と双方の仲介業者、司法書士、銀行の担当者が同席して進められます。
司法書士に依頼する場合の不動産売買の流れ
当日の基本的な流れは、以下の通りです。
- 本人確認・書類の確認
- ローン融資を買い手がおこなう
- 税金などの精算
- 売り手から買い手へ領収書の発行
- 仲介手数料の支払い
- 司法書士への報酬支払い
- 売り手のローン返済手続き
- 住所変更登記・抵当権の抹消登記完了
- 鍵や重要事項説明書などの引き渡し
まず売主は、受け取った代金から仲介手数料と司法書士への報酬を支払います。
その後、残った代金でローンを一括完済したら、司法書士は書類を持って税務署に向かいます。
そこで住所変更登記・抵当権の抹消登記を完了させてくれるので、その後カギ等を引き渡して完了です。
また、決済・引き渡しは銀行の営業日である平日午前中に1時間程度でおこなわれるのが一般的です。
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司法書士への手数料を安くする方法
自分で窓口に行き手続きをする
司法書士は不動産売買時の登記申請の代行を業務としていますが、登記自体は資格の有無に関係なく行うことができ、個人で登記することも可能です。
司法書士に依頼すると代行手数料が発生しますが、自分で行う場合には当然費用はかかりません。
不動産売却時の費用を少しでも削減したいなら、自身で登記移転を行い、司法書士を利用せずに土地を売却することも可能です。
ただし、前述したとおり不動産売却時の司法書士の役割としては、偽造や詐欺を防ぐことです。ある程度不動産に関して知識がある方や、一度司法書士へ依頼してひととおり売却を行った方などでない限り、自力で行うのは難しいでしょう。
安くしてくれる司法書士を探す
上記のように、登記は司法書士に依頼せず、個人で行うことも可能ですが、手続きが煩雑で非常に手間がかかります。
司法書士の手数料を節約したい場合は、より安くしてくれる司法書士を探してみましょう。
司法書士へ支払う料金には、登録免許税、登記事項証明書等の実費に加えて、司法書士への報酬が含まれています。
司法書士への報酬は、以前まで「司法書士報酬規程」というルールがあり、それに従って算出されていました。
しかし、現在ではこの規程は撤廃されており、料金が完全に自由化されています。そのため、事務所によって料金が異なってくるのです。
不動産売却では準備すべき書類の数も多く、少しでも不備があると申請を受け付けてもらえません。
不動産売却でも司法書士に頼らず登記手続きを完了させることは可能です。
しかし、よっぽどの知識がないとスムーズには進められないため、基本的には司法書士に代行してもらったほうが、メリットは大きいと考えましょう。
安くしてくれる司法書士を探す方法としては、インターネットで「お住まいの地域 司法書士」と検索し見積を依頼してみましょう。
電話やメールでの対応が親切かどうか、素早い対応をしてくれるか、ということなどをチェックして探してみることをおすすめします。
不動産仲介業者に不動産売買の仲介を依頼する場合は、その業者が司法書士を紹介してくれることがほとんどです。
金額の比較は、業者紹介の司法書士と自分で探した司法書士との比較でも十分でしょう。
抵当権付き物件の登記申請は自力では不可
抵当権とは、金融機関などが不動産を担保としてお金を貸す代わりに、ルール違反や期限内に完済できなければ、担保物件を強制的に競売にかけられる権利です。
そもそもローンが残っている状態で不動産の売却自体は可能ですが、トラブルを防ぐために抵当権の抹消は必須です。
住所変更登記だけなら売主・買主でも行えますが、抵当権抹消登記は司法書士に依頼しないとできません。
つまり、ローンの残債がある物件を売る際は、司法書士への依頼は不可欠ということです。
さらに、すでにローンを完済した物件でも、抵当権がそのまま付いていることがあります。ローンは完済すれば完了というわけではなく、抵当権を外すことも必要です。
ローンを完済したら、必ず金融機関に連絡して契約を完了しましょう。
まとめ
登記申請は本来、当事者が行うものなので、費用節約のために自分たちで登記申請するのも当然問題はありません。
ただし前述の通り、特別な勉強をしていない素人が登記申請をおこなうのはリスクもあるので、注意しましょう。
まとめると、
- 不動産売買で司法書士は登記を行う
- 登記は個人でも可能
- 手間を考え代行が一般的
費用対効果を考慮し、適切な選択をしてくださいね!参考になれば嬉しいです。