土地を買って家を建てたいと思ったら、土地購入の流れや手順、実際に住み始めるまでにどのようなことをおこなうのか知っておくとスムーズです。
家や土地は金額が大きいため、気に入らなかったとはいえすぐに住み替えることは難しいもの。
そのため住み始めてから後悔しないよう、きちんと計画をたてて購入することが大切です。
また、1年後に住み始めたいと思っていても、希望の土地がなかなか見つからないこともあるため、意外とスケジュールがギリギリなんてことも。
建物が希望のものを建てられたとしても、家族みんなが家だけで過ごすわけではありません。家から職場に行ったり、子供を学校に行かせたりすることなど、実際に暮らすことを考えながら土地を探すことが大切なのです。
家を建てたいと思ったら、まずは建物が建つのに大切な「土地」から考えていきましょう。
土地を考える時は、建物もセットで考えていくことが原則です。家を予算内に収めるコツ、見落としがちな費用、失敗しない土地の買い方を詳しく解説していきます!
- 土地購入の流れ
- 土地購入で気を付けるべきポイント
- 購入にあたってかかる税金
土地購入の流れ
土地を探す
不動産のポータルサイトを調べたり、実際に周辺を歩いてみたり。
自分で探す方法やハウスメーカーに探してもらう方法もあります。小学校校区などのエリアが決まっていて、なかなか希望の条件の物件が出ない場合、不動産屋やハウスメーカーに相談すると直接地主交渉してくれる場合もあります。
土地を決める時は、いろいろな情報を整理し、優先順位を決めるとスムーズに決断できます。
土地は生モノなので、一日経つとなくなっていたり(=他の人に購入された)ということもしばしば。希望の土地が出たらすぐ決断できるよう、家族と予め話し合っておきましょう。
買付証明書の提出
物件を決めたら、買付証明書を売主もしくは仲介している不動産屋に提出します。
買付証明書とは、買主が売主に対して「この土地を○○円で購入したいです」という意思表示を示すものになります。
買付証明書には買主の情報のほか、土地購入の諸条件(手付金、決済希望日、支払い方法)、ローン特約の有無などを記載します。
ローン特約とは、「ローンが通らなかった場合は購入希望を取下げ、手付金等も返還してもらう」という特別な約束です。
基本的には買付証明書の到着順が買い手の優先順位となりますが、売主側の心理としては本当に買ってくれる方へ話を進めたいもの。
売主さんへ不信感を抱かせないよう、買付証明書を提出後は速やかに事前審査を行いましょう。
買付証明書提出のポイント
買付証明書の提出の際、条件交渉ができる場合があります。
手付金の額(基本的には1割以下)や土地価格の端数を切って買付証明書を出してみるのもいいかと思います。
条件交渉可能かどうかは地主さんによりますので、仲介の不動産屋がいる場合は相談してみましょう。
ただし、あまりにも大きな値引き額を提示してしまうと、地主さんの機嫌を損ねてしまう場合も。
「この買主にはもう売らない」となってしまうこともありえますので、適切な範囲に留めておいてくださいね。
土地契約(手付金支払い)
条件交渉が終わり事前審査等が無事に終了したら、購入に向けて契約を行います。
契約の際、手付金として売買代金の10%を売主さんへ支払います(未完成の場合5%)。
なお、頭金なしで住宅ローンを借りることを考えている人は要注意。
土地の手付金や住宅会社へ支払う建築申込み金は現金で必要になるため、土地代金の1~2割の現金を用意しておくようにしましょう。
土地契約の際は仲介(もしくは売主)の不動産業者より重要事項の説明を受けることになります。
基本的には売主、買主の立会いのもと契約が行われます。
契約から約2カ月で決済(売買代金の支払い)となり、その間にハウスメーカーと打合せを行います。
住宅ローン申込み
土地決済(代金支払い)の前に、住宅ローン申込みとつなぎ融資(利用する場合)の申込みを行います。
土地購入の際に住宅ローンを利用する場合や、新築する場合は完成までの間に代金の一部を支払うことがほとんど。
土地決済、着工金、上棟金、完成時金と完成まで分割で支払うことになります(ハウスメーカーによります)。
しかし、数百万~数千万の土地代や中間金を現金で支払える人はほとんどいません。
そこで、つなぎ融資(分割融資)という住宅ローンの一部を前借りし、住宅ローンの支払いが始まるまでの間に分割で融資を受けられる仕組みを利用できます。※所定の利息が発生します。
土地決済、所有権移転(土地金・諸費用清算)
契約後、土地の売買代金(手付金以外の残金)の支払いと所有権移転を同時に行うため、売主、買主、仲介の不動産業者および所有権移転手続きに携わる司法書士の全員の立会いの下手続きが行われます。
住宅ローン利用の場合は、借入れ先の銀行で手続きが行われるケースが多いです。
土地代金を住宅ローンで借り入れる場合は、つなぎ融資(分割融資)が実行され、住宅ローンの支払い開始より前に利息だけを支払っていきます。
土地の所有権移転が済んだら、家の着工です。
まずは地盤調査を行って地面の強度を調べ、家が建っても傾いたりしないように地面の強度を上げる工事(=地盤補強工事)を行います。
それから基礎工事、上棟、完成という流れになります。
完成まで4~5カ月を要します。
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失敗しない土地の買い方
大切なのは、家はトータルコストで考えること。
土地は家を購入する金額の多くを占める費用でもあり、予算オーバーの原因となってしまう要素でもあります。
土地を決める時は、建築費用や諸費用なども含めた総額を算出し、トータルで「返していける額」に収めることが大切。
お家づくりにはざっくりと次の3つの費用項目があります。
- 建物費用
- 土地費用
- 諸経費
この諸経費の部分が意外に大きく、住宅資金の1割を占めると言われています。
総額3000万円で考えていたとします。
建物2000万円、土地1000万円で検討していた場合、その1割なので300万円の諸経費がかかってくると、トータル3300万円となり、結果的には予算オーバーしていますよね。
ではどのような割合がいいのか?
それはご家族それぞれのライフプランや重きをおく部分に関わってくるので一概にはいえませんが、諸経費を含めて総額を考えることが予算オーバーにならないコツです。
予算オーバーになると最悪の場合、大切な住宅を手放す羽目になってしまうこともあるのです。
では実際に、物件の探し方をシミュレーションしてみましょう。
ライフプランを考える
まず大切なのは、家にかけられる予算を決めることです。銀行が貸してくれるお金と実際に借りられるお金(返していけるお金)は、ご家族の収入やライフプランによって変わってきますので、FP(ファイナンシャルプランナー)に適正な住宅予算を相談してみることをおすすめします。
ライフプランのポイント
適正な住宅予算というのは、家族がどうやって暮らしたいか、どんなことを叶えていきたいか(旅行や車、子供の学費・留学など)も加味して考えて人生設計していくのがポイントです。
素敵な家が建ったとしても、車が現金で買えなかったり生活が苦しくて子供を大学に行かせられなかったりというのは、きっと本望ではないはず。
資金計画書に基づき、希望の価格が実際に借りられるのか、金融機関で事前審査を行いましょう。
おうちづくりはライフプランからスタートです!
住みたいエリアを絞る
- 通勤するのに通いやすい
- 買い物に便利な場所
- 小・中学校に近い
- 公共交通機関(電車、バス)が徒歩圏内にある
など、まずは考えられる項目をあげていきましょう。
予算内で全ての希望が叶えば理想ですが、優先順位をつけてある程度絞ることで結果的に満足のいく土地を見つけられる可能性が高いです。
一戸建てかマンションか、賃貸か?
家を買うときに問題になりやすいのが、一戸建てかマンションか、または賃貸か?ということ。
転勤が多かったり、住む場所を定期的に変えたいという方は賃貸暮らしが向いているかもしれません。
利便性のいい都心に住みたい方はマンション、少し郊外でゆったり暮らしたい方は一軒家と、ライフスタイルに沿って選択しましょう。
最近では中古物件を購入し、リノベーションするという選択をする方も増えてきています。
中古マンションは特に値下がりしにくく耐用年数も長いので、安心して暮らせるし処分するときも売りやすいというメリットがあります。
中古の一軒屋をリノベーションしても新築よりは安く済むことがほとんどですし、家にかけるつもりだった予算を家族旅行や車など、別のところにかけられるのも大きなメリットではないでしょうか。
実際に土地を探してみる
予算や面積、小学校区などを考慮して探してみましょう。
漠然と50坪くらい、60坪くらいと考えていたとしても実際建物を考えてみるとそれほど大きな土地はいらなかったということもありえます。
また、土地には見えない予算がかかるものがあるということを知っておく必要があります。
目の前の道路まで上下水道の配管が通っていたとしても、家の中までは通っていないことも。この場合、実際の価格に引込み工事代がプラスされることになるのです。
ポータルサイトで検索
SUUMOやat home、ハトマークサイトなどがあげられます。多くの不動産屋はこういったポータルサイトに土地情報を掲載し、買い手を探しています。
エリアがまだ定まっていない場合は、こういったポータルサイトで検索してみて、気になった物件があれば問合せしてみましょう。
土地の探し方のポイント
土地を探すときは、最初は広く条件設定することがポイント。
ポータルサイトで探すときは「金沢市 1500万円以下」など、エリアはざっくり、予算も多めに設定しましょう。
探し方で特におすすめなのが【地図検索】です。
条件に当てはまる物件が地図上に表示されるので、場所がなんとなく把握できますよね。
気になる物件があれば、地図上のマークをクリックすれば物件詳細に飛ぶのでとても便利な機能です。ぜひ、有効活用してみましょう!
不動産屋に問い合わせる
エリアによっては、その周辺でたくさん土地情報を持っている不動産屋がいることもあります。
なぜなら、売主である地主さんは、地元に店舗のある(知っている)不動産屋に仲介をお願いすることが多いためです。
そういった不動産屋に一度問い合わせておくと、買いたいタイミングで希望の土地がなかったとしても土地が出た段階で連絡が来ることもあるのです。
気になる物件を見つけたら、その不動産屋のHPを閲覧してみましょう。
ポータルサイトには載っていない物件がある場合も多いですよ。
ハウスメーカーで探してもらう
ある程度建てたい建物が絞り込めたら、ハウスメーカーに探してもらうのもひとつの手です。
土地によっては小さすぎたり、間口が狭いことで希望の建物の大きさが入らなかったりするためです。
住宅展示場を訪れ、希望の土地条件を伝えましょう。
希望の建物が入る前提で探してくれるので二度手間が防げます。
ただし、色々なハウスメーカーにお願いしすぎるとたくさんの電話や連絡が来る羽目になりますので、ある程度絞り込めてからが望ましいです。
住宅展示場へ行くときのポイント
やみくもにたくさんの住宅展示場へ訪れると、大人も子供も疲れてしまいます。
ある程度、HPなどでどんな家(外観、内観)か、どんなコンセプトなのかを把握していくことで比較的早く絞り込めます。
また、総合展示場(色々なハウスメーカーのモデルハウスが集まっている場所)はオプションなどが盛りだくさんで実際に建つ家とは異なる場合があります。
住むイメージがわかない場合は、内見会など実際に住む人がいる家に訪れるのがおすすめです。
直接交渉
以前から希望土地の周辺に住んでいたり、親族に地主がいる場合は直接交渉できる場合もあります。
その場合仲介手数料(売買代金の3%+6万円+消費税)が不要にはなりますが、不動産売買は色々なトラブルもつきものです。
専門家にお願いした方がいい場合もありますが、もし直接交渉する場合は慎重に進めていきましょう。
不動産購入の諸費用とは
「物件価格」と「諸費用」について
土地の売買代金には、「物件価格」以外にも「諸費用」がかかってきます。
売買代金+αになるケースがほとんどですので、購入を検討する場合は諸費用も含めて金額提示をしてもらいましょう。
物件価格とは
土地本体の価格のことです。前面道路の幅員や道路に面する方角によっても異なりますが、エリアの相場はだいたい決まっていますので、「坪単価」を目安にすると良いでしょう。
また、物件価格+10%は諸費用として考えておきましょう。
(1000万円の土地の場合、諸費用は約100万円で総額1100万円)
諸費用とは
仲介手数料
不動産屋が仲介して契約などを進める場合、その業務に対する対価として仲介手数料を支払います。
登記費用
土地の所有権を移転するための移転登記費用及び業務を行う司法書士に支払う手数料です。
不動産が売買されれば、その持ち主は売主から買主へと移行します。それを法的に証明できるようにするのが、所有権移転登記です。
登記費用は売買価格によって異なりますが、司法書士への手数料も合わせて10万~20万円程度の場合が多いです。
上下水道加入金
ほとんどの住宅地では、前面道路に上水・下水管の本管が通っています。
その本管から住宅用地への引込費用と、その土地を管轄している市への加入金が含まれている場合が多いです。
元々家が建っていた場合、すでに引き込まれている場合もあります。売買代金に含まれているか、別途費用なのかはしっかり確認しましょう。
固定資産税清算金
固定資産税は、その土地を支払い年の1月1日に所有権を持つ方が一括で支払うものになります。
そのため、年の途中で所有権移転をした場合は、日割り計算で負担分を売主へ支払うケースが多いです。
その他費用
造成費(盛土、切土)や、地盤補強費など、建物を建てるために必要な費用です。
平らな地面の場合は造成費がかからないことがほとんどですが、地盤補強費は実際に調査してみないと正確な金額が算出できません。
造成費は地面をフラットにするための費用のことですが、一見フラットに見えても緩く勾配があったりすると、盛り土などが発生するため費用がかさむ場合も。
地盤補強費は、目に見えない地面の下を建物の重さに耐えられるくらいに補強する工事費用のこと。
実際の地盤の強さは、調査してみないとわかりません。真横の敷地で地盤補強が必要ないくらいの調査結果が出たとしても、多額の地盤補強費を要す場合もあるのです。
あくまで参考ですが、「地盤カルテ」というサイトでは、建築予定地の住所を入力するだけでその地盤の評価点が表示されます。
80点以上であれば強い地盤、80点未満の場合は何かしらの地盤補強が必要になる可能性が高いです。
参照:地盤カルテ
こちらのサイトでは、地盤の強さだけではなく災害に対する総合的なリスクも表示してくれます。
地盤改良のほか、浸水リスク、地震による揺れやすさ、土砂災害リスク、液状化リスクの5項目についてリスク低〜高の目安を示してくれるので、専門家でなくともとても分かりやすくなっています。
そのほか、土地が農地(田、畑)の場合は農地転用を買主負担で行う必要がある場合もあります。
農地転用とは、法務局に登録されている地目を建物が建てられる「宅地」等に変更することです。
司法書士へ依頼すれば行ってくれますが、期間を要す場合もあるため注意しましょう。
土地の「価格」はどうやって決まるか?
基本的には土地価格は売主さんの「言い値」です。
ただし、あまりにも相場より高すぎると買い手がつかないため、だいたい相場の値段で売りに出されることがほとんどです。
また、同じエリア内でも坪単価が異なることもあります。
どんな土地の評価が高いのかを考えていくことで、自分に合った土地を見つけやすくなりますよ。
利便性
電車やバス停など公共交通機関の利用がしやすい場所は利便性が良いため、評価が高くなります。
子供の通学や通勤に公共交通機関を使用する場合は利便性を優先しましょう。
土地の方角
一般的に日当たりがいいといわれているのは「南」です。
朝日が入ってくるのは「東」からなので、角地の場合は東南の二方道路が一番評価が高くなります。
両隣に住宅等がある場合は南側道路が一番評価が高くなります。
周辺状況
土地の大きさ以外にも重要なのは道路幅や周辺状況です。
土地価格が相場よりも安いことがありますが、前面道路が4m未満の場合が多いです。
前面道路が4m未満だと敷地側へセットバックが必要になるため、実際に使える部分が狭くなってしまうのです。
また、道路幅が狭いと住宅が密集した雰囲気になってしまうため、暗い印象を受けることも。
安いからと言ってすぐ決断するのはやめておきましょう。
不動産購入にかかる税金
不動産取得税
不動産を取得した場合にかかります。
建物を建てるために購入した不動産については控除を受けられるため、申請すると0円~数万円程度になります。
固定資産税
所有している不動産(土地と建物)について毎年かかる費用になります。
購入した年は元々の地主さんが支払っている場合が多いため、日割り計算で負担額を決め、売買代金とともに支払います。
印紙税
不動産売買の契約書には印紙税が発生します。
契約書は2通発行され、売主と買主(請負者と依頼主)それぞれが一通ずつ保管し、印紙税を負担します。
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更地にして土地売却する場合の解体費用はいくらくらい?払えないときはどうすればいい?
建物を解体してから土地を売却する場合には、おおよそ100万〜300万程度の解体費用がかかります。本記事では建物を解体をするべきかどうかという判断のポイントや、解体してから売却するメリット、デメリットについて詳しく解説していきます。また、解体費用が捻出できない場合の代替案についてもご紹介していますので、これから更地にして土地売却を検討している方の参考になれば幸いです。
さいごに:土地は「一点もの!」
- 購入する際は建物や土地の費用など、トータルコストで考えること
- ほとんどの人が上限で支払っているが、値引きができる
- ライフプランを考えることからスタートする
- 購入にあたって複数の税金がかかってくることに注意
最後に、土地購入を迷っているもしくはこれから購入する方へ伝えたいことをお話しします。
土地は「一点もの」でまったく同じものは二度と出てきません。
購入したいタイミングでベストな物件が出てくることも考えにくいので、優先するもの、妥協できるものをあらかじめ考えておくことが重要です。
やっとの思いで決断して買付証明書を提出したのにもかかわらず、わずか数分、数時間の差で違う人のものになってしまった、というケースは少なくないのです。
そのため土地購入には冷静な判断と決断力が必要になってきます。
この記事が多くの方の役に立てれば幸いです。